チャタレイ夫人の恋人とは? わかりやすく解説

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チャタレイふじんのこいびと〔‐フジンのこひびと〕【チャタレイ夫人の恋人】

読み方:ちゃたれいふじんのこいびと

原題Lady Chatterley's LoverD=H=ローレンス長編小説1928年成立性的不能で頑(かたく)なな性格の夫をもつコンスタンスが、森番メラーズとの性愛によって真の愛に目覚め、古い自意識から解放されていく。その大胆な描写各国論議をよんだ。


チャタレイ夫人の恋人

作者D.H.ロレンス

収載図書ロレンス 24
出版社中央公論社
刊行年月1994.9
シリーズ名新装世界文学セレクション36


チャタレイ夫人の恋人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/15 00:25 UTC 版)

チャタレイ夫人の恋人
Lady Chatterley's Lover
作者 D・H・ローレンス
イギリス
言語 英語
ジャンル 恋愛小説
刊本情報
出版年月日 1928年
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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チャタレイ夫人の恋人』(チャタレイふじんのこいびと、イギリス英語: Lady Chatterley's Lover [ˈleɪdi ˈtʃætəliz ˈlʌvə])とは、1928年に発表されたイギリス小説家D・H・ローレンスの小説。

発表当時は英国社会における身分制度を大胆に扱った猥褻文書と見なされ、内外で激しい論議の的となり、日本では伊藤整による翻訳本の出版に関して最高裁までの裁判となった(チャタレー事件)。

出版の経緯

1926年ゼネストをきっかけに、故郷の炭鉱の悲惨な状況を目にしたロレンスは執筆を開始、第一稿では完成作に比べ、より直接的に階級問題が主題とされていた。改稿を繰り返すうちに性愛が主題となり、性描写が増え、検閲で一般的な出版が困難だと考えたロレンスは、1928年チラシを作成し私家版として作品を公開[1]。その後、海賊版が生まれたこともあり、1929年に性描写部分を削除した修正版を出版社から発行した[2]

イギリスで初めて無修正版が発行されたのは1960年であり、猥褻文書として告訴されるが、証人としてE・M・フォースターらが出廷し、無罪となった。

日本では1935年昭和10年)に、修正版が伊藤整訳で健文社から初めて日本語訳されて出版された。無修正版は1950年(昭和25年)4月に同じく伊藤整訳で小山書店から発行されたが、2ヶ月後に警視庁に摘発され発禁処分になった(チャタレー事件)。この時点で、すでに各国でも次々と発禁処分となっており、フランスは英語版だけが許されている状態であった[3]1957年(昭和32年)に被告側が最高裁判所で敗訴し絶版となった。その後、1964年(昭和39年)に新潮社から、伊藤整訳で性描写部分を削除した版が発行された[4]

その後、時代の変化や英米での無罪判決も受け、1973年(昭和48年)に、講談社から羽矢謙一訳で無修正版が初めて発刊。1996年平成8年)には新潮社から伊藤整訳・伊藤礼補訳で、削除部分を補った「完訳」版が発行された[2]

主な日本語訳

あらすじ

第1-4章

炭坑の村を領地に持つ貴族の妻となったコンスタンス・チャタレイ(コニー)だったが、蜜月もわずかなままに、夫のクリフォード・チャタレイ准男爵は陸軍将校として第一次世界大戦に出征、クリフォードは戦傷により下半身不随となり、復員後は2人の間に性の関係が望めなくなる。その後、クリフォードはラグビー邸で暮らしながら作家としてある程度の名声を得るが、コニーは日々の生活に閉塞感を強めていった。

第5-10章

クリフォードは跡継ぎを作るため、コニーに男性と関係を持つよう勧める。その相手の条件とは、同じ社会階級で、子供ができたらすぐに身を引くことができる人物であることだった。コニーは、自分はチャタレイ家を存続させるためだけの物でしかないと嘆く。そんな彼女が恋に落ち男女の仲になったのは、労働者階級出身で、妻に裏切られ別れ、かつて陸軍中尉にまで上り詰めたが上流中流階級の周りになじめず退役し、現在はチャタレイ家の領地で森番をしている男、オリバー・メラーズだった。

第11-20章

メラーズとの秘密の逢瀬を重ね、人間性の開放に触れたコニーは、クリフォードとの離婚を望むようになり、姉のヒルダと共にヴェニスを旅行中、メラーズの子供を妊娠していることに気がつく。一方領地では、戻ってきたメラーズの妻が、メラーズとコニーが通じていることに感づき、世間に吹聴して回っていた。メラーズは森番を解雇され、田舎の農場で働くようになる。帰ってきたコニーはクリフォードと面談するが、クリフォードは離婚を承知せず、コニーはラグビー邸を去ることになった。

映画化

脚注

  1. ^ 安藤一郎『完訳 チャタレイ夫人の恋人』解説
  2. ^ a b 木村正則『チャタレー夫人の恋人』解説・訳者あとがき(光文社古典新訳文庫、2014年)
  3. ^ 「発行者と訳者を基礎 問題のチャタレイ婦人」『日本経済新聞』昭和25年9月14日 3面
  4. ^ アスタリスクで示された箇所、70~80頁分が削除されていた。(『完訳 チャタレイ夫人の恋人』「改訂版へのあとがき」(ロレンス著 伊藤整 訳、伊藤礼 補訳 新潮社 p. 563))
  5. ^ 映画 チャタレイ夫人の恋人 (1993)について”. allcinema. 2020年10月13日閲覧。

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