BILLY BATおよびコウモリの描き手
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「BILLY BAT」の記事における「BILLY BATおよびコウモリの描き手」の解説
ケヴィン・ヤマガタ 第一部(第1巻から第11巻)および第三部(第18巻-完結巻)の主人公。1925年生まれ。BILLY BATの初代作者。 アメリカ合衆国の漫画家で、日系2世。日本名は「山縣 金持(やまがた きんじ)」。代表作は『BILLY BAT』。日本では人気映画スターの池部良に見間違えられるほどの二枚目。コウモリが見えるようになるが、それによって自身の人生を歪ませることになる。ジャッキー曰く「世界中の不幸を一身に背負ってしまったような思い詰めた表情の漫画家」。 和歌山県光森村で何者かに銃撃されて以降の消息は不明だったが、スーパームーンの夜にバスクの洞窟を訪ねて本物のビリーと対面。世界各地を転々としつつ、新作を発表する。中東で子供たちを庇ってテロリストに襲われ両腕を失うが描くことへの情熱が増す結果となり、「黒蝙蝠教団」の教祖と崇められながら作品の構想を練り続ける。BILLY BATの続編をグッドマンに託し、晩年のライフワークとした「フジぽん太郎」を完結させた後、100歳を過ぎて他界した。 「BILLY BAT」以外の作品として「テキサス捕物帖 ピストルヘアー荒野を行く」や「フジぽん太郎」(全21巻)などがある。 【作風】 三白眼が特徴のハードボイルドなビリーを主人公にした本格的な探偵漫画。ビリー以下、登場人物たちは動物で描写される。他の作品も同様にキャラ作りが丁寧で脇役でさえ人を虜にしてしまう魅力を持つ。このため大人のコアなファンが多い。ビリーはコウモリ探偵ながら「飛ぶ」のは最後の手段として滅多に使わない。独特の台詞回しでファンにはそれぞれ好みのシーン、名台詞、お気に入りのキャラクターがいる。 チャック・カルキン(真) ケヴィン・ヤマガタの元アシスタント。小ぶりで近視。度の強い眼鏡と大きな鼻が特徴。来日後消息を絶ったヤマガタに替わりBILLY BATの連載を引き継ぐ。真の2代目作者。謎の人物から破格の条件と譲渡証明を見せられ新しい路線のBILLY BATを連載するようになる。その男に名前を取られ、30年に渡りゴーストライターとしてコミカルで愛らしい路線のBILLY BATを描いた。2代目作者として世間に知られる偽チャック・カルキンの大成功の陰で奴隷のような扱いを受けていたが、オードリーの引き合わせたケヴィン・グッドマンの作品を目にして彼こそがBILLY BATの正統な後継者であると認め、偽チャックの目を盗んで編集長にグッドマンの原稿を渡すという「クーデター」を敢行する。贖罪のため、グッドマンへの継承で自らの罪を清算するため拳銃自殺を図ろうとするがグッドマンの言葉に救われた。グッドマンが3代目となって以降は彼のアシスタントとなる。コウモリの存在に関しては何も知らず、彼の描いたBILLY BATはオールドファンからは「偽物」と扱われる。 2015年時点で現役を完全引退。海辺のコテージで余生を送り、海の描き方を模索し続ける。ティミーを後継者にしたことを後悔し、ヤマガタとの再会を願い続ける。 2018年、オードリーの依頼を受けたモニカが西部で執筆活動を続けるヤマガタを発見。ヤマガタに謝罪するが、BILLY BATの連載再開をするグッドマンのアシスタントとして忙しくなるとヤマガタから励まされ、漫画家としての情熱とともに他界する。 【作風】 人気者のビリーが仲間たちと繰り広げるドタバタコメディ。世界中の子供たちを虜にした。アニメ化され、TVの普及もあって世界的な人気を得る。商業的にも大成功して「カルキンエンタープライズ」という一大帝国を築き上げる。 ケヴィン・グッドマン 第2部(第11巻 -第17巻 )、第3部(第18巻-完結巻)の主人公。 ゴールデンコーラ社長の息子で大金持ちの御曹司だが、それを鼻にかけず天真爛漫に振舞う青年。父親は白人で母親が黒人というハーフ。父親がBILLY BATの大ファンだったことから“真の作者”であるケヴィン・ヤマガタにちなんでケヴィンと名付けられた。赤ん坊のときJFK暗殺の現場で流れ弾からヤマガタに命を救われている。 80年代以降、ゲリラアーティスト“ゴールデンバット”としてBILLY BATの壁絵を描いていたが、それに着目したオードリーばかりか来栖らコウモリを追う組織に命を狙われるようになる。スミスの助けを借りて難を逃れ、彼から身を護る術を学んだ後、本物のチャックから認められ、3代目「BILLY BAT」作者になる。作風がヤマガタに似ているためオールドファンをも納得させる作品としてブームを巻き起こす。来栖の月到達によって地球が終わる形での最終回を避けようとし、来栖に漫画家としての才能を与えることでその未来を回避した。だが、結果的にそれがコウモリにも制御不能な未来を招いてしまう。ベルリンの壁崩壊を作中で予言した形になり、世間から「予言者」と思われていることを疎ましく思うようになり、実家に帰省した際に幼少期に描いたBILLY BATを通じて最後の交信を交わして以降はコウモリと交信できなくなる。 