ポルノの黄金時代とは? わかりやすく解説

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ポルノの黄金時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/27 05:45 UTC 版)

ポルノの黄金時代
性の革命
映画『ディープ・スロート』は、ポルノの黄金時代を始動させるのに役立った。
日付 1969年–1984年
場所 アメリカ合衆国
関係者 ポルノプロデューサー、批評家、ポルノファン、セレブ
結果
  • ポルノの興行的成功
  • ポルノの批評的評価
  • 低予算ポルノへの回帰

ポルノの黄金時代(ポルノのおうごんじだい、Golden Age of Porn)またはポルノシック(porno chic)は、性的に露骨な映画が主流の映画館、映画評論家、一般の人々から前向きな注目を集めた、アメリカ合衆国の商業ポルノにおける15年間(1969年から1984年)を指す[1][2]。このアメリカの時代は、1969年7月1日にデンマークでポルノが合法化され、その後国際的にポルノが広まる前の1969年6月12日に劇場公開された、アンディ・ウォーホルの映画『ブルー・ムービー』と、やや遅れて公開された1970年の映画『処女ニンフのモナ』から始まった[3][4][5][6][7][8][9]。これらの映画は、アメリカ合衆国で広く劇場公開された、露骨な性行為を描いた最初の成人向けポルノ映画だった[5][6][7][8]。両作とも、リンダ・ラヴレース主演、ジェラルド・ダミアーノ監督の『ディープ・スロート』(1972年)[10]マリリン・チェンバース主演、ミッチェル・ブラザーズ英語版監督の『グリーンドア』(1973年)[11]、ダミアーノの『ミス・ジョーンズの背徳』(1973年)、ラドリー・メツガーによる『ミスティ・ベートーベン』(1976年)などの映画の製作に影響を与えた。ウォーホルによると、『ブルー・ムービー』は、同作が劇場で上映されてから数年後に公開された、マーロン・ブランド主演の国際的に物議を醸したエロティックドラマ映画である『ラストタンゴ・イン・パリ』の製作に大きな影響を与えた[7]

ジョニー・カーソンが人気の『ザ・トゥナイト・ショー』で、ボブ・ホープがテレビで言及した後[9]、『ディープ・スロート』は、主流の基準では粗削りであるにもかかわらず、興行的に大きな成功を収めた。1973年には、より完成度の高い、しかしまだ低予算といえる映画『ミス・ジョーンズの背徳』は、その年で7番目に成功した映画となり、映画評論家のロジャー・イーバートによる好評も含めて主要メディアから高い評価を受けた[12]。ポルノが著名人によって公に評価され、批評家によって真剣に受け止められるという、『ニューヨーク・タイムズ』のラルフ・ブルーメンソールによって「ポルノシック」と呼ばれる発展が、現代のアメリカ文化で初めて始まった[9][13]。非常に低予算のポルノ映画の興行収入が、ポルノの技術面と製作面における更なる進歩のための資金源となり、ポルノ映画がハリウッド映画に引けを取らない競争力を有している可能性があることが明らかになった。このような映画の莫大な収益性は、歯止めが利かないままにしておくと、ハリウッドがポルノの影響を受けることに繋がるのではないかという懸念があった[14][15]

これに先立ち、アメリカの州と地方自治体は、わいせつな映画の制作、配布、消費に対する刑事訴追を意図した、何千ものわいせつ防止法または条例を定めた。複数の法域によるわいせつの解釈次第で、そのような映画は起訴と刑事責任の対象となり、配給と興行の可能性が制限された。しかし、合衆国最高裁判所が1973年に判決したミラー対カリフォルニア州事件で、わいせつの定義は簡素化され、全米で起訴が劇的に減少した。クリエイティブ・ライセンスの自由化、映画の予算と収益の増加、そして「ハリウッドのマインドセット」が全てこの時代に貢献した。

しかし、1980年代に個人用のビデオテープレコーダの普及が進むにつれ、ビデオはポルノの好ましい配信媒体として映画に取って代わり、間もなくポルノは低予算でボランティア精神で作られるようになり、この「黄金時代」は幕を閉じた[16]

