百貨店 世界の百貨店

百貨店

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/23 16:17 UTC 版)

世界の百貨店

ギャラリー・ラファイエットのパリ本店内

イギリス

イギリスの代表的な百貨店には、ハロッズセルフリッジズハーヴェイ・ニコルズジョン・ルイスリバティフォートナム&メイソンハウス・オブ・フレーザー、デベナムズ、ピーター・ジョーンズが挙げられる。また、マークス&スペンサーは英国最大の衣料小売店であるが、英国の百貨店の定義に当てはまらないため、厳密には百貨店に含まれない。

イングランドミッドランド東部ダービーシャーダービーにある、1734年創業のベネッツ・オブ・アイアンゲート (Bennett's of Irongate) が記録に残る中ではイギリス最古、さらには世界最古の起源をもつ可能性のある百貨店であるとされる[4][5][6]。21世紀に入った今日まで、創業当時と同じ店舗で営業を続けている。

マンチェスターに位置するケンダルズ英語版 (旧ケンダル・ミルン&フォークナー) もイギリスで最も古くに創業した百貨店であることを主張している。2005年には親会社であるハウス・オブ・フレーザーに改名された。マンチェスターで開業したのは1836年にまで遡るが、それ以前の1796年以来ワッツ・バザール (Watts Bazaar) の名で営業していたとされる[7]。最盛期にはディーンズゲート英語版の通りの両側に"Kendals Arcade"(ケンダルズ・アーケード)と呼ばれる地下道により接続された店舗を所有し、アール・ヌーヴォー様式のフードホールを営業していた。特に、低価格で高品質さと上品さを提供することを重視したことで知られ、1919年にハロッズに買収されたこともあり、"the Harrods of the North"(北のハロッズ)の異名をとった。その他、マンチェスターにはポールデンズ (Paulden's、現・デベナムズ) やルイス (Lewis's、現・プリマーク) などの百貨店がある。ロンドンを拠点とするハロッズは1834年に創業の起源を持ち、1849年に現在地のブロンプトン・ロードに土地を取得して移転し、1894年から1905年にかけて今日に至る店舗の建設が実行された。

1900年までにはリヴァプールはロンドンとグラスゴーに次いでイギリス第3のショッピングの中心地だった[8]ルイス英語版オーウェン・オーウェン英語版ブラクラーズ英語版、バニーズ、ジョージ・ヘンリー・リー英語版、ヘンダーソンズ、ジョン・ルイスおよびTJ ヒューズなど、多くの百貨店が市内に店を構えていた。F・W・ウールワース英語版の欧州第1号店もリヴァプールにあった。

フランス

フランスの主要百貨店は、ギャラリー・ラファイエットとプランタンがあり、いずれも本店はパリ9区、オスマン大通りに位置する。フランス最古、また世界最古の百貨店であるボン・マルシェ百貨店もパリにある。

アメリカ合衆国

アメリカでは例えば、メイシーズ、ロード・アンド・テイラーシアーズJ.C.ペニーなどが百貨店と考えられる。その一方で、ターゲットKマートウォルマートなどはディスカウントストアと見なされている。また、会員制の大型ディスカウントショップでは年会費が発生し、コストコ、ビージェイズ・ホールセール・クラブ、サムズ・クラブがこれに当たる。

日本

日本橋三越本店本館 (東京都中央区)

日本の百貨店の歴史は、20世紀初頭にまで遡る。1904年(明治37年)に合名会社三井呉服店により新たに設立された株式会社三越呉服店が顧客や取引先に三井・三越の連名で挨拶状を発送し[9]、三越呉服店が三井呉服店の営業をすべて引き継いだことを案内するとともに、今後の方針として「今後一層其の種類を増加し(中略)米国に行わるるデパートメントストーアの一部を実現致すべく」[10]と述べた。これは後に「デパートメントストア宣言」[9]と呼ばれるようになり、こうして創業した三越百貨店を日本における百貨店の始まりとするのが一般的である。

一方で、1920年(大正9年)には白木屋阪神急行電鉄(現・阪急電鉄梅田駅構内の旧:阪急ビルディング(5階建)の1階に出張売店として出店し、ターミナルデパートの先駆けとなった。1925年(大正14年)に白木屋との賃貸契約満了を迎えた為に店舗が閉鎖されると、後継として阪急電鉄直営の阪急マーケットが同年6月に開業した。後の1929年(昭和4年)4月に改めて阪急百貨店として創業し、世界初となる鉄道会社直営のターミナルデパートが誕生した。

