揮発性酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:03 UTC 版)
「マロラクティック発酵」の記事における「揮発性酸」の解説
揮発性酸は通常は酢酸の量で計測されるが、官能的には酢酸(酢のような匂いがある)だけでなく酢酸エチル(除光液や模型用の接着剤のような匂い)の組み合わせが関係する。揮発性酸が多いと酵母の活動が阻害され、発酵の遅延や停止を招きかねない。乳酸菌以外にも、アセトバクター、ブレタノマイセス属、カンジダなどの産膜酵母といったいくつかの微生物が揮発性酸を生成する。乳酸菌は酢酸のみを生成するのが一般的であるが、それ以外は酢酸と酢酸エチルをともに生成することが多い。 多くのワイン生産国において、販売・消費されるワインには法的に揮発性酸の許容量の上限が存在する。アメリカ合衆国における法的な上限は、他国からの輸入ワインで0.9g/L、テーブルワインにおいては白ワインで1.4g/L、赤ワインで1.5g/L、デザートワインでは白ワインで1.7g/L、赤ワインで1.8g/Lである。EUの規定では、白のテーブルワインに対しては1.08g/L、赤では1.2g/Lが上限である。 オエノコッカス属やラクトバシラス属のうちヘテロ型発酵を行う菌種はグルコースの代謝を通して多量の酢酸を生成しうる。もっとも、オエノコッカス・オエニの場合、多くの菌株で生成量はわずか0.1~0.2g/Lである。ペディオコッカス属のなかにも別の反応経路で酢酸を生成する種がある。pHが3.5を超えるような高pHはラクトバシラス属やペディオコッカス属にとって好ましい環境であるため、そのような状況から発酵を始めると酢酸が過剰になるリスクが極めて大きい。L. Kunkeeiは“凶暴”と形容される乳酸菌であるが、これは3~5g/Lという容易に発酵が停止するほどの量の酢酸を産生する。
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