細胞壁
植物細胞で、細胞膜を外側に取り囲み、植物細胞の支持と保護に役く立つ。主成分はセルロールとペクチン。細菌の細胞壁はペプチドグリカン(糖タンパク質)が主体となる。
細胞膜
細胞壁 [Cell wall]
細菌の細胞壁はグラム陽性菌とグラム陰性菌とで構成成分が違うが、共通の成分は細菌特有のペプチドグリカンとよばれる多糖質とペプチドが結合した複合的な構造である。多糖部分はN-アセチルグルコサミンとそれに乳酸が結合したN-アセチルムラミン酸である。ペプチド部分はアラニン、グルタミン酸、リジン(またはジアミノピメリン酸)の鎖がグリシンで架橋された構造である。
グラム陽性菌はこのペプチドグリカン層が分厚く、タイコ酸(テイコ酸)とよばれる層が付随している。グラム陰性菌ではさらに複雑で、外部からリポ多糖、リポタンパク質、タンパク質の各層が被っている。グラム染色はこの細胞壁の構造の違いが原因していると考えられている
細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/01 18:35 UTC 版)
細胞壁(さいぼうへき)は、植物、菌類、細菌、古細菌類の細胞にみられる構造[1]。細胞膜の外側に位置するために細胞外マトリクスの1つである。
- ^ 動物細胞には存在しない。
- ^ “細胞壁”. BotanyWEB. Takeshi Nakayama. 2018年5月26日閲覧。
- ^ a b c d José Ruiz-Herrera (1991). Fungal Cell Wall: Structure, Synthesis, and Assembly. CRC Press. p. 9-11
- ^ a b c d e f g h i j k l 鈴木健一朗、平石明、横田明 『微生物の分類・同定実験法』丸善出版、2001年、97-99頁。ISBN 978-4-621-06330-9 。
- ^ a b ジョン・ウェブスター/椿啓介、三浦宏一郎、山本昌木訳、『ウェブスター菌類概論』(1985年)、講談社。58-59頁。
- ^ a b c d e 加来久敏 『植物病原細菌学』養賢堂、2016年、20-22頁。ISBN 978-4-8425-0553-4。
細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 17:54 UTC 版)
栄養細胞は細胞壁で囲まれるが、鞭毛性のウミイカダモ属のみは細胞外被を欠く。細胞壁を構成する繊維性多糖はふつうセルロースであるが、キシランやマンナンを主成分とするものもおり、同一種でも世代によって変わることがある。調べられているものでは、セルロース合成酵素複合体は複列線状。カサノリ目やハネモ目では、細胞壁に炭酸カルシウムがアラゴナイト (アラレ石) の形で沈着して石灰化するものもいる (右図)。このようなアオサ藻は、熱帯海域における石灰堆積物の主要構成要素となることがある (下記参照)。
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細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:37 UTC 版)
紅藻の細胞は、基本的に細胞壁で囲まれている。その細胞壁はふつう粘質多糖が多く、繊維性多糖が少ないため、明瞭な境界を示さないこともある。そのため、紅藻の細胞壁は細胞外基質 (extracellular matrix, ECM) とよばれることもある。例外的に、シアニディオシゾン (イデユコゴメ綱) は明瞭な細胞外被を欠く。細胞壁を構成する繊維性多糖は、ふつうセルロースであるが、種や生活環での時期によっては β-1,4マンナンやβ-1,3キシランのことがある。細胞壁を構成する粘質多糖には、ふつう多量のガラクタンが含まれる。このようなガラクタンとして、特に寒天 (アガロース、アガロペクチン) やカラギーナンがよく知られている。一般的に紅藻はこのような粘質多糖を多量に生成し、乾燥重量で藻体の70%に達することもある。粘質多糖はゴルジ体で生成され、分泌小胞経由で細胞外に分泌される。寒天を多く含む紅藻 (例: テングサ類) は寒天原藻 (agarophyte)、カラギーナンを多く含む紅藻 (例: キリンサイ類) はカラギーナン原藻 (carrageenophyte) とよばれる。 紅藻の中には、細胞壁に炭酸カルシウム を沈着させて石灰藻となるものもいる (すべて真正紅藻綱)。このような石灰化は、光合成における二酸化炭素濃縮機構と関連していると考えられている。石灰化する紅藻 (特に真正紅藻綱サンゴモ目) は沿岸域で量的に多く、その石灰化は生態的にも重要な働きを担っている (サンゴ礁や磯焼け) (右図)。
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細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 15:13 UTC 版)
菌糸の細胞壁の主要な構成成分は多糖類である。ほとんどの菌類に於いては、その大部分はキチンである。他にキトサンやβ-グルカンを同時に含んでいるものが多い。それらは繊維状となり、層をなしているのが普通である。
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細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/10 10:17 UTC 版)
