ルネサンス期イギリスの匿名出版
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 01:56 UTC 版)
「シェイクスピア別人説」の記事における「ルネサンス期イギリスの匿名出版」の解説
反ストラトフォード派は、シェイクスピアが「代理人」であったという可能性を示唆するために、社会的地位の高い人々による匿名ないし変名出版を巡って同時代のエリザベス朝時代の人々が交わした議論を例に挙げている。ロジャー・アスカム(Roger Ascham)は著書"The Schoolmaster"(1570年)の中で、ローマの劇作家テレンティウスによって書かれたものとされている戯曲の内2つは、テレンティウスのような「奴隷の異邦人」が書いたにしては格調が高すぎるので、テレンティウスとも親しかった「勇者スキピオと賢者ラエリウス」が真の作者に違いないとの所説を述べている。同時代の作家について、前出のロバート・グリーンは「声望と威厳を守るために通俗的なパンフレットに手をつけることのできない者は、掲載用の名前のためにBatillus(アウグストゥス時代の無名の詩人)を見つけてくる。秘密の取引によって名誉を授けられたロバというわけだ」と書いている。このロバとはイエス・キリストがエルサレムへ入城するときに乗っていたためイエスとともに歓呼の声で迎えられたロバのことを指す。つまり、背に乗せて運んだ者(身分の高い真の作者)の受けるべき賞賛の分け前に与った下等な生き物(シェイクスピア)という通俗的な比喩である。
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