ベンズアルデヒドとは? わかりやすく解説

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ベンズアルデヒド【benzaldehyde】

読み方:べんずあるでひど

芳香族アルデヒドの最も簡単なもの。芳香をもつ無色液体。モモ・アンズの種子などに含まれ苦扁桃(くへんとう)油の主成分石鹸(せっけん)などの香料使用化学式C6H5CHO

ベンズアルデヒドの画像

ベンズアルデヒド

分子式C7H6O
その他の名称Benzaldehyde、アーティフィシャルアーモンドオイル、アーモンド精油、ベンゼンカルボナール、Benzenecarbonal、Artificial almond oil、Benzoic aldehyde、2-Formylbenzene、Benzenecarboaldehyde、1-Formylbenzene、3-Formylbenzene、4-Formylbenzene、Almond essential oil
体系名:4-ホルミルベンゼン、1-ホルミルベンゼン、3-ホルミルベンゼン、ベンゼンカルボアルデヒド、ベンズアルデヒド、2-ホルミルベンゼン


ベンズアルデヒド

名称ベンズアルデヒド
英名benzaldehyde
別名
化学式C7H6O
香りアーモンド
状態l(無色淡黄色
融点-26
沸点179
比重1.043(d25/4)
性質アルコールエーテル不揮発性油,揮発性油に易溶/難溶
用途フレーバー素材
有機性140
無機80
分子データ
» 「動く分子事典」の分子モデル表示の特性について、「生活環境化学の部屋」より補足説明をいただいております。

ベンズアルデヒド

【仮名】べんずあるでひど
原文benzaldehyde

香味料として、あるいは染料香料薬剤生成用いられる無色油性液体。ベンズアルデヒドはベンゼン化学的に近縁の物質である。

ベンズアルデヒド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/25 13:20 UTC 版)

ベンズアルデヒド
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.002.601
KEGG
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 C7H6O
モル質量 106.12 g mol−1
示性式 C6H5CHO
外観 無色液体
密度 1.0415 g/mL
融点

−56.5 °C, 217 K, -70 °F ([1])

沸点

179 °C, 452 K, 354 °F ([1])

への溶解度 難溶
(0.6 w/w%、20 ℃)
屈折率 (nD) 1.5456 (20 ℃, D)[1]
粘度 1.4 cP (25 ℃)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −86.8 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo −3525.1 kJ/mol
危険性
EU分類 Harmful (Xn)
NFPA 704
2
2
0
Rフレーズ R22
Sフレーズ S2, S24
引火点 63 ℃ (Closed Cup)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ベンズアルデヒド (benzaldehyde) は、芳香族アルデヒドに分類される有機化合物のひとつ。IUPAC系統名は、ベンゼンカルバルデヒド (benzenecarbaldehyde) 。ベンゼン水素原子一つが、ホルミル基(アルデヒド基)で置換された構造を持つ。

無色の液体。苦扁桃油(アーモンドの一種から取った薬用油)様の香気を持ち、揮発しやすい。芳香族アルデヒドは特異な臭いを有するものが多いが、ベンズアルデヒドはアーモンド、杏仁(アンズの種)の香り成分である。安価な香料として用いられるほか、抗炎症作用が認められている。酸化されやすく、酸化されると安息香酸になり、表面に膜状様物質として浮かぶ。

製法

トルエンを60%硫酸二酸化マンガンによって穏やかに酸化することで得られる(酸化力が強い場合には安息香酸まで反応が進む)。ジクロロメチルベンゼン(塩化ベンザル)の加水分解によっても得られる。

1995年の実績では年間7000トンが生産され、大半は化学合成によるものであるが、天然品も100トンほど生産されている。ヤニタケ属のIschnoderma benzoinumにL-フェニルアラニンを添加し培養すると、培養液1リットルあたり1グラムのベンズアルデヒドと3-フェニル-1-プロパノールが生じる[2]

反応

銀鏡反応に対しては陽性、フェーリング液に対しては陰性を示す。水酸化ナトリウムなどの強塩基とともに加熱すると、カニッツァーロ反応によりベンジルアルコール安息香酸とに不均化する。触媒量のシアン化カリウムの存在下に加熱すると、ベンゾイン縮合によりベンゾイン(C6H5C(=O)CH(OH)C6H5)に変わる。

用途

食品や化粧品などの匂い付け[3]

マンデル酸などの化学物質の合成。

害虫忌避剤
イガ幼虫[4]、 線虫[5]、蜂[6]などの忌避剤となる。
そのため、養蜂家が蜂の巣から蜜をとる時に使用されたりする[7]

出典

  1. ^ a b c Merck Index 13th ed., 1057.
  2. ^ 井上重治『微生物と香り ミクロの世界のアロマの力』フレグランスジャーナル社、2002年8月1日、165頁。ISBN 4-89479-057-2 
  3. ^ “Final Report on the Safety Assessment of Benzaldehyde1” (英語). International Journal of Toxicology 25 (1_suppl): 11–27. (2006-01-01). doi:10.1080/10915810600716612. ISSN 1091-5818. https://journals.sagepub.com/doi/10.1080/10915810600716612. 
  4. ^ 下瀬, 純子; 角田, 幸雄; 辻井, 康子; 江川, 宏 (1984-03). “イガ幼虫の食害に対する精油の阻止効果”. 島根女子短期大学紀要 22: 17–20. ISSN 0288-9226. https://cir.nii.ac.jp/crid/1050845763131150208. 
  5. ^ 線虫における新規匂い物質受容体、ベンズアルデヒド受容体の同定と機能解析”. KAKEN. 2025年4月26日閲覧。
  6. ^ Evans, Elizabeth; Butler, Carol (2010-02-09) (英語). Why Do Bees Buzz?: Why Do Bees Buzz? Fascinating Answers to Questions about Bees. Rutgers University Press. pp. 177–178. ISBN 9780813549200. https://books.google.com/books?id=xzQ4NWlIrHwC&pg=PA177 
  7. ^ Sanford, Malcolm T.; Bonney, Richard E. (2010-01-01) (英語). Storey's Guide to Keeping Honey Bees: Honey Production, Pollination, Bee Health. Storey Publishing. p. 167. ISBN 9781603425506. https://books.google.com/books?id=cos5WSDNKrEC&pg=PA167 

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