接合藻の細胞壁は基本的に3層構造を示し、ふつう外側から外層 (outer layer)、一次壁 (primary wall)、二次壁 (secondary wall) からなる。 外層はペクチンなどを含んでいる。ときに粘液質で発達し (右図)、そのためアオミドロなどは触るとぬるぬるすることがある。このような粘質外層には、おそらく乾燥耐性 (水分保持)、栄養塩捕集、紫外線防御、被食防御、沈降抑制、付着などに機能している可能性がある。 一次壁は薄く、セルロースがランダムに配向している。チリモ目では一次壁を脱ぎ捨ててしまうこともある。この場合、外層が二次壁の外側に形成される。二次壁は厚く、セルロースが規則正しく配向している。 顆粒や突起などの細胞壁の装飾は、外層にのみ存在することもあるし、一次壁・二次壁に存在することもある。またチリモ目の細胞壁には多数の小孔があり、粘液質が分泌される。チリモ目の中でチリモ科以外の科 (ミカヅキモ科など) では小孔が外層のみにあるが、チリモ科では小孔が二次壁を貫通している。チリモ科では小孔を裏打ちする構造やクモの巣状の繊維構造で装飾されていることがある。
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細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)
古細菌の細胞壁は一般的にタンパク質性のS層である。S層は多くの細菌にも認められるが、細菌と異なりペプチドグリカンを持たず、S層そのものが細胞壁になっているという点で異なる。古細菌のS層は熱に対して極めて安定だが、細菌の細胞壁と異なり浸透圧変化に脆弱で機械的強度も弱いものが多い。メタノバクテリウム綱は、シュードムレインと呼ばれる糖ペプチドを持つ。これはペプチドグリカンの一種ではあるが、ムラミン酸やdアミノ酸を欠くという点で細菌の細胞壁と区別できる。Methanopyrus kandleri、Methanothermusは、シュードムレインの外側に更にS層がある。S層もシュードムレインも、その合成系の違いから、細菌の細胞壁合成を阻害するβ-ラクタム系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質は効果が無い。一般的な傾向として、グラム染色ではS層が陰性に、シュードムレインが陽性に染色される。 その他の細胞表層構造としては、シース(Methanospirillus、Methanosaeta)、メタノコンドロイチン(Methanosarcina)、多糖類(Halococcus)、グルタミニルグリカン(Natronococcus)などがある。また、テルモプラズマ綱は細胞壁が無い。多くの古細菌はグラム陽性細菌同様外膜を持たないが、Ignicoccus及びMethanomassiliicoccus luminyensis、未培養系統であるARMAN、アルティアルカエウム目は外膜(または外細胞膜)を持つ。これらは系統的に離れていて、進化的な意義は不明である。
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細胞壁
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/27 00:52 UTC 版)
細胞外皮は、細胞膜と細胞壁から構成される。他の生物と同様に、細菌の細胞壁は、細胞の構造の保全に寄与している。原核生物では、細胞壁の最大の役割は、外の環境と比べて細胞内にタンパク質やその他の分子が多く含まれていることによる膨圧から細胞を保護することである。細菌の細胞壁は、細胞膜のすぐ外側にペプチドグリカンが存在する点で他の生物のものとは異なる。ペプチドグリカンは、N-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンが交互に繋がった多糖骨格から構成され、細胞壁に堅牢性を与え、細胞の形を決めている。これは比較的多孔質であり、小分子の浸透の障壁にはならないと考えられている。マイコプラズマ等の少数の細胞外寄生細菌を除き、全ての細菌の細胞壁はペプチドグリカンを含むが、全て細胞壁が同じ全体構造を持つ訳ではない。また、動物細胞は細胞壁を持たないため、ペニシリンやセファロスポリン等の抗生物質は細胞壁合成阻害により細菌の感染を抑えるが、ヒトの細胞には影響を及ぼさない。細菌は、細胞壁のグラム染色特性の違いにより、グラム陽性菌とグラム陰性菌に分けることができる。どちらの細胞壁でも、直径2nm程度の粒子はペプチドグリカン層を通り抜ける。細胞壁が完全に取り除かれたものはプロトプラストと呼ばれ、部分的に取り除かれたものはスフェロプラストと呼ばれる。ペニシリン等のβ-ラクタム系抗生物質は、細胞壁のペプチドグリカンの合成を阻害する。ヒトの涙に含まれている酵素であるリゾチームも細菌の細胞壁を消化、殺菌でき、これは眼への細菌の感染を防止する主要な生体防御機構となっている。
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細胞壁
「細胞壁」の例文・使い方・用例・文例
- 細胞壁のリグニンの証言録取書の結果としての木のように困難にします
- 硬い細胞壁をもつ細菌の大きなグループ
- 細胞壁が不足し、酸素なしで生きのびることができる一群の小さな寄生虫細菌の総称
- 二酸化珪素により飽和した細胞壁を持つ微小単細胞海洋性もしくは淡水性群体藻
- 主に淡水性の真核性藻類の大きな門で、クロロフィルaとbを加工処理し、食物として澱粉およびセルロース細胞壁を蓄える
- 細胞壁
- 神経インパルスが伝達される時の、細胞壁を越える局所的な電圧変化
- 物質の連続する層の堆積物による細胞壁の厚みの増加
- 細胞壁の既存の粒子間の新しい粒子の堆積による細胞表面積の増加
- あるバクテリアの細胞壁を破壊する、唾液、汗、および涙に見られる酵素
- 植物の細胞壁のみを取り除くこと
- プロトプラストという,植物細胞の細胞壁以外の物質
細胞壁と同じ種類の言葉
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