性風俗
ポルノグラフィ
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ポルノグラフィ(英: Pornography、仏: Pornographie)とは、裸体や性的行為のリアルな描写によって性的興奮を惹起することを目的とした[1]メディアの総称[2]。ポルノ(英: porn, porno)とも略称され、ギリシア語の pornographos (娼婦 pornē について書かれたもの graphos)が語源とされる[3][2]。
概要
人間の身体や性行為を直接的に視覚イメージ・言語によって表現しようとするこころみは人類の歴史とともに古いが[4]、一般にポルノとして議論の対象となることが多いのは近現代のもので[2]、西洋美術が好んで題材としてきた女性の裸体表現などとも通常区別される[2][4]。
主要な論点は映像・言語による性的表現の意義といった芸術的・美学的側面(後述「ポルノと芸術の区分」)から、それが引きおこす社会的影響の深さ(後述「社会的影響」)、またそれへの法的規制の可否(後述「わいせつ性をめぐる議論」)まで多岐にわたる[5]。
ポルノに対する規制は欧米諸国を中心にしだいに撤廃されてきたが[2]、日本ではわいせつ物頒布罪などを中心に現在でも比較的厳しい法的規制が行われている[6]。しかし第二次大戦後は世界的な性の解放の潮流に後押しされて、検閲制度をかいくぐった表現の雑誌・映画・ビデオなどが隆盛をきわめ[5]、現在では世界有数のポルノ生産国となっている[6]。
歴史
ヨーロッパでは18世紀頃から、現在のポルノグラフィに近い「好色文学」と総称される小説作品が数多く刊行されるようになった[4]。とりわけフランスでは王権・貴族批判と結びついた政治文書としての意味合いを色濃く持ち、その数は膨大な量にのぼった[7]。フランス語での「ポルノグラフ le pornographe」という言葉の最初の用例は1769年にさかのぼるとされ[8]、その最も知られた例が、獄中にいたサドが書いた『ジュスティーヌ』などの一連の作品である。同じころイギリスでもジョン・クレランドの小説『ファニー・ヒル』が露骨な性描写で大きな評判をとっている[8]。
19世紀に入って印刷技術が発達したこと、中産階級が読書能力と経済力を獲得するようになったことなどから本格的に市場が広がり、英語では1857年に「ポルノグラフィ− pornography」という言葉の最初の用例が記録されている[8]。この時期のポルノ小説では『フロッシー』(1897)、『わが秘密の生涯』(1885頃)などが広く読まれたほか[4]、また写真の発明がこの傾向を後押しして『パール』[英語版] など雑誌が数多く発刊される。これらは公序良俗を害するとして、当初、各国で検閲制度が設けられてゆく[4]。
日本では平安時代に描かれた「偃息図(おそくず)」や、鎌倉・室町時代につくられた愛慾絵巻『小柴垣草子』『袋法師絵詞』、そして江戸時代の枕絵・あぶな絵などの秘戯画や春画、『好色吾妻鑑 (あづまかがみ) 』『好色床談義』など個人の楽しみのため受容されてきた作品の歴史は古いが、一般にポルノグラフィーと呼ばれるのはやはり近現代のものである[9]。

アメリカでは1960年代から性表現規制の実質的な緩和につながる判例が積み重ねられた。まず『チャタレイ夫人の恋人』裁判(1964年)や『ファニー・ヒル』裁判(1966年)において、連邦最高裁がそれぞれの作品のわいせつ性を否定する判決を出した[10]。さらに文学作品ではなく明確なポルノに対してもわいせつ性を否定するレッドラップ裁判(1967年)を経て[10]、性表現はどのようなものであってもアメリカ憲法修正第一条によって保護されるとする判決が相次いでゆく。
一方でこうした動きに対する反発も根強く、1967年に性描写を多く含むスウェーデンの映画『私は好奇心の強い女』がアメリカで公開されたさいは一時公開禁止となっている。またアンディ・ウォーホルによる『ブルー・ムービー』(1969)[11]、性器の交接部からオーラルセックスまでを克明に描写したポルノ映画『ディープ・スロート』(1972)などはわいせつ性を認定され起訴・有罪となっている[12][2]。1969年にアメリカで大統領の諮問による「猥褻とポルノグラフィーに関する委員会」[英語版]が識者らによる提言としてポルノ規制の撤廃を諮問したさい、当時のジョンソン大統領は激怒して報告書の受け取りを拒否している[5]。
