心毒性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/19 14:50 UTC 版)
心毒性(しんどくせい、英: cardiotoxicity)とは、化学物質が心臓の電気生理学的機能障害や心筋の損傷を発生させる性質を意味する。心臓が弱くなり、血液を循環させるためのポンプ機能が低下する。心毒性は、アントラサイクリン系の化学療法[1][2]、5-FU系薬剤の投与、抗HER2抗体の投与[3]、神経性食欲不振症の合併症、重金属の摂取、コカイン等の強い刺激物の長期服用や高用量摂取、ブピバカイン等の薬剤の誤投与などが原因となる[要出典]。
また、QT延長症候群を引き起こす薬剤として、多くの薬剤が知られている[4]。医薬品開発においては、QTまたはQTc[注 1]の延長を来す薬剤を検出すべく、医薬品規制調和国際会議[注 2]が2009年に前臨床試験のガイドライン『ヒト用医薬品の心室再分極遅延(QT間隔延長)の潜在的可能性に関する非臨床的評価』[5]と臨床試験のガイドライン『非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価』[6]を定めている。
QT延長を起こし市場から撤退した薬物として、下記の様なものが挙げられる[7]。
関連項目
脚注
注釈
- ^ 補正QT間隔:QT間隔を心拍数で補正して、心拍数60回/分(RR間隔 = 1秒)の心拍数に換算した時のQT時間。
- ^ International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use; ICH。日米欧三極会議体。
出典
- ^ Huang, C.; Zhang, X.; Ramil, J. M.; Rikka, S.; Kim, L.; Lee, Y.; Gude, N. A.; Thistlethwaite, P. A. et al. (2010). “Juvenile Exposure to Anthracyclines Impairs Cardiac Progenitor Cell Function and Vascularization Resulting in Greater Susceptibility to Stress-Induced Myocardial Injury in Adult Mice. Cardiotoxins are the second most toxic venom while neurotoxins are the first.”. Circulation 121 (5): 675–83. doi:10.1161/CIRCULATIONAHA.109.902221. PMC 2834271. PMID 20100968 .
- ^ Volkova M, Russell R (2011). “Anthracycline Cardiotoxicity: Prevalence, Pathogenesis and Treatment”. Curr Cardiol Rev 7 (4): 214–220. doi:10.2174/157340311799960645. PMC 3322439. PMID 22758622 .
- ^ “アントラサイクリン系薬剤(ドキソルビシン等)、抗HER2抗体(トラスツズマブ等) | 心毒性 | 副作用とその対処法(インフォメーションモデル) | 東和薬品「抗がん剤ナビ」”. navi.towa-oncology.jp. 2021年9月21日閲覧。
- ^ “薬剤性QT延長症候群を来たす薬剤”. 救命救急センター 東京医科大学八王子医療センター (2012年12月21日). 2021年9月21日閲覧。
- ^ “ヒト用医薬品の心室再分極遅延(QT間隔延長)の潜在的可能性に関する非臨床的評価について”. PMDA. 2021年9月23日閲覧。
- ^ “非抗不整脈薬におけるQT/QTc間隔の延長と催不整脈作用の潜在的可能性に関する臨床的評価について”. PMDA. 2021年9月23日閲覧。
- ^ “QTDrugs Lists (registration required) :: Crediblemeds”. crediblemeds.org. 2021年9月22日閲覧。
外部リンク
- 高岡雅哉「〈創薬シリーズ(3) その3 化合物を医薬品にするために必要な安全性試験〉 心循環毒性」『日本薬理学雑誌』第132巻第4号、日本薬理学会、2008年10月、221-225頁、doi:10.1254/fpj.132.221、ISSN 13478397、NAID 10024384004。
心毒性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 04:11 UTC 版)
エピルビシンは、他のアントラサイクリン系抗がん剤と同様、蓄積性の心毒性が現れる恐れがある。そのため、他のアントラサイクリン系薬剤による前治療が限界量(塩酸ドキソルビシンでは総投与量が500 mg/m2、塩酸ダウノルビシンでは総投与量が25 mg/kg)に達している患者には投与禁忌となっている。また、アントラサイクリン系薬剤未治療の場合においても、エピルビシンの総投与量が900 mg/m2を超えると、鬱血性心不全の発現率が増加することから、ほとんどの場合これを上限とした投薬計画が立てられる。
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