上述するように、日本の百貨店の多くは呉服店あるいは鉄道会社(私鉄)を起源とする。代表的な呉服系百貨店には大丸髙島屋そごう松坂屋丸井今井、電鉄系百貨店の代表例には東急百貨店近鉄百貨店(ともに呉服系でもある)、名鉄百貨店が挙げられる。

2013年(平成25年)現在、日本の大手百貨店を運営する小売企業はJ.フロント リテイリング大丸、松坂屋)、エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急百貨店、阪神百貨店)、セブン&アイ・ホールディングス(そごう、西武百貨店)、髙島屋、三越伊勢丹ホールディングス伊勢丹、三越)の5つであり、いずれも全国規模で百貨店を運営しているほか、海外に支店を持つグループもある。このほか、地方を拠点として店舗を展開する百貨店が各地に数多く存在しており、日本百貨店協会に加盟している百貨店は2019年4月現在で202店舗を数える。2000年代後半には大手百貨店を巻き込んだ経営統合により、日本の百貨店業界は大きく再編された。

百貨店の定義

日本では、経済産業省が実施する商業統計調査の基準によれば、百貨店は「衣・食・住の商品群の販売額がいずれも10%以上70%未満の範囲内にあると同時に、従業者が常時50人以上おり、かつ売り場面積の50%以上において対面販売[11]を行う業態」としており[12]、「品揃えは百貨店と同定義であるが、対面販売の比率が50%以下である」と定義された[12]総合量販店(総合スーパー)と区別が為されている。(尚、同統計調査では「専門店」を「衣食住のどれか1つが売上の90%以上を占めるもの」と定義しており、この定義に当てはまる場合は店の規模や販売方式によらず「専門店」として取り扱われている。)さらに、売場面積3000m²以上(東京特別区および政令指定都市は6000m²以上)の「大型百貨店」と、3000m²未満(同6000m²未満)の「その他の百貨店」に細区分することもある[12]

また、商品取引の伝票処理においては百貨店とスーパーマーケットとの間に明確な違いが存在し、百貨店では「百貨店共通伝票」を使用し、スーパーマーケットでは「チェーンストア統一伝票」を使用している。




  1. ^ 「英のDepartment Store-仏のGrands magasins-独のWarenhaus (od.Grossmagazin)」の様な商業組織の制度を「大商店制度」(又は「大店舗制度」-Magazinsystem)と云う 小売商業の革新(其二) 神戸高等商業学校講師坂西由蔵「商業界」1905年
  2. ^ ドイツ語についてはウィキペディア独語版の記事名de:Kaufhausおよびde:Warenhausより。
  3. ^ ジョアン・フィンケルシュタイン『ファッションの文化社会学』成実弘至訳 せりか書房 2007年、ISBN 9784796702799 pp.89-94.
  4. ^ Natalie Loughenbury (2010年1月6日). “Bennetts Irongate, Derby Celebrates Its 275th Anniversary”. Derbshire Life (Bennets). http://www.bennettsirongate.co.uk/bennetts/bennetts-derby-history.php 2012年1月26日閲覧。 
  5. ^ About Us”. Bennetts Irongate. 2012年4月23日閲覧。
  6. ^ ただし、これが現代におけるDepartment storeや百貨店の定義に適うものかは不明。
  7. ^ Parkinson-Bailey, John (2000). Manchester an architectural history. Manchester: Manchester University Press. pp. 80–81. ISBN 0-7190-5606-3 
  8. ^ The Buildings of England Lancashire: Liverpool and the South-West, Richard Pollard and Nickolaus Pevsner, 2006, Yale University Press
  9. ^ a b 1904年12月20日顧客らに送った書状。のちに「デパートメントストア宣言」と呼ばれるこの文書「米国に行はるるデパートメント・ストーアの一部を実現致すべく候」翌日の12月21日、三越呉服店は日本初のデパートとして営業を開始した。「あの日から 日本経済の転機」 1904年12月20日 デパートメントストア宣言 近代百貨店の産声 東京新聞2007年(平成19年)12月19日
  10. ^ 企業情報 歴史 | 三越
  11. ^ これに相対する販売方式はセルフサービス方式である。
  12. ^ a b c 商業統計表|業態別統計編 (小売業)|概況|業態分類表 (PDF)”. 経済産業省 (2009年2月27日). 2012年4月23日閲覧。


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