黄金時代のスター

「黄金時代」の前半、「ポルノシック」時代の主要なポルノ映画俳優には、次の人物が含まれていた。

第二波のスター

第二波の成熟期に、映画はますます家庭用ビデオ向けに撮影されていた。

彼らの人気が高まるにつれ、彼らのキャリアの管理意識も高まった。

プロデューサー

「黄金時代」の第一波である「ポルノシック」時代の主なプロデューサーは次の通りである。

当時の映画

当時の最も有名なポルノ映画のいくつかは次の通りである。

関連項目

出典

  1. ^ Paasonen, Susanna; Saarenmaa, Laura (July 19, 2007). The Golden Age of Porn: Nostalgia and History in Cinema. https://susannapaasonen.files.wordpress.com/2014/04/01pornification23-32.pdf 2017年4月30日閲覧。 
  2. ^ Handbook of the Sociology of Sexualities. (June 19, 2015). p. 416. ISBN 9783319173412. https://books.google.com/books?id=0d3yCQAAQBAJ&pg=PA416 2017年4月30日閲覧。 
  3. ^ Francoeur, Robert T.; Noonan, Raymond J. (2004年). “Denmark in the International Encyclopedia of Sexuality”. International Encyclopedia of Sexuality. http://www.iub.edu/~kinsey/ccies/dk.php 2021年8月22日閲覧。 
  4. ^ Staff (2019年5月31日). “Denmark legalized pornography 50 years ago. Did the decision turn out as expected?”. The Local. https://www.thelocal.dk/20190531/denmark-legalized-pornography-50-years-ago-did-the-decision-turn-out-as-expected/ 2021年8月22日閲覧。 
  5. ^ a b Canby, Vincent (1969年7月22日). “Movie Review – Blue Movie (1968) Screen: Andy Warhol's 'Blue Movie'”. New York Times. https://www.nytimes.com/movie/review?res=9507E5D91738E63ABC4A51DFB1668382679EDE 2015年12月29日閲覧。 
  6. ^ a b Canby, Vincent (1969年8月10日). “Warhol's Red Hot and 'Blue' Movie. D1. Print. (behind paywall)”. New York Times. https://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=9807E4D91739EF3BBC4852DFBE668382679EDE 2015年12月29日閲覧。 
  7. ^ a b c Comenas, Gary (2005年). “Blue Movie (1968)”. WarholStars.org. 2015年12月29日閲覧。
  8. ^ a b Pornography”. Pornography Girl. 2013年7月16日閲覧。
  9. ^ a b c Corliss, Richard (2005年3月29日). “That Old Feeling: When Porno Was Chic”. Time. 2016年1月27日閲覧。
  10. ^ Sex in Cinema: 1970 Greatest and Most Influential Erotic / Sexual Films and Scenes”. Film Site. p. 21. 2012年1月16日閲覧。
  11. ^ Goupil, Helene; Krist, Josh (2005). San Francisco: The Unknowao.uk/books?id=pXAsU1sQG1AC. pp. 238–241. ISBN 1-55152-188-1. https://archive.org/details/sanfranciscounkn0000goup/page/238 
  12. ^ Ebert, Roger (1973年6月13日). “The Devil In Miss Jones – Film Review”. RogerEbert.com. 2015年2月7日閲覧。
  13. ^ Blumenthal, Ralph (1973年1月21日). “Porno chic; 'Hard-core' grows fashionable-and very profitable”. The New York Times Magazine. https://www.nytimes.com/1973/01/21/archives/pornochic-hardcore-grows-fashionableand-very-profitable.html 2016年1月20日閲覧。 
  14. ^ From a 1970s interview with Linda Lovelace, shown in the documentary Inside Deep Throat.
  15. ^ “Mafia Money Infiltrates Pornos Movie Business”. Daytona Beach Morning Journal. (1975年10月12日). https://news.google.com/newspapers?nid=1873&dat=19751012&id=uIcpAAAAIBAJ&pg=828,4533369&hl=en 2016年9月5日閲覧。 
  16. ^ Lehman, Peter (2003). Bad: Infamy, Darkness, Evil, and Slime on Screen. Albany, New York: State University of New York Press. pp. 79–88. ISBN 978-0791459409 

参考文献

外部リンク


ポルノの黄金時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/22 00:04 UTC 版)

エロティック・アニメーション」の記事における「ポルノの黄金時代」の解説

1960年代末期から1980年代前半にかけてのポルノの黄金時代(英語版においてはプロットストーリーテリング施されポルノ制作試みていた映画監督映画館が、エロティック・アニメーションにも同様の関心持ち始めた。 例としては、パー・アーリン(英語版)とタゲ・ダニエルソン(英語版)による『老人の頭の外(英語版)』(1968年)、ピチャ(英語版)とボリス・スズルジンガー(英語版)による『ターザン ジャングル恥辱英語版)』(1975年) 、ジョルジ・アモロ(スペイン語版)による『Historias de amor y masacre(スペイン語版)』(1979年)などがある。 アニメーターラルフ・バクシは、アメリカ合衆国で「X指定英語版)」の評価受けた最初アニメーション映画である『フリッツ・ザ・キャット』(1972年ロバート・クラム同名漫画が原作)を制作している。この作品アメリカ社会変革舞台としたのに対してギバイタリア語版)による『キング・ディック(英語版)』(1973年イタリア映画原題Il nano e la strega)では中世のファンタジーストーリーをモチーフに完全な手描きアニメーションとして描写された。またドン・ジャーウィッチによる『ワンス・アポン・ア・ガール(英語版)』(1976年)では世界的に有名な童話ジャックと豆の木』『シンデレラ』『赤ずきん』をポルノ風にパロディ化した作品となっている。また、これに先駆けて日本成人映画好色日本性豪夜話』(1971年実写併用一部アニメパート)が伽話一寸法師』『竹取物語』『鶴の恩返し』などをポルノ風にパロディ化して描いている。 日本では手塚治虫虫プロダクションエロティックアニメ映画シリーズアニメラマ」で『千夜一夜物語』(1969年)、『クレオパトラ』(1970年)、『哀しみのベラドンナ』(1973年)の3部作発表した。また模倣映画として日本で「成人映画」の評価受けた最初アニメーション映画『㊙劇画 浮世絵千一夜』(1969年)や『ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!』1971年谷岡ヤスジ原作)などのカルトアニメーションも登場した

※この「ポルノの黄金時代」の解説は、「エロティック・アニメーション」の解説の一部です。
「ポルノの黄金時代」を含む「エロティック・アニメーション」の記事については、「エロティック・アニメーション」の概要を参照ください。

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