吸入麻酔薬
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吸入麻酔薬(きゅうにゅうますいやく)は、呼吸器から吸収され作用を発現する麻酔薬である。主に呼吸器から排出される。現在存在する吸入麻酔薬はすべて全身麻酔薬である。
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- ^ “Chapter 1: the History of Anesthesia”. Clinical Anesthesia. Lippincott Williams & Wilkins. (1 January 2011). pp. 113–. ISBN 978-1-4511-2297-8
- ^ 高野 2008, p. 21.
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揮発性麻酔薬
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エーテル(物質名としてはジエチルエーテルであるが、慣習的にエーテルといわれる) 爆発性があるため、電気メスと併用ができないため現在は用いることがない吸入麻酔薬である。逆に電気メスといった器具が登場する以前は、愛用する医師が多かった。血圧、脳圧の上昇、血糖値の上昇といった交感神経刺激作用があるものの不整脈は起こしにくい。気管支拡張作用はあるものの気道刺激性が強く喉頭痙攣をおこすことがある。非脱分極性筋弛緩薬の作用を増強することが知られている。クロロホルムと同様、ドラマでハンカチにしみこませて意識を失わせるという場面で登場するが、他の吸入麻酔薬と同様、導入は遅いためそのような使い方はできない。現在は実験動物の麻酔で用いられるくらいである。 ハロタン(ハロタン、フローセン) クロロホルムをリードとするハロゲンを導入した爆発性のない吸入麻酔薬である。ハロゲンを含有する揮発性麻酔薬は循環式麻酔において強塩基性の二酸化炭素吸収材(ソーダライム、バラライム等)との反応性に留意する必要がある。また、肝毒性が問題になりやすく、ハロタンもハロタン肝炎と呼ばれる肝毒性が知られることとなり、使用されなくなった。気管支拡張作用が吸入麻酔薬の中で最も高い。アドレナリンとの併用によって不整脈が起こることが知られている。また悪性高熱症の発生頻度が多いことも知られている。 メトキシフルラン(ペントレン) 非爆発性のエーテルと形容される吸入麻酔薬である。非爆発性であるため電気メスとの併用が可能であり大いに期待された麻酔薬であったが腎毒性が明らかとなり発売中止となった。 エンフルラン(エトレン) ハロタンとよく似た性質をもち、肝毒性を克服した吸入麻酔薬である。イソフルラン、セボフルランの出現で使用されなくなってきた。非脱分極性筋弛緩薬の増強作用だけでなく、単独でも他の揮発性麻酔薬に比べて強い筋弛緩作用をもつ。 イソフルラン(フォーレン) エンフルランの構造異性体であり、エンフルラン同様、ハロタンの欠点を補うようにデザインされた吸入麻酔薬である。血液/ガス分配係数が高く、また刺激臭を有するため導入には使いづらい。麻酔維持の目的で亜酸化窒素併用化で0.5~1.5%で用いられることが多い。脳圧、脳代謝抑制作用を持つため、脳神経外科の領域で使われることが多かったが、近年は覚醒が速やかで手術後の神経学的評価のしやすさに優れるセボフルランやデスフルランに取って代わられつつある。ハロタンと比べ、肝毒性は極めて低くなったものの肝障害の患者には使わない方が良いとされている。ハロタン同様に悪性高熱症をおこすことがあるといわれている。頻脈をおこすことがセボフルランと対照的である。 セボフルラン(セボフレン) 2007年現在、導入が早く、覚醒も早いといわれる揮発性麻酔薬である。血液/ガス分配係数は0.63であり、亜酸化窒素の0.47にかなり近い。エンフルランより強い筋弛緩薬の増強作用をもち、気管支拡張作用を持つため、気管支喘息の患者にも使いやすい。一部が麻酔回路中のソーダライム(ソーダ石灰)と反応し腎障害をおこすとされているコンパウンドAを生成することが知られている。このため腎障害の患者には使わない方が良いとされている(腎障害は殆どないとされているが)。イソフルランのような刺激臭もなく、導入にも維持にも用いることができる。緩徐に2~3呼吸ごとに0.5%ずつ濃度をあげていき5~8%まで上げていく緩徐導入(5~8分)やいきなり5~8%の高濃度を吸入させる急速導入のどちらでも使用可能である。刺激の少なさと合わせて、小児領域の麻酔では非常に好まれる。徐脈をおこすことがイソフルランと対照的である。環境での分解半減期は1.1年程度。 デスフルラン(スープレン) 欧米に遅れて2011年より日本でも使用可能となった吸入麻酔薬である。血液/ガス分配係数は0.42で亜酸化窒素よりも低い。沸点が23.5度。セボフルランより時間にすると数分だが覚醒が速い。3時間以上継続使用しても、覚醒が遅くなることはない(長時間麻酔に有利)。覚醒後の喉頭・咽頭反射の回復が速い。ソーダライムとの反応はほとんどない。気道刺激が強く、麻酔導入には使えない。半減期14年、環境負荷大きい。閉鎖麻酔、極低流量麻酔により環境負荷を減らして使用することが望ましい。
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