しかし1969年、デンマークが検閲を廃止してポルノを合法化した最初の国となり、生産されたポルノが世界的な人気を集めるなか[13]、欧米における表現規制はしだいに有名無実化してゆく[2]。日本では日活が71年からロマンポルノを制作し始め、東映も東映ポルノを公開した。
フランスで製作された『エマニエル夫人』(1974)と『O嬢の物語』(1975)などは世界的なヒット作品となり、とくに『エマニエル夫人』は日本でも多くの女性客を集めた。他にラウラ・アントネッリ主演の『青い体験』(1973)、ベルナルド・ベルトルッチ監督『ラスト・タンゴ・イン・パリ』などは性的表現を含み、一般館で上映される疑似ポルノとして消費されたと言われる[5]。
インターネットの普及以後は検閲制度の異なる海外のポルノ映像の閲覧が容易になったため、ポルノ消費は世界的に大きく拡大したとされる[14]。2000年以降はカナダで登場した「Pornhub」などポルノ映像専門サイトの乱立で、この傾向はさらに加速したと考えられている[15]。こうしたオンライン・ポルノの視聴実態について正確・網羅的な調査は困難だが、2023年時点でアメリカ人男性の69%、女性の40%がオンラインでポルノを視聴したことがある、とする調査結果がある[16]。
日本製ポルノの拡散
インターネット普及後、東南アジアなどで日本製ポルノに人気が高まったとされる[17]。研究者による網羅的な調査はまだ行われていないが、2022年にアメリカのネットメディア「QUARTZ」[英語版] がポルノサイトでの検索語を独自に集計したところ、東南アジア諸国においてもっとも多く検索された55の単語のうち、23が「蒼井そら」など日本人AV女優の名前を含む日本関連の単語だったという[17]。
ポルノと芸術の区分

ポルノを芸術的な性表現から区別・排除しようとする伝統的な主張を、英国美学会会長を務めていたハンス・メースは次の4種類に分類している[18]。
- 表現内容に注目するもの。伝統的な西洋美術で描かれる女性の裸体が身体全体の均衡や調和に注目するのに対して、ポルノは性器や乳房・交接部など解剖学的な細部に拘泥する。
- 道徳的効果に注目するもの。ポルノは出演者・被写体をしばしば屈辱的・暴力的に描くため、その制作過程で実在する人物への虐待(肉体的にも精神的にも)が発生することが多く、また出演者が敬意をもって扱われたとしても、見る側に女性の従属を肯定するよう促す効果をもちうる。その点でポルノはヘイトスピーチの一形態である。
- 芸術性の質に注目するもの。一般に芸術と呼ばれるものが多様な解釈を可能にするのに対して、ポルノは性的興奮を惹起するというただ一つの目的のために人物や状況を類型化・均質化する。また慎重に構想・制作され独創性を追求しようとする芸術作品に対して、ポルノは基本的に大量生産される工業品であって、大半は既存の手法・題材を反復しているだけである。
- 鑑賞形態に注目するもの。芸術作品が作品自体に関心を向かわせる本質的価値 (intrinsic value) を持つのに対して、ポルノは性的興奮を起こすという手段的価値 (instrumental value) しか持っていない。そのためポルノは一度消費されるとほとんど価値を失ってしまう。
一方でこうした伝統的な区分ではポルノと芸術をつねに峻別できないとする強い批判がある[19]。メースは、高い芸術性を有すると認められているものでも、例えばゴシック建築の大聖堂は既存の手法・題材が反復されているし(上記3の論点)、D・H・ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』やクールベ《眠り》といった傑作も排除されねばならない(上記1・2の論点)、と論じている[18]。
またメースは、ポルノとみなされる要素の多くを備えているが美学的に重要作品とみなされている例としてベルナルド・ベルトルッチ『ラスト・タンゴ・イン・パリ』やラース・フォン・トリアーの映画作品などを挙げている[18]。
わいせつ性をめぐる議論

ポルノは当初欧米でも「わいせつ obscene」なものとして規制・検閲の対象となったが、欧米では上述のとおり第二次大戦後しだいに規制撤廃の方向へ進んだ[4]。
日本では1907年に制定された刑法第175条「わいせつ物頒布等の罪」が根拠条文となり、「チャタレー事件」(1957)で最高裁大法廷が示した「わいせつ性」の判断基準が、現在でも有効だと考えられている[20]。
