拡大体の部分体として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/19 00:12 UTC 版)
L は K の拡大体で α ∈ L とし、適当な K-係数多項式 Q を用いて Q(α) として書くことができる L の元全体の成す集合、すなわち α の冪たちの K-係数線型結合の全体を K[α] と書けば、これが K と α を含む最小の部分環であることは容易に知れる。K[α] は K と α を含む任意の体に含まれることも明らかである。α が K[X] に属する次数 n の既約多項式 P の根であるとき、 K[α] の各元 Q(α) は、次数高々 n − 1 の多項式(Q を P で割った剰余)によって一意的に表される(一意性は剰余の一意性からくる)。 K[α] の各非零元は K[α] において可逆である。実際、そのような元を Q(α) とすると P は既約であるから、K[X] におけるベズーの等式により、適当な多項式 U, V が存在して、U(α)Q(α) + V(α)P(α) = 1 とできるが、いま P(α) = 0 ゆえ、U(α) が Q(α) の逆元を与える。 ゆえに環 K[α] は体を成し、K[α] = K(α) は P の K 上の根体である。さらに言えば、この体の K 上のベクトル空間としての基底は {1, α, α2, …, αn–1} で与えられる(K の任意の拡大体 E は、E の加法と E の元と見た K の元を掛ける操作を K のスカラー倍と見做して K 上のベクトル空間の構造を持つことに注意せよ)。K(α) の K 上の拡大次数 [K(α) : K] はこのベクトル空間としての次元であるから、[K(α) : K] = n は多項式 P の次数に等しい。
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