市町村
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 04:35 UTC 版)
自治体の「町」「村」と集落の「町」「村」
日本には、地方公共団体たる「町」「村」とは別に、その区域内(下位)に、集落あるいは都市内の街区群たる「町」「村」がある。後述を除きほとんどは、公式なものであっても、字(あざ)と同様に、法人格を持たず、地理上の区域にすぎない。住所を記す際「○○市○○町○○番地」などと、市区町村名と番地の間のレベルとして指定される。
統計分野などで区別する場合には、前者を行政町や行政村、後者を町丁(ちょうちょう)などと呼ぶ場合がある。住民票などの住所表記として役所が公式に定めている例と、公式表記とは別に古くからなじみのある通称として宛名書きや地域行事などで使用される例(通称のほうで郵便番号区分が設定されている場合もある)とがある[9][10]。
区画名の「町」は非常に多く、「村」は比較的少数である(村#地名に残る旧行政村を参照)。歴史的には江戸時代の町村に由来するものもあるが、長い間に廃置分合され単純な対応関係にないことがしばしばある。また、江戸時代の町村名は大字としても残っていることがある。
また、市町村の下部組織である地域自治区や合併特例区として「〜町」が設けられることがある。合併特例区は法人格を持ち、特別区と同じく特別地方公共団体で、多くの場合ごく最近まで独立した市町村だった。
「町」と「村」の読み方
「町」は「ちょう」か「まち」、「村」は「そん」か「むら」と読めるが、その読みは町村単位で明確に定められている。
基本的に「町」「村」の読み方は都道府県単位で固定化される傾向があるが、音訓の関係や慣例により少数の例外が存在する場合もある。
「町」の読み方についてはばらつきがあるが、関東地方の町は全て「まち」、近畿・四国地方の町は「ちょう」である。北海道と静岡県と山梨県を除く東日本は「まち」が多いが、特に岩手県と宮城県ではどちらが多数ともいえない割合で混在している。逆に、西日本は「ちょう」が多いという傾向があるが、九州では県単位でのばらつきがあり明確な法則があるわけではない。
「村」の読み方は鹿児島県を除き都道府県単位で固定化されている。東日本から近畿地方にかけては全て「むら」であるが、西日本の一部では「そん」となっており、19もの村がある沖縄県は全て「そん」である。
「町」の読み(ちょう・まち)
※混在する例のうち、同じ読みが各都道府県における町の総数の概ね8割以上を占める場合は多数側の読みを示し、残りを例外として備考に表記した。また、個別に列記する場合は、多数側を上段にした。
地方 | 都道府県名 | 読み | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
北海道地方 | 北海道 | ちょう※ | ※全129町中、128町。森町の1町のみが「まち」 | ||
東北地方 | 青森県 | まち※ | ※全22町中、19町。おいらせ町・南部町・階上町の3町は「ちょう」 | ||
岩手県 | 混在 | ちょう | 雫石町・紫波町・矢巾町・金ケ崎町・平泉町・住田町・大槌町・岩泉町・洋野町(9町) | ||
まち | 葛巻町・岩手町・西和賀町・山田町・軽米町・一戸町(6町) | ||||
宮城県 | まち | 美里町・加美町・松島町・七ヶ浜町・川崎町・村田町・大河原町・柴田町・丸森町・蔵王町・七ヶ宿町(11町) | |||
ちょう | 利府町・大和町・大郷町・亘理町・山元町・女川町・色麻町・涌谷町・南三陸町(9町) | ||||
秋田県 | まち | 五城目町・八郎潟町・井川町・藤里町・羽後町・小坂町(6町) | |||
ちょう | 美郷町・三種町・八峰町(3町)[注釈 3] | ||||
山形県 | まち※ | ※全19町中、18町。河北町の1町のみが「ちょう」 | |||
福島県 | まち | (全31町) | |||
関東地方 | 茨城県 | (全10町) | |||
栃木県 | (全11町) | ||||
群馬県 | (全15町) | ||||
埼玉県 | (全22町) | ||||
千葉県 | (全16町) | ||||
東京都 | (全5町) | ||||
神奈川県 | (全13町) | ||||
中部地方 | 新潟県 | (全6町) | |||
富山県 | (全4町) | ||||
石川県 | 混在 | まち | 川北町・津幡町・内灘町・志賀町・中能登町・穴水町(6町) | ||
ちょう | 宝達志水町・能登町(2町)[注釈 3] | ||||
福井県 | ちょう | (全8町) | |||
山梨県 | ちょう※ | ※全8町中、7町。富士河口湖町の1町のみが「まち」 | |||
長野県 | まち※ | ※全23町中、22町。阿南町の1町のみが「ちょう」 | |||
岐阜県 | ちょう | (全19町) | |||
静岡県 | ちょう※ | ※全12町中、11町。森町の1町のみが「まち」 | |||
愛知県 | ちょう | (全14町) | |||
近畿地方 | 三重県 | (全15町) | |||
滋賀県 | (全6町) | ||||