これはわいせつ物を「その内容が徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう」と定義したうえで[21]、「芸術性と猥褻性とは別異の次元に属する概念であり、両立し得ないものではない。 (…) 芸術といえども、公衆に猥褻なものを提供するなんらの特権をもつものではない」と述べている[21]。つまり芸術的にすぐれているかどうかに関わらず法解釈としてわいせつ性を認めることは可能であるとする立場である[20]。
これに従って、チャタレー事件では版元の出版社社長と、翻訳者の伊藤整が起訴され有罪となった。また「悪徳の栄え事件」(1969)、「四畳半襖の下張事件」(1980)でも同様に出版側が有罪となっている。
しかしこれらの規制はしだいに実質的な緩和の方向へ向かい、映画が対象となったケースでは、「黒い雪事件」(1969)は一審で無罪ののち検察側が上告を断念[22]、「日活ロマンポルノ事件」(1969)では映倫の審査員も共犯として起訴されたが一審・二審とも無罪[23]、さらに「愛のコリーダ事件」(1979)でも一審・二審とも無罪となっている。写真集のわいせつ性が問われた「メイプルソープ事件」(2008)では一審と二審で判断が分かれたが、最高裁は二審判決を破棄し、下級審による「わいせつ物」の認定を取り消した初のケースとなった。
現在、一般に公開される映画やビデオ・写真では性器や交接部分にモザイク処理を行うといった措置が取られているが、なぜそれで合法と判断されるのか、その法的根拠や適用範囲が曖昧だとする根強い批判がある[20]。またインターネットが普及して海外の性表現が容易に閲覧できるようになった現在では、性表現規制そのものが実質的に無意味になっているとする議論もある[24]。
社会的影響

ポルノが社会に及ぼす影響は、肯定的・否定的双方の面について研究が行われている。
肯定的な影響があるとする主張は、ポルノの視聴・利用によって性愛の多様な実践・コミュニケーション技術が学べるとするものや、またポルノ視聴によって性的覚醒やオーガズム反応が向上するといった身体的効果に注目するものに分かれる[26]。また自慰行為の一環としてポルノを利用することで、ストレス低減や不安緩和に寄与する、またパートナーと一緒に視聴することで親密性の深化につながる、などと報告する調査も行われている[27]。
一方でポルノが社会に及ぼす否定的な影響については、近年その身体的側面が注目されるようになった。とくに高頻度のポルノ視聴が脳のドーパミン報酬系に作用して強い刺激に依存するようになることで、現実の性行為・性機能に悪影響を及ぼすことが報告されている[28]。とりわけ若年男性で性行為における勃起障害 (ED) の32%ほどがポルノ依存によるものと推測されており[29][28]、また鬱症状や孤独感を悪化させているとする報告もある[30]。
さらに暴力的・支配的なコンテンツを含むポルノは暴力への感受性を鈍らせ、「レイプ神話」を正当化しやすいとする研究があるほか[31]、実際の性行為のイメージとかけはなれた期待をもつことで、若年層における性的不安・性的価値観の混乱を引きおこす可能性なども指摘されている[32][33]。
また近年、そうした個人への悪影響に加えて、ポルノ作品が映画・写真などで製作されるさい、女性が意に沿わない性行為の撮影を強要されるといった出演者に対する抑圧的側面も重視されるようになった[34]。とりわけ児童を対象とする児童ポルノにおいては、児童への長期におよぶ心身へのダメージや[35]、児童性犯罪の助長といった悪影響が強く意識されるようになり[36][37]、欧米を中心に厳しい規制が開始され、この傾向は日本にも波及している[38]。2020年にはポルノ映像専門サイト「Pornhub」に一般の未成年者のヌードや性行為の映像が大量にアップロードされていると報道され、大きな国際問題に発展している[15]。
ポルノ規制をめぐる議論
ポルノ規制論

ポルノに対する批判の中で最もよく知られているもののひとつは、アメリカの法学者キャサリン・マッキノンと哲学者アンドレア・ドウォーキンによるフェミニストの立場からの批判である。
その主な論拠は、哲学者ロリ・ワトソンらの整理によれば以下の三つである。(1)ポルノが製作されることで現実の女性(女優など)を蹂躙し屈従させている。(2)ポルノが広く視聴されることで女性を屈服させる女性蔑視の文化を補強してしまう。(3)ポルノ視聴によって性犯罪・セクハラなど女性への暴力が増加する[39]。
