拡大交渉参加国
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「環太平洋パートナーシップ協定」の記事における「拡大交渉参加国」の解説
アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーは参加を表明し、拡大交渉会合に第1回から参加している。次いで、マレーシア、コロンビア、カナダも参加の意向を明らかにした。その内、マレーシアが交渉国として認められた。同時にカナダ、メキシコも交渉に参加し、最後に日本が交渉に参加した。 オーストラリア 2018年5月25日に、CPTPP実施のための3法案のうち、政府調達に関係する法案が、議会下院へ提出され、ついで2018年8月23日に、3法案のうち関税関係の2法案が、議会下院へ提出された。オーストラリア最大野党の労働党は、法案について9月12日に賛成をすることを決定した。関税関係の2法案は、9月17日に下院において労働党の提出した修正案を採決し、71対71となったが議長採決で否決し、ついで本案について反対3で可決し、下院を通過した。翌9月18日に2法案は上院へ送付され、残る政府調達関係の法案も9月19日に可決し翌9月20日に2法案は上院へ送付された。関税関係の2法案は、10月17日に賛成33、反対15で上院通過し、政府調達関係の法案も10月18日に上院通過した。これら3法案は、10月19日に総督承認(英語版)がされ法案が成立した。オーストラリアは10月31日、CPTPPを批准し、CPTPPの6番目の締約国になった。 カナダ 酪農などの市場開放が十分でないとの理由で2010年10月に一旦、TPP交渉参加を断られた。その後、2012年11月にTPP拡大交渉に参加したが、カナダのファスト国際貿易相は、中国向け輸出拡大を目指す経済交流に参加する為、2014年5月19日の閣僚会合に欠席。首席交渉官が代理を務めた。 The Council of Canadiansは、TPPによって大規模製薬会社が薬価をつり上げることを狙っていると論じる。またイーライリリー・アンド・カンパニーの例を出し、TPPに含まれるISDSの下で大規模製薬企業が国家を相手取り訴訟をおこすだろうと述べる。TPPはカナダの公的保健制度を弱め、製薬会社の知的財産権を強め、薬剤市場での独占を日常的にするだろう。また、TPPは製薬会社の研究開発の不透明性を高める。薬剤登録に関して、政府が製薬会社に対して研究開発のコストについての情報を提示させるような情報公開をTPPは阻害するのだという。 2018年6月14日に、CPTPPの実施法案が下院に提出された。同法案は、与党自由党だけでなく、TPPの交渉を進めてきた前政権与党の保守党も早期の審議を目指して議会内で働き掛けを行っていた。一方、野党の新民主党(NDP)は、製造業と農業分野での失業の原因となるとして反対している。10月16日、賛成236、反対44で下院を通過し、上院へ送付された。10月25日、法案は上院において発声投票で可決し、同日総督承認(英語版)がされ法案は成立した。カナダは10月29日、CPTPPを批准し、CPTPPの5番目の締約国になった。 日本 詳細は「日本のTPP交渉及び諸議論」を参照 自由民主党は、第46回衆議院議員総選挙選挙公約として、聖域なき関税撤廃を前提にする限りはTPPの交渉参加に反対すると明言していた。ある議員は明確に交渉参加反対を宣言し当選し、ある支部では「嘘つかない・TPP断固反対・ぶれない・日本を耕す自民党」と書かれたポスターを製作していた。しかし、同党は自公政権再開後の2013年春、TPP反対の立場からTPPへの参加を表明した。 2016年3月8日、政府はTPP協定締結承認案件及び国内実施法となる「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」を第190国会に提出、された。両案は、衆参両院とも環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会に付託されたが、第190国会、第191国会では継続審議になり、第192国会において、衆議院で同年11月10日に、参議院で同年12月9日に、それぞれ締結承認案件及び国内実施法案が可決された。賛成会派は、自民、公明、維新、無所属クラブ、日本のこころ、反対会派は、民進、共産、希望の会(自由・社民)、沖縄の風であった。環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律は、2016年12月16日づけの官報(号外 第278号)で平成28年法律第108号として公布された。 2017年1月20日、日本時間午前の閣議決定を経て、午後に政府は協定の国内手続の完了を在ニュージーランド大使を通じ寄託国ニュージーランドに通報した。なお、同日東部標準時午後アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプは就任直後ホワイトハウスのホームページで公式にTPPからの離脱を表明した。 2018年3月27日に、CPTPPの締結承認案件と関連国内法の改正としてのTPP整備法改正法案が閣議決定され、同日衆議院へ提出された。関連国内法の改正案は、基本的にはTPP協定発効の日となっていた施行日についてCPTPP協定の発効日とするものであるが、TPP上のセーフガードにより廃止予定であった牛肉関税の緊急措置(関税暫定措置法7条の5)は、主要牛肉輸出国の米国がTPPから抜けたため維持されることになり、この部分の施行日だけは依然としてTPP12発効日のままとされた。他方、今回のTPP整備法改正法案では著作権法および特許法のTPP整備法による改正の施行日もCPTPP発効日としており、日本はこの部分については適用停止条文の義務でも実施することになる(たとえば、著作権保護期間の延長(18.63条)、アクセスコントロール回避規制(18.68条)など)。 CPTPPの締結承認案件は、特別委員会を設置せず、常任委員会(衆議院は外務委員会、参議院は外交防衛委員会)に付託され、2018年5月18日に衆議院で自由民主党、公明党、日本維新の会及び希望の党の賛成で可決され、同年6月13日に参議院で、自由民主党・こころ、公明党、日本維新の会、希望の党、無所属クラブ、国民の声及び無所属の一部(山口和之、渡辺喜美)の賛成多数で可決、承認された。 TPP整備法改正法案も、衆参両院とも常任委員会である内閣委員会で付託され、2018年5月24日に衆議院で自由民主党、公明党、日本維新の会及び希望の党の賛成で可決され、同年6月29日に参議院で、自由民主党・こころ、公明党、日本維新の会、希望の党、無所属クラブ、国民の声及び無所属の一部(山口和之、渡辺喜美)の賛成多数で可決、成立した。