京都府 | (全10町) | ||||
大阪府 | (全9町) | ||||
兵庫県 | (全12町) | ||||
奈良県 | (全15町) | ||||
和歌山県 | (全20町) | ||||
中国地方 | 鳥取県 | (全14町) | |||
島根県 | ちょう※ | ※全10町中、9町。川本町の1町のみが「まち」 | |||
岡山県 | ちょう | (全10町) | |||
広島県 | (全9町) | ||||
山口県 | (全6町) | ||||
四国地方 | 徳島県 | (全15町) | |||
香川県 | (全9町) | ||||
愛媛県 | (全9町) | ||||
高知県 | (全17町) | ||||
九州地方 | 福岡県 | まち※ | ※全30町中、29町。遠賀町の1町のみが「ちょう」 | ||
佐賀県 | ちょう※ | ※全10町中、9町。江北町の1町のみが「まち」 | |||
長崎県 | ちょう | (全8町) | |||
熊本県 | まち※ | ※全23町中、20町。あさぎり町・山都町・氷川町の3町は「ちょう」[注釈 3] | |||
大分県 | まち | (全3町) | |||
宮崎県 | ちょう | (全14町) | |||
鹿児島県 | (全20町) | ||||
沖縄地方 | 沖縄県 | (全11町) |
「村」の読み(そん・むら)
村が1つも存在しない県は、表から省略した。
地方 | 都道府県名 | 読み | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
北海道地方 | 北海道 | むら | (全15村) | ||
東北地方 | 青森県 | (全8村) | |||
岩手県 | (全5村) | ||||
宮城県 | ※大衡村の1村のみ | ||||
秋田県 | (全3村) | ||||
山形県 | (全3村) | ||||
福島県 | (全15村) | ||||
関東地方 | 茨城県 | (全2村) | |||
群馬県 | (全8村) | ||||
埼玉県 | ※東秩父村の1村のみ | ||||
千葉県 | ※長生村の1村のみ | ||||
東京都 | (8村) | ||||
神奈川県 | ※清川村の1村のみ | ||||
中部地方 | 新潟県 | (全4村) | |||
富山県 | ※舟橋村の1村のみ | ||||
山梨県 | (全6村) | ||||
長野県 | (全35村) | ||||
岐阜県 | (全2村) | ||||
愛知県 | (全2村) | ||||
近畿地方 | 京都府 | ※南山城村の1村のみ | |||
大阪府 | ※千早赤阪村の1村のみ | ||||
奈良県 | (全12村) | ||||
和歌山県 | ※北山村の1村のみ | ||||
中国地方 | 鳥取県 | そん | ※日吉津村の1村のみ | ||
島根県 | むら | ※知夫村の1村のみ | |||
岡山県 | そん | (全2村) | |||
四国地方 | 徳島県 | ※佐那河内村の1村のみ | |||
高知県 | むら | (全6村) | |||
九州地方 | 福岡県 | (全2村) | |||
熊本県 | (全8村) | ||||
大分県 | ※姫島村の1村のみ | ||||
宮崎県 | そん | (全3村) | |||
鹿児島県 | 混在 | むら | 三島村・十島村(2村) | ||
そん | 大和村・宇検村(2村) | ||||
沖縄地方 | 沖縄県 | そん | (全19村) |
脚注
注釈
出典
- ^ 東京都例規集第1編第7章 区市町村行政
- ^ 政治山 (2016年7月26日). “区市町村と市区町村、呼び方の違いは都政の習熟度か”. 2023年4月7日閲覧。
- ^ “「市区町村」と「区市町村」 用語の違いが生まれた背景”. NEWSポストセブン (2021年5月2日). 2023年4月7日閲覧。
- ^ 総務省|地方自治制度|広域行政・市町村合併, 総務省 2021年3月18日閲覧。
- ^ 「広域行政・市町村合併」、総務省、2016年11月27日閲覧
- ^ a b “分権の行方【1】困惑/地方改革最前線”. 西日本新聞 (福岡市). (2002年12月13日). オリジナルの2012年9月8日時点におけるアーカイブ。 2013年10月15日閲覧。
- ^ “北海道・空知管内 3市が人口1万人割れ ピーク時の9割減 町への「移行」もメリット乏しく”. 北海道新聞 (札幌市). (2013年10月15日). オリジナルの2013年10月15日時点におけるアーカイブ。 2013年10月15日閲覧。
- ^ 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律(昭和57年8月31日法律第85号)第11条
- ^ 「用語集>住所とは?」、株式会社パスコ、2021年11月11日閲覧
- ^ 「Q.「須坂市○○町1234番地」と「須坂市大字△△1234番地」須坂市には住所表記が2つあるのはなぜ?」、須坂市、2021年11月11日閲覧
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