2001年、「二つの塔」についての予知をしたものの行き詰まり、ティミーに後を譲ろうとする。ティミーの助言でアメリカ同時多発テロの全容を知り、阻止行動に出るがジャッキーに託された「ティミー・サナダにはコウモリが見えない。アイツは大嘘つきだ」というコウモリのメッセージを聞いて混乱。デュヴィヴィエの「嘘」で移動しようとした時にビルに旅客機が突っ込むのを目撃。恩人デュヴィヴィエの死のショックで落ち込んでいたが、同じく落ち込んでいたジャッキーとコミック専門店で再会し、ヤマガタが果たせなかったことを知る。スペインに赴き、ヤマガタの生存を確信すると共にもう一人の恩人であるスミスの死も知る。以後、師匠のヤマガタを探して世界中を旅し、中東でヤマガタらしき老人の最期を聞かされる。その後、漫画家としての再起を足掻いていたがチベットでヤマガタと対面。「描いて描いて描きまくれ」とハッパをかけられた後、エクストラスーパームーンの晩にバスクの洞窟にて3つに分かれてしまっていたビリーと対面。やがて訪れる凄惨な未来を予言されるが、世界中を旅して感じた「命は尊く」「人と人はどうして許し合えない」という気持ちを作品として残したいと願う。それこそがコウモリの導きと数多くの奇跡、使命を帯びた人々に守られた自身の使命だったとビリーに諭される。敵役マーロウの生存をヒントにして未完となっていた「BILLY BAT/ファラオの呪い」の続編を執筆。モニカ・ラウラを妻としてヤマガタ同様に生涯を漫画に捧げ、100歳を過ぎて「BILLY BAT/ファラオの呪いの巻」を完結させた後、他界した。 【作風】 ヤマガタ版ビリーを基本踏襲し、三白眼のビリーが探偵として世界的な陰謀に立ち向かうという内容。後期はかなり難解かつ複雑なミステリー路線になり、大人のファンから支持されるがライトなファン層が離れる結果になった。作中で様々な出来事が予言されているため、3代目は予言者だという噂が立つ。その後、チベットでヤマガタと感動の対面を果たし、未完となっていた「BILLY BAT/ファラオの呪いの巻」を書き上げた。 ティミー・チャールズ・サナダ スラム街で育った日系人の青年。UCLAの大学生で品行方正。正義感が強いように見えるが、どことなく暗部を覗かせるミステリアスな性格をしている。少年時代にグッドマンから才能を見出され、ストーリーをつけて持ち込むよう誘われていたが10年後にBILLY BATを作品として仕上げグッドマンに持ち込む。オードリーは当初ゴーストライターに仕立て上げるつもりだったが、グッドマンの猛反対によりグッドマンとの連名でBILLY BATを発表。彼を4代目作者と認めるかに関して、グッドマンとチャックは認めたがデヴィヴィエは「態度保留」のまま行方不明に。その後、グッドマンの意志で「ゴーストライター」でなく「共同執筆者」からグッドマンの事実上のリタイアで4代目作者となる。2001年同時多発テロの発生とその後訪れる混沌とした世界を予言している。 実は偽チャックの私生児。父の果たせなかった夢を実現するため「カルキン・エンタープライズ」の経営権を異母姉のオードリーから奪った後、巨大企業による世界支配を狙って水源と資源を独占する。 「カルキン・エンタープライズ」の掌握後は人相が変わり、漫画家として描くことも難しくなる。自分以外の描き手と邪魔な人物の「駆除」を求めるようになるが次第にBILLY BATの執筆そのものに行き詰まり、ファン離れを起こしてしまう。ビリーランドを全世界に100カ所以上建設し、全世界の水源の80%以上と50%の系列企業を持つが急速に老化。2032年にグッドマンを訪ねるが漫画家としての情熱をすっかり失っており、老耄してBILLY BATを罵倒する。 【作風】 カルキン版のビリーの路線を踏襲しつつ、ビリーの服装などが現代風にアレンジされた。子供受けする内容で人気も急上昇した。作画がデジタル方式になり、3Dキャラクターによる映画化もされている。だが、混沌の時代に戦争をテーマにした内容になり、ファン離れが進んでしまう。更に内容も支離滅裂となってしまった。 唐麻 雑風(からま ぞふう) 紙芝居描きから赤本作家に転身した漫画家。戦後すぐに出版した『こうもり小僧の大冒険』という漫画が人気を博す。来日したヤマガタから弟子入りされる。スキンヘッドの男を「師匠」として慕い、彼の言葉を忠実に守ったまま亡くなる。戦前に来日したアインシュタインからコウモリの危険性を聞いている。また師匠の消息を追って渡米した際にヤマガタの父親に命を救われ、幼いヤマガタとも出会っている。「下山事件」など戦後の日本で起きる謎の事件を作中で予言したことから命を狙われるようになり、和歌山県の光森村に身を隠し、自身を慕う山下少年を弟子とする。 グッドマンの描き替えた過去では手塚治虫、来栖と並ぶ日本の戦後三大漫画家の一人とされている。 ペンネームの由来はカラマーゾフから。 “師匠” 本名不詳の自称漫画家。スキンヘッドに頬髭、欠けた歯が特徴の大男。胸にコウモリの入れ墨を持つ。獄中で出会った雑風にコウモリの絵を見せた。その後、渡米し、やがて産まれる「悪魔の子」ヘンリー・チャールズ・デヴィヴィエを巡る暗闘で命を落とす。
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