ドウォーキンによれば、ポルノの視聴には「自発的な疑念停止」が不可欠である[40]。なぜならそこに映っているのが現実にはプライベートな場にいる女性ではなく、カメラと熱い照明・大勢のスタッフの視線にさらされている生身の女性であって、不自然な衣装とメイクは撮影のための演出にすぎない、といったことを脳裏から追い出さなければポルノを楽しむことはできないからである[40]。ところがそのようなポルノが広く普及することによって、「現実の女たちが、ポルノに描かれるようなものとして存在せよと要求されるようになってきている」。ドウォーキンはそのように主張し、ポルノの法的規制を訴えた[40]。
実際にマッキノンとドウォーキンは規制条例の草案 [英語版] を作成し、アメリカ各州での条例制定に向けて運動を展開した[41]。草案は、「ポルノグラフィは、性別にもとづく差別的な慣行であり、女性が社会において平等な機会を得ることを拒んでいる」と規定し[42]、公的権力によるポルノ規制を求めていた[41]。これにもとづいて、1983年にミネソタ州ミネアポリス、1984年にインディアナ州インディアナポリスなどで実際に条例が制定されたが、のちに市長による拒否権発動や連邦最高裁での違憲判決(アメリカ書籍業協会対ハドナット裁判)などを受けて現在実際に施行されている例はない[39]。
また20世紀を代表する舞踊家のひとりグロリア・スタイネムによる「エロティカ」論も、古典的なポルノ批判としてよく知られている。スタイネムは「エロティカとポルノグラフィ」(1978)と題するエッセイにおいてこの二つの峻別することを提案した[43]。スタイネムによればエロティカは「相互的な快楽をともない、当事者が十分な判断力によって自らの積極的な意思で関わっている性的な表現」であるが、一方のポルノは全く異なる。「そのメッセージは暴力、支配、そして征服である。そこではセックスが、不平等を強化したり新たに作り出したりするために用いられており、痛みや屈辱(自分のものでも他人のものでも)が快楽と同じものだと私たちに信じさせようとしている」[43][44]。スタイネムはそのように述べて、前者の「エロティカ」は有意義だが後者のポルノは社会にもたらす害悪の方が大きいと論じた[43]。
規制批判
フェミニストの中でも、ポルノからエロティカを区別して排除する考え方は「女性の性的嗜好の多様性を否定するものである」などとする批判がある[45]。また日本で1970年代から約20年間にわたっておよそ1100本が公開された「日活ロマンポルノ」に対しては、近年その映像表現の先進性や、女性が明確な主人公と設定されている点を評価したうえで、ロマンポルノは「今日では多くの女性観客の支持を集めている」と主張する女性研究者があらわれている[46]。
しかし、ポルノが身体面で良い影響をもたらすとする近年の調査(⇒上述の「社会的影響」を参照)をのぞけば、ポルノ自体に積極的な意味があると論じる立場はわずかで、ほとんどの場合、ポルノを公権力が法的に規制することに反対する「規制への批判」である[39]。
その代表的なものは法哲学者ロナルド・ドウォーキンらによる批判である。彼はマッキノンらポルノ規制論を検討し、彼女たちの言う「ポルノが現実の性犯罪を増加させる」という主張は調査によって裏づけられていないと批判[47]。さらにポルノに出演する女性たちが不本意に従属させられていると考えるのは、女性側の自発性を無視し、さらに彼女たちの経済的機会を奪うだけの結果になっている点で誤りだと主張している[47]。法学者ナディーン・ストロッセンも、ポルノを規制することによって、より大きな社会的害悪がもたらされるとして公的規制に反対している[48]。
社会学者のアンソニー・ギデンズは、ポルノ自体への批判・肯定には言及していないが、ポルノの普及はマッキノンらが言うような家父長制の強さによるものではなく、逆に男性側の不安と動揺が原因ではないかと指摘している[49]。
そのほか
-
アダルトDVDの自販機(2008年撮影) - 異性愛者の女性向けのポルノとしては、レディースコミック・ティーンズラブ・ボーイズラブ(やおい)といったジャンルがある。ボーイズラブは男性同士の同性愛(ゲイ)を、レディースコミックやティーンズラブでは男女間の異性愛がメインとして描かれているが、経緯としてはボーイズラブ系の作家に「男同士の恋愛関係を男女の関係に置き換えて作品を執筆してほしい」と依頼する形でレディースコミックやティーンズラブというジャンルが誕生している[50]。
