政治と行政
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 09:47 UTC 版)
主要記事:Politics of Alberta 「アルバータ州首相」も参照 アルバータ州はカナダの中でも最も保守派が多い地域として知られており、市場原理主義、新自由主義や新保守主義的でさえある。その保守主義の牙城ぶりと石油エネルギー産業やカウボーイの存在からカナダのテキサスと形容されることもある。カナダの著名保守政治家は政治活動の場としてアルバータ州を拠点にすることが多く、元首相のジョー・クラーク(アルバータ州出身)やスティーヴン・ハーパー(オンタリオ州出身)がその代表である。現在のカナダ保守党へ合流した右翼政党のカナダ同盟やその前身のカナダ改革党の設立の地でもある。銃規制の撤廃や、カナダでは1976年に廃止された死刑制度の復活、妊娠中絶の禁止、同性愛やLGBT反対、気候変動論への懐疑、多文化主義への反対、仏語の公用語地位への反対等の支持者が多い。さらに、アメリカ合衆国共和党政治家との関連も深く、2016年米大統領選挙に立候補したテッド・クルーズはカルガリー生まれである。これは宗教右翼のキリスト教プロテスタントの福音派の影響や開拓精神のカウボーイ文化と一大産業を占めるオイルサンド・ガス・エネルギー業界の影響を強く受けている。また、石油・ガス産業により経済成長が著しく失業率も低いことから、税収も豊富で税金は安くなっており、税率もフラットに近く、天然資源がもたらす豊富な税収をカナダ連邦によって経済的に貧しい大西洋諸州や独立運動によって政治的な力を持つフランス語圏のケベック州へ徴収されているとの懸念を強く持っている。カナダ連邦からの離脱による独立国家の形成やアメリカ合衆国への参加を求める分離運動も見られる。 しかしながら、アルバータ州はカナダ一好調な経済発展や失業率の低さから国内他州からの労働者の流入、さらに、世界各国からの移民・難民の受け入れ等も急増したことで白人の割合は7割と大きく低下し、保守一辺倒の土地にも変化も見られた。2015年州議会選挙ではアルバータ州としての史上初のカナダ自由党よりも左寄りである中道左派・社会民主主義政党のアルバータ新民主党が州議会の与党となる等、州都エドモントン等の非白人層移民が多くなっている都市部では変化もみられる。特に連邦政府への懐疑心や政治を支配する東部エスタブリッシュメント層への敵対心が、アルバータをリベラル左派の強いカナダに対抗して連邦議会選では保守化させているとも見ることができる。一方、州政府に対しての信頼度は高く州議会選においても小さな政府、市場原理主義、自由競争を重視する経済右派、宗教右翼的な政策への支持は世論調査を見るとそう高くはなく、州政府の医療福祉教育等の公的サービスの支持者も多い事から、いわゆる保守の牙城はかなり誇張して伝えられているとも見ることができる。実際に、保守政党はこれまでもカナダが作り上げた医療福祉教育等の公的サービスの維持や移民や難民受け入れにも努めてきた。2019年州議会選挙では1971年から2015年まで約44年間も州政治を支配していたアルバータ進歩保守党とワイルドローズ党の保守合併政党として設立された連合保守党が政権を奪還している。
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