真の作者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/11 07:14 UTC 版)
「忠実な羊飼い (シェドヴィル)」の記事における「真の作者」の解説
『忠実な羊飼い』は1950年代後半にレコード録音がされるようになって曲への注目が高まると、偽作の可能性も言及されるようになってくるようになってきた。それにより、ミュゼット奏者として当時有名だったシェドヴィルの作品の可能性も取り沙汰されたが、決定的な証拠は発見されなかった。1970年代半ばになり、初めて公にこの曲集の真贋問題に言及したのは、リオム番号の生みの親であるデンマークの音楽学者ペーター・リオムだった。リオムはアルビノーニの作品10のヴァイオリン協奏曲集が、すでに1736年にはアムステルダムのミシェル=シャルル・ル・セーヌから出版されており、ヴィヴァルディほか三人の作曲家が、すぐれた販売成績を残しているアムステルダムの出版社ではなく、パリの出版社から初版を発行すると述べている上述の特許状の内容が不自然であることに言及し、真の作曲者はマルシャンではないかと推測した。 その後1989年に、フランスの研究者のフィリップ・レスカ (Philippe Lescat 1955-2002) が、フランス国立公文書館から、1749年9月17日付けの公証人の手によるマルシャンの供述書を発見した。供述書には「事実を申し上げれば、『忠実な羊飼い』と題されたヴィヴァルディの作品の本当の作者はシェドヴィル氏です。マルシャン氏は、1737年の特許状を得るため、また当該作品の製版を行うために名義を貸したにすぎません。……このためにシェドヴィル氏は必要な金銭の支払いを行いました。」とあり、真の作者がシェドヴィルであることが判明した。1990年にレスカがこの供述書を発表したことにより、真贋の問題に最終的な決着がついた。
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