- 守如子は、「流通形態」「読者の安心」の観点から流通について考察しており、例えばレンタルビデオ店のアダルトコーナーは多くの場合カーテンなどの向こう側に設置されており女性が入りにくい雰囲気となっているが、漫画の場合は売り場が男性向け・女性向けと分かれていることが多いため、女性がポルノを買う抵抗感が少なくて済むと考えている[51]。
- 日本では、堀あきこ[52]や守如子[53]は、従来のポルノ批判は男性向けのポルノばかりを想定して、「女性向けのポルノの存在」を黙殺しているのだとして、レディースコミック・ティーンズラブ・ボーイズラブといった形で女性向けのポルノ表現が定着しておりそれらには(保守的な道徳観によって抑圧されてきた)「女性が性的な欲望を持つこと」が肯定されるのだと、人間の自由から論じている。ただし、堀は男性向けのポルノと女性向けのポルノは異なる価値観に沿っているとしており、この点については守と立場が異なる[54]。
- VCR、ホームビデオ、および手頃な価格の家庭用ビデオカメラの登場により、ビデオポルノの配布と消費が、女性をポルノの正当な消費者として位置付けることが可能になった[要出典]。トリスタン・タオルミーノは、女性尊重型ポルノは「公正な労働環境を作り、関係者全員に力を与えることすべてに貢献する」と述べている[要出典]。
- グラビアアイドルの真島なおみは、「ゴッドタン」でAV(アダルトビデオ)を娯楽で鑑賞していることを告白し、「女性がAVを見るようになったのは、いい時代だと思います」と述べている[55]。
- 保守志向の活動家で反ポルノ運動を行っているキャサリン・マッキノンは日本でレディースコミックが女性に読まれていることについて、(自分は日本文化には詳しくないと前置きした上で)それは「幼少期に性的虐待を受けたケースなど極僅かではないか」と述べている[56][57]。
- 異性愛者の女性向けのレディースコミックでは、性行為のシーンで女性身体の描写がメインとなっていることも多い[58]。また、男性向けの成人漫画の性交シーンは性的快感に関する描写が多いが、それとは違いレディースコミックの性交中のシーンでは、そのセックスに関する不安や不満といった俯瞰的で細やかな心理描写が多用される特徴がある[59]。
- 日本では1970年代に、日本共産党の宮本顕治委員長が「『11PM』はポルノ番組だ」と批判したことがある。[注 1]
- 1980年代には、山田洋次が「ポルノを見る人は、働くのが嫌いな人」とFMラジオで発言した。これをたまたま聴いていた映画監督の若松孝二[注 2]は、強い怒りを感じたという。
- ライターのスーザン・ファルディは、1995年のニューヨーカーのエッセイで、「ポルノは女性が職場で力の利点を享受する数少ない業界の1つである」と主張した[要出典]。
- 『女優は力を持っている』と男性の批評者アレック・メトロは、業界のX格付けについて指摘した。メトロはそのポルノ業界で「逆差別」が進行していると語った。女性パフォーマーは多くの場合、男性俳優を決定したり拒否したりすることができるという[要出典]。
- 異性愛者向け以外のポルノも製作されている。(⇒参照:「ゲイ・ポルノ」「ゲイ・ビデオ」「クィア・ポルノ [英語版]」「トランスジェンダー・ポルノ [英語版]」)
脚注
注釈
出典
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参考文献
- 堀あきこ 『欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差』 臨川書店、2009年。ISBN 978-4653040187。
- 守如子 『女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム』 青弓社、2010年。ISBN 978-4787233103。
関連文献
性表現
- 井上章一編『性欲の文化史』(講談社、2008)
- 川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』(筑摩書房、2011)
- 志村三代子ほか編著『日活ロマンポルノ : 性の美学と政治学』(水声社、2023)
- 長澤均『ポルノ・ムービーの映像美学 : エディソンからアンドリュー・ブレイクまで 視線と扇情の文化史』(彩流社、2016)
- 永田守弘『日本の官能小説 : 性表現はどう深化したか』(朝日新聞出版、2015)
- 吉川孝著『ブルーフィルムの哲学 : 「見てはいけない映画」を見る』(NHK出版、2023)
