公の施設とは? わかりやすく解説

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おおやけ‐の‐しせつ〔おほやけ‐〕【公の施設】


公の施設

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/19 05:29 UTC 版)

公の施設(おおやけのしせつ)とは、普通地方公共団体が、住民福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設ける施設をいう(地方自治法第244条第1項)。施設の行政的側面であり、財産的側面の公有財産と区別される。

具体的な例としては、都道府県又は市町村立の道路公営住宅学校水道等が掲げられる。

地方自治法は、以下で条数のみ記載する。

概要

第244条

  1. 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
  2. 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
  3. 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

第244条の2(公の施設の設置、管理及び廃止)

  1. 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。
  2. 普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならない。
  3. (以下略)

1963年(昭和38年)の法改正により、それまで地方自治法第9章第9節「財産」にあったものを第10章「公の施設」として独立させた。具体的にどの施設が「公の施設」に該当するかどうかは個別の判断になるが、第244条の条文の語句から、「公の施設」に該当するには以下の要件を満たすことが必要となる[1][2]

住民の利用に供するための施設であること

住民の利用に供することを目的としないもの(純然たる試験研究所や庁舎など)は公の施設ではないとされる。

当該普通地方公共団体の住民の利用に供するための施設であること

公の施設の利用を供されるべき住民は、原則として当該施設を設置する普通地方公共団体の住民である必要がある。

住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するための施設であること

公の施設における住民の利用に供する目的は、直接住民の福祉を増進するためであって、利用そのものが福祉の増進となるものでなければならないとされる。したがって、普通地方公共団体の収益事業のための施設(競輪場競馬場など)は住民の利用に供しても公の施設ではないとされる。

普通地方公共団体が設ける施設であること

公の施設は物的施設を中心とする概念であり、人的側面は必ずしもその要素ではないとされる。

普通地方公共団体が設けるものであること

国その他普通地方公共団体以外の公共団体が設置するものは公の施設ではない。

なお、特別地方公共団体のうち、特別区地方公共団体の組合及び財産区については、公の施設に関する規定が準用されている(283条第1項、292条294条第1項)。

また、合併特例区についても同様である(市町村の合併の特例等に関する法律第5条の30第2項)。

公の施設の管理

公の施設の管理については当該施設を設置した地方公共団体において行うのが原則であるが、一定の場合については管理の委託を行うことができるものとされている。

公の施設の管理受託ができる団体として、当初は公共団体と公共的団体に限定されていたが、1991年(平成3年)の法改正により、一定の条件を満たした第三セクターにも管理を委託することができるようになった。さらに2003年(平成15年)の法改正により、「法人その他の団体」に委ねることが可能となり、団体であれば法人の資格の有無に関係なく、民間事業者から市民団体等まで委託できるようになった。

公の施設の区域外設置

第244条の3(公の施設の区域外設置及び他の団体の公の施設の利用)

  1. 普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。
  2. 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる。
  3. 前二項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

普通地方公共団体は、地域をその構成要素の1つとしていることから、公の施設の設置についてもその区域内に限られるのが原則であるが、例外として、関係普通地方公共団体との協議により、その区域外に公の施設を設けることができるとされている。また住民の側も自己の属しない地方公共団体の公の施設を当然に利用する権利があるわけではないが、公の施設のなかには設置した地方公共団体の住民に限らず、広く他の地方公共団体の住民の利用に供したとしても、必ずしも当該施設の設置目的に反するものではなく、その維持・運営上からも適当なことが少なくない。そこで、他の地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる旨を定めている。

具体例

不服申立て

第244条の4(公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求

  1. 普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
  2. 普通地方公共団体の長は、公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
  3. 議会は、前項の規定による諮問を受けた日から20日以内に意見を述べなければならない。
  4. 普通地方公共団体の長は、第二項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。

行政不服審査法の施行に伴う地方自治法の改正により、異議申立てを経た上での審査請求等の規定を廃止し、普通地方公共団体の長に対する審査請求に一本化された。

脚註

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関連項目


公の施設

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 07:27 UTC 版)

地方公共団体」の記事における「公の施設」の解説

公の施設とは、普通地方公共団体が、住民福祉増進する目的をもつてその利用供するために設け施設をいう(地方自治法244第1項)。

※この「公の施設」の解説は、「地方公共団体」の解説の一部です。
「公の施設」を含む「地方公共団体」の記事については、「地方公共団体」の概要を参照ください。

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