TPP整備法改正法は、2018年7月6日づけの官報(号外 第147号)で平成30年法律第70号として公布された。 国会での協定の承認と関係国内法改正の成立をうけ、2018年7月6日、日本政府は在ニュージーランド大使館から協定の寄託国であるニュージーランド政府宛てに国内手続の完了通報を行い、メキシコに次いで2番目の国内手続の完了国となった。 協定の発効を受けて2018年12月27日の官報号外第289号でCPTPP協定は条約第16号として公布された。この公布された協定は、本文7か条と附属書のみであるが、同日付の外務省告示第416号「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の効力発生に関する件」は、CPTPP協定の発効日と当初の締約国のほか、なおとして「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定第1条1の環太平洋パートナーシップ協定は次のとおりである」としてTPP協定の規定を告示している。 メキシコ 2012年11月にTPP拡大交渉に参加した。 2018年4月24日に、メキシコ議会上院で賛成73、反対24、棄権4によりCPTPPの批准が承認された。次いで、エンリケ・ペニャ・ニエト大統領は5月23日、官報でCPTPPの批准を公布した。これにより、メキシコが参加11か国で最も早く国内手続きを終了した国となった。協定の寄託国であるニュージーランドに対する通報は、2018年6月28日に行われた。 ベトナム 交渉国としてTPP交渉会合に参加しているものの、今後、正規の交渉メンバーとして臨む覚悟があるかどうかについて疑問視する見方もあった。しかし、マイケル・フロマン米通商代表はTPPで最も利益を受ける国であると重視しており、甘利明TPP担当相によれば交渉でも主導的な役割を果たしており、世界銀行によればTPPで最も恩恵を受ける国である。2014年5月19日の閣僚会合にブー・フイ・ホアン商工相は欠席し、首席交渉官が代理に出席した。 CPTPPの批准について2018年6月19日に、ベトナム外務省のレ・ティ・トゥ・ハン報道官は同省の定例記者会見で、「商工省が手続きを実施中で、次期国会に上程する」と発表した。なお次期国会の会期は、10月22日から11月19日までの21日間の予定となっている。グエン・ハイン・フック国会事務局長は10月16日、国会常務委員会で第14期(2016~2021年)第6回国会の準備状況について説明しその中で事前に予定されていた議事内容に「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(TPP11=CPTPP)」の批准決議の採択の項目が追加されると説明した。11月2日、グエン・フ・チョン国家主席は国会にCPTPPの批准案を提出した。11月12日、国会は賛成469、反対0で、CPTPPの批准案を可決した。ベトナムは11月15日、CPTPPを批准し、TPPの7番目の締約国になった。 ベトナムについてCPTPPは、2019年1月14日発効したが、国内の施行のための措置が遅れていた。6月26日に、環太平洋パートナーシップに関する先進的かつ包括的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)に基づく、2019~2022年の関税率表を定めた政令57/2019/ND-CPを公布し、同日施行した。これにより、CPTPPの発効日である1月14日から政令の発効日までに輸出入された貨物が、CPTPPの優遇適用条件を満たし、輸出入時に支払った関税が本政令に基づく関税よりも高い場合には、過払い税の処理を受けることができことになった。更にベトナム税関総局は7月9日、公文書4470/TCHQ-TXNK号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを全国の省・市の税関支局に対して発出し、環太平洋パートナーシップに関する先進的かつ包括的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)に基づいて2019~2022年の関税率表を定めた政令57/2019/ND-CP号の実施を指示し、過払い税の処理手続きが明らかになった。 ペルー 2021年7月5日、ペルー議会(一院制)外交委員会は、「包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP、いわゆるTPP11)」の批准ならびにオーストラリア、カナダ、マレーシア、ニュージーランド、ベトナムと9つのサイドレター(協定付属文書)の承認に関わる立法決議第7892/2020PE号を過半数で承認し、7月14日には、本会議において、賛成97、反対0、棄権9で承認された。議会での承認を受けて、ペルーは、2021年7月21日、CPTPP発効のための国内手続を完了した旨を寄託国であるニュージーランドに通報し、TPPの8番目の締約国になった。発効日は2021年9月19日である。 マレーシア 特許有効期間が現地で発売された時期から計算される(TPPの)アメリカ案に対して、2012年8月6日、マレーシアの廖中莱(リュウ・ティオンライ)衛生部長は、ジェネリック医薬品の取得が遅れることを危惧し、「新薬の特許に関する米国の主張はマレーシアにマイナス」と懸念を表明している。 2018年10月31日に、マレーシアのマハティール首相は、同国政府はCPTPPの影響について依然として検討中だと語った。首相は記者団に「わが国経済に悪影響がないことを確実にするため、非常に丹念に調べている」と述べ、CPTPPを批准する期限は設けていないと付け加えた。 2019年11月6日に、経済関係閣僚、実業界の有力者らで構成する、首相府設置の経済行動評議会(EAC:議長はマハティール・モハマド首相)は、第7回会合をプトラジャヤで開き、包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)を批准するかは内閣が最終的に判断して決めることを決議した。会合では経済問題省がまとめた、CPTPPが与える影響に関する調査報告を討議。CPTPPが政府の包括的開発政策に合致するか、CPTPPによりもたらされる利益を国民が共有できるかを考慮する必要があるとの意見で一致した。
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