- ナディーン・ストロッセン(松沢呉一監修、岸田美貴訳)『ポルノグラフィ防衛論:アメリカのセクハラ攻撃・ポルノ規制の危険性』(ポット出版、2007)
社会的影響
- 中里見博『ポルノグラフィと性暴力 : 新たな法規制を求めて』(明石書店、2008)
- ぱっぷす編『ポルノ被害の声を聞く : デジタル性暴力と#MeToo』(岩波書店、2022)
- 渡辺真由子『「創作子どもポルノ」と子どもの人権 : マンガ・アニメ・ゲームの性表現規制を考える』(勁草書房、2018)
- ゲーリー・ウィルソン(山形浩生訳)『インターネットポルノ中毒:やめられない脳と中毒の科学』(DU BOOKS、2021)
性表現規制
- 奥平康弘『表現の自由Ⅱ ―現代における展開』(有斐閣、1984)
- 加藤隆之『性表現規制の限界 : 「わいせつ」概念とその規制根拠』(ミネルヴァ書房、2008)
- 白田秀彰『性表現規制の文化史』(亜紀書房、2017)
- 園田寿・臺宏士『エロスと「わいせつ」のあいだ : 表現と規制の戦後攻防史』(朝日新聞出版、2016)
- 園山水郷『性と検閲 : 日本とフランスの映画検閲と女性監督の性表現』(彩流社、2015)
- 武田誠『わいせつ規制の限界』(成文堂、1995)
- 中山研一『わいせつ罪の可罰性 ―刑法 175 条をめぐる問題』(成文堂、1994)
- 安田理央『ヘアヌードの誕生 : 芸術と猥褻のはざまで陰毛は揺れる』(イースト・プレス 、2021)
- アン・スニトウ、パット・カリフィアほか(藤井麻利・藤井雅実訳)『ポルノと検閲』(青弓社、2002)
裁判記録
- 倉持三郎『『チャタレー夫人の恋人』裁判 : 日米英の比較』(彩流社、2007)
- 内田剛弘編『愛のコリーダ裁判・全記録 上・下』(社会評論社、1980-1981)
- 現代思潮社編集部編『サド裁判 新装版 上・下』(現代思潮社、1972)
そのほか
- Altman, Andrew and Lori Watson, Debating Pornography, Oxford University Press, 2019.
- Boyle, Karen ed., Everyday Pornography, Routledge, 2010.
- Cornell, Drucilla, The Imaginary Domain: Abortion, Pornography & Sexual Harassment, Routledge, 1995.
- Cornell, Drucilla, Feminism & Pornography, Oxford University Press, 2000.
- DeKeseredy, Walter S. and Marilyn Corsianos, Violence Against Women in Pornography, Routledge, 2017.
- Dines, Gail et al. Pornography: The Production and Consumption of Inequality, Routledge, 1998.
- Hines, Claire and Darren Kerr eds. Hard to Swallow: Hard-Core Pornography On Screen, Wallflower Press, 2012.
- Jeffreys, Sheila, The Industrial Vagina: The Political Economy of the Global Sex Trade, Routledge, 2009.
- Lehman, Peter, Pornography : Film and Culture, Rutgers University Press, 2006.
- Seidman, Steven et al. eds. Handbook of the New Sexuality Studies, Routledge, 2007.
- Williams, Linda, Hard Core: Power, Pleasure, and the "Frenzy of the Visible," University of California Press, 1989.
関連項目
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