アセトフェノンとは? わかりやすく解説

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アセトフェノン

分子式C8H8O
その他の名称ヒプノン、アセチルベンゼン、Hypnone、Acetophenone、Acetylbenzene、1-Phenylethanone、Methyl phenyl ketone、RCRA waste number U-004、USAF EK-496、Methyl (phenyl) ketonePhenyl methyl ketone、1-Phenylacetaldehyde、Phenyl (methyl) ketone、フェニルメチルケトン、1-(Phenyl)ethanone、4-Acetylbenzene、1-Acetylbenzene、3-Acetylbenzene、1-Phenylethan-1-one
体系名:1-(フェニル)エタノン、1-フェニルエタン-1-オン、3-アセチルベンゼン、1-アセチルベンゼン、4-アセチルベンゼン、メチル(フェニル)ケトンフェニル(メチル)ケトン、メチルフェニルケトン、1-フェニルエタノン、アセトフェノン、1-フェニルアセトアルデヒド


アセトフェノン

名称アセトフェノン
英名acetophenone
別名メチルフェニルケトン,1-フェニルエタノン
化学式C8H8O
香りオレンジ花臭
状態l (無色)
融点20.5
沸点202
比重※1.0329(d15/15)
性質有機溶媒可溶に微溶
用途着香料洗剤フローラル調合香料
有機性160
無機80
分子データ
» 「動く分子事典」の分子モデル表示の特性について、「生活環境化学の部屋」より補足説明をいただいております。

アセトフェノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/09 23:32 UTC 版)

アセトフェノン
acetophenone
識別情報
CAS登録番号 98-86-2
KEGG C07113
特性
化学式 C8H8O
モル質量 120.15 g mol−1
示性式 C6H5COCH3
外観 無色液体
匂い 刺激的なアーモンド、ベンズアルデヒド様香気[1]
オレンジの花やジャスミンのような甘い刺激臭[2]
嗅覚閾値 0.83mg/m3[2]
密度 1.033 (15 ℃)
融点

20.5 °C, 294 K, 69 °F [3](凝固点は19.2℃以上[1])

沸点

202 °C, 475 K, 396 °F [3]

への溶解度 6.13g/L (25℃)[3]
溶媒への溶解度 アルコールエーテルに可溶。クロロホルム、油脂など多くの有機溶剤と任意の割合で混和する。[3]
酸解離定数 pKa 16 (水中)
屈折率 (nD) 1.5339 (20 ℃)
危険性
安全データシート(外部リンク) [3]
引火点 76℃[1]
発火点 571℃
爆発限界 1.1%[1]
半数致死量 LD50 740g/kg(ラット、経口)[4]
関連する物質
関連する誘導体 クロロアセトフェノン
アミノアセトフェノン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アセトフェノン: acetophenone)は、芳香族ケトンに分類される有機化合物の一種である。この名称は慣用名であり、IUPAC命名法では、その構造を 1-フェニルエタノン: 1-phenylethanone)と表す。無色の液体であるが融点が室温に近く、低温では白色板状結晶、または結晶塊となる。ベンズアルデヒドに似た芳香を呈し、希釈するとホーソンオレンジの花のような香りとなる[1]

合成

ベンゼンと、塩化アセチルあるいは無水酢酸とを、塩化アルミニウムなどのルイス酸を用いたフリーデル・クラフツ反応の条件下で縮合させると、アセトフェノンが得られる。意図しない発生源としては、エチレン酢酸ビニル発泡体製造時において、架橋剤過酸化ジクミル英語版を使用した際に2-フェニル-2-プロパノール英語版とともに副生成物として生じることがある[2]

反応

アセトフェノンは、還元水素化酸化求核的付加アルドール反応 など、ケトンに特徴的な多くの反応の基質となる。アルドール反応(クライゼン・シュミット縮合)の一例としてカルコンの合成を挙げる[5]

カルコンの合成

光化学的性質

励起状態の中で、3*励起状態(n→π*励起されたジラジカル体で、三重項のもの)が、1*励起状態(同様に一重項のもの)や3ππ*励起状態よりも安定であるため、アセトフェノンが、n→π*励起を受けた場合は、速やかに3*励起状態に変化し、一定の寿命で存在する。その性質から、増感剤 (photosensitizer) として利用される[6]

用途

石鹸洗剤などの安価な工業用調合香料[1]セルロースやエステル、樹脂などの溶媒[3]医薬品などの合成原料として使用される[7]明治時代の精神科の医療現場では「ヒプノン」の名称で催眠剤として使用された記録が残る[3][8]

アセトフェノンの誘導体には催涙剤クロロアセトフェノンや、抗真菌活性を持つ2',6'-ジヒドロキシ-4'-メトキシアセトフェノン[9]などがある。

出典

  1. ^ a b c d e f (合成香料編集委員会 2016, pp. 343–344)
  2. ^ a b c アセトフェノン及び 2-フェニル-2-プロパノール” (PDF). AFIRM Group (2021年3月). 2023年12月25日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g アセトフェノン”. 厚生労働省 職場のあんぜんサイト (2005年12月28日). 2023年12月25日閲覧。
  4. ^ 化学物質の環境リスク評価 第7巻” (PDF). 環境省. 2023年12月25日閲覧。
  5. ^ Kohler, E. P.; Chadwell, H. M. Org. Synth., Coll. Vol. 1, p. 78 (1941); Vol. 2, p.1 (1922). オンライン版
  6. ^ Smith, C. D. Org. Synth., Coll. Vol. 6, p.962 (1988); Vol. 51, p.133 (1971). オンライン版
  7. ^ アセトフェノン”. 富士フイルム和光純薬. 2023年12月25日閲覧。
  8. ^ 五位野政彦「明治時代の精神科医療における医薬品―医学資料からの調査―」(PDF)『薬史学雑誌』第56巻第1号、日本薬史学会、2021年、25-38頁、2023年12月25日閲覧 
  9. ^ 青山政和、森満範、奥村真由己、土居修一、姉帯正樹「2',6'-ジヒドロキシ-4'-メトキシアセトフェノンとその関連化合物の抗真菌活性」(PDF)『林産試験場報』第11巻第3号、北海道立総合研究機構森林研究本部林産試験場、1997年5月、15-18頁、2023年12月25日閲覧 

参考文献




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