政治と経済
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 16:55 UTC 版)
現在、バルカン諸国は全て共和制国家であるが、第二次世界大戦までは全て君主国であった。大部分の共和国は議会共和制[訳語疑問点]を採用しているが、ルーマニアとボスニアは半大統領制である。全ての国が自由市場経済である。大部分が中堅上位の所得水準(一人当たりGNI4,000-12,000米ドル)にあり、クロアチア、ルーマニア、ギリシャ、スロヴェニアは高所得経済(英語版)(一人当たりGNI12,000米ドル以上)である。バルカン諸国は人間開発指数がHighに分類されているが、これら4か国はとりわけ人間開発指数(HDI)がVery Highに分類されている。かつて計画経済を採用していた旧東側諸国とトルコは毎年緩やかに経済成長を遂げていたが、2008年の経済危機(リーマン・ショック)は各国の経済に深刻な影響をもたらし、失業率の急上昇、給与の引き下げ、社会経済システムの混乱が生じた。旧社会主義国ではなく、最も経済的に豊かな国の1つであったギリシャもこれを切っ掛けに深刻な経済・財政危機に陥り、EUやIMFによる救済を受けなければならなかった。その後の混乱のために経済の多くの部分が地下経済へと移行し、その規模は2017年現在、同国のGDPの3分の1にも相当するとも言われている。2012年にギリシャ経済だけは縮小に転じた。 一人当たりGDP(購買力平価)はスロヴェニアが最も高く(36,000米ドル以上)、続いてギリシャ(29,000米ドル)、クロアチアとルーマニア(25,000米ドル)、トルコ、ブルガリア、モンテネグロ、セルビア、北マケドニア(10,000-15,000米ドル)、そしてボスニア、アルバニア、コソヴォ(10,000米ドル以下)の順となる。 1990年代にバルカン諸国で共産主義体制による計画経済が終わりを告げた後、それまで表面化していなかった(あるいは隠されていた)貧困問題が噴出した。体制転換による国家機構の問題がこれに拍車をかけた。ブルガリアやルーマニアなどでは平均寿命が短くなり、貧困線以下の経済水準で暮らす人の数は激増した。21世紀に入った後は一般的にバルカン諸国は経済成長を続けており、こうした問題は若干緩和され、平均寿命も延びつつある。しかし、各国の国内の経済格差は大きく、ルーマニアなどではむしろ日々拡大している。 失業率が最も低いのはルーマニア(10%以下)であり、続いてブルガリア、トルコ、アルバニア(10-15%)、ギリシャ(15-20%)、モンテネグロ、セルビア、ボスニア(20-30%)、北マケドニア(30%以上)、そしてコソヴォ(40%以上)となっている。 政治的、社会的、そして経済的な分類は以下の通りである。ヨーロッパ連合地域加盟国:ブルガリア、クロアチア、ギリシャ、ルーマニア、スロヴェニア 現在ヨーロッパ連合と加盟交渉中の国(英語版):モンテネグロ、セルビア、トルコ 公式なヨーロッパ連合加盟候補国(英語版):アルバニア、北マケドニア潜在的なヨーロッパ連合加盟候補国(英語版):ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソヴォ 国境管理、および貿易による分類は以下の通りである。シェンゲン圏である地域:ギリシャ、北マケドニア シェンゲン圏に加わることが法的に決定されている地域:ブルガリア、クロアチア、ルーマニア ヨーロッパ連合と関税同盟を結ぶ国:トルコ 中欧自由貿易協定加盟国:アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、コソヴォ、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア 通貨においては以下のように分類される。ユーロ圏:ギリシャ、スロヴェニア ユーロをEUの許可を得ずに使用している地域:コソヴォ、北マケドニア 自国通貨を使用し、ユーロ圏に将来的に加わる(英語版)候補の地域:ブルガリア(レフ)、クロアチア(クーナ)、ルーマニア(レウ) 自国通貨を使用している地域:アルバニア(レク)、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(兌換マルク)、セルビア(ディナール)、北マケドニア(ディナール)、トルコ(リラ) 軍事的分類は以下の通りである。北大西洋条約機構加盟国(英語版):アルバニア、ブルガリア、クロアチア、ギリシャ、モンテネグロ、ルーマニア、スロヴェニア、トルコ 北大西洋条約機構との間にIndividual Partnership Action PlanとMembership Action Planを締結し、平和のためのパートナーシップに加盟している地域:ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、北マケドニア 平和のためのパートナーシップに加盟している地域:セルビア 直近の政治的、社会的、経済的分類。この地域の国々を2つのグループに分けている。旧共産主義諸国:アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、ブルガリア、クロアチア、コソヴォ、北マケドニア、モンテネグロ、ルーマニア、セルビア、スロヴェニア 従来より資本主義体制を取っていた地域:ギリシャ、トルコ 冷戦の間、バルカン諸国は二つのブロックに分かれて争った。ギリシャとトルコは北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、ブルガリアとルーマニアはワルシャワ条約機構に加盟していた。一方でユーゴスラヴィアは第三世界を提唱し、非同盟諸国の創設メンバーであった。ユーゴスラヴィア崩壊の後もセルビアとボスニア・ヘルツェゴヴィナは非同盟諸国でオブザーバーの地位を保持していた。
※この「政治と経済」の解説は、「バルカン半島」の解説の一部です。
「政治と経済」を含む「バルカン半島」の記事については、「バルカン半島」の概要を参照ください。
- 政治と経済のページへのリンク