腎毒性とは? わかりやすく解説

腎毒性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 10:22 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

腎毒性(Nephrotoxicity)とは、化学物質による腎障害を発症させる性質を意味する。有害化学物質でも薬剤でも、何らかの物質が腎機能に毒作用を及ぼす事を指す[1]。薬剤により腎毒性が発現した状態を、薬剤性腎障害(Drug-induced renal injury)という[2]。様々な形態があり[3]、薬によっては複数の方法で腎機能に影響を与える場合もある。腎障害を引き起こす化学物質は腎毒素と呼ばれている。

腎毒性は、主に腎臓から排泄される幾つかの薬が、腎機能の低下に合わせて投与量を調整する必要がある事と混同してはならない(例:ヘパリンリチウム)。

成因

剤性腎障害の発症機序は以下の3つに大別される[2]

  • 直接型:薬剤が直接腎臓に作用するもので、用量依存的に発症頻度が増加する。
  • 過敏型:アレルギーにより腎障害が発生するもので、用量に非依存的である。
  • その他:免疫学的機序を介した糸球体障害(微小変化型、膜性腎症)、腎血流低下、血管障害、閉塞性腎症など

毒性の種類

心血管系作用

尿細管への直接作用

急性間質性腎炎

慢性間質性腎炎

急性糸球体腎炎

薬剤性糸球体疾患は一般的ではないが、幾つかの薬剤が関与していると言われている。糸球体病変は、直接的な薬物毒性ではなく、主に免疫介在性の経路で生じる。

尿崩症の原因薬剤

その他の腎毒素

診断

腎毒性は、通常、簡単な血液検査によってモニタリングされる。クレアチニンクリアランスの低下は、腎機能の低下を示す。クレアチニンの正常値は、80~120μmol/Lである。画像下治療では、患者のクレアチニンクリアランス値は毎回処置の前に確認される。

血清クレアチニンは腎機能の別の指標であるが、初期の腎臓病患者を扱う場合には臨床的にはこちらの方が有用であると思われる。

関連項目

出典

  1. ^ a b Abyar, Selda; Khandar, Ali Akbar; Salehi, Roya; Abolfazl Hosseini-Yazdi, Seyed; Alizadeh, Effat; Mahkam, Mehrdad; Jamalpoor, Amer; White, Jonathan M. et al. (December 2019). “In vitro nephrotoxicity and anticancer potency of newly synthesized cadmium complexes” (英語). Scientific Reports 9 (1): 14686. doi:10.1038/s41598-019-51109-9. ISSN 2045-2322. PMC 6789105. PMID 31604983. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6789105/. 
  2. ^ a b 臨床と検査 -病態へのアプローチ-(VOL.61)~薬剤性腎障害~”. 一般社団法人 福岡市医師会. 2021年9月21日閲覧。
  3. ^ Galley, H. F. (2000-02). “Can acute renal failure be prevented?”. Journal of the Royal College of Surgeons of Edinburgh 45 (1): 44–50. ISSN 0035-8835. PMID 10815380. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10815380. 
  4. ^ a b “Calcineurin inhibitor nephrotoxicity”. Clin. J. Am. Soc. Nephrol. 4 (2): 481–509. (2009). doi:10.2215/CJN.04800908. PMID 19218475. 
  5. ^ a b USMLE WORLD QBanks 2009, Step1, Pharmacology, Q74

関連文献

  • Choudhury, Devasmita; Ahmed, Ziauddin (2006). “Drug-associated renal dysfunction and injury”. Nature Clinical Practice Nephrology 2 (2): 80–91. doi:10.1038/ncpneph0076. PMID 16932399. 
  • Szeto, CC; Chow, KM (2005). “Nephrotoxicity related to new therapeutic compounds”. Renal Failure 27 (3): 329–33. doi:10.1081/jdi-56595. PMID 15957551. 

腎毒性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 03:36 UTC 版)

シスプラチン」の記事における「腎毒性」の解説

発現機序 シスプラチンは主に近位尿細管細胞障害する。 対処法組織内でのシスプラチン濃度低下させ、毒性軽減することを目的水分負荷水分与えておくこと、ハイドレーションとも言う)及び強制利尿を行う。このため投与時は尿量を調べることが必須となる。総投与量300700 mg/m2 までは腎機能障害発現頻度は低いとされている。なお、フロセミドによる強制利尿を行う場合には腎障害聴器障害増強されることがあるので、輸液等による水分補給十分に行うことが重要となる。

※この「腎毒性」の解説は、「シスプラチン」の解説の一部です。
「腎毒性」を含む「シスプラチン」の記事については、「シスプラチン」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「腎毒性」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「腎毒性」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「腎毒性」の関連用語

腎毒性のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



腎毒性のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの腎毒性 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのシスプラチン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS