一万円紙幣 未発行紙幣

一万円紙幣

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/26 09:38 UTC 版)

未発行紙幣

B壱万円券
1953年(昭和28年)に下図案が公表されるも、終戦直後の急激なインフレーションによる社会的混乱の記憶が生々しい時期であったこともあり、インフレーションを助長するとの懸念から高額紙幣の発行に対する反対意見が非常に根強く、最終的に白紙となり製造や発行には至らなかった[11]。表面には無しの聖徳太子の肖像と法隆寺西院伽藍全景、裏面には鳳凰が双向する図柄が描かれ、透かしは法隆寺夢殿であった[71]。再検討の結果のちにC号券として1957年(昭和32年)に五千円紙幣が、1958年(昭和33年)に一万円紙幣がそれぞれ発行されている[72]。寸法は縦84mm、横180mmの大型の券面であった[18]。B壱万円券で予定されていたデザインのうち、法隆寺夢殿の透かしおよび裏面の鳳凰の図案はC一万円券の図柄として[18]、笏無しの聖徳太子の肖像はC五千円券の透かしの図柄としてそれぞれ活用されている。

さらに高額の未発行紙幣

D五万円券D拾万円券
それぞれ野口英世・聖徳太子の肖像のデザインで、D号券改刷の際に発行が検討されていた[73]。裏面の図柄は、五万円券が猪苗代湖磐梯山の風景、拾万円券が法隆寺金堂の鳳凰の彫刻、および法隆寺と奈良盆地の山並みの風景がそれぞれ検討されていた[74]。なお野口英世は後年、E千円券の肖像として起用されている。

変遷

概ね20年程度の間隔で改刷が行われ、図柄を改めると同時に最新の偽造防止技術を導入することで偽造防止力を確保している。

  • 1958年昭和33年)11月20日:C一万円券の様式を制定[7]
  • 1958年(昭和33年)12月1日C一万円券発行開始[7]。図柄は聖徳太子鳳凰
  • 1984年(昭和59年)6月25日:D一万円券の様式を制定[19]
  • 1984年(昭和59年)11月1日D一万円券発行開始[19]。図柄は福澤諭吉。大蔵省銘で記番号は黒色。
  • 1986年(昭和61年)1月4日:C一万円券の日本銀行からの支払停止[3]
  • 1993年平成5年)6月24日:偽造防止力を向上したD一万円券の一部改造券の様式を制定[27]
  • 1993年(平成5年)12月1日:偽造防止力を向上したD一万円券の一部改造券発行開始(ミニ改刷)[27]。記番号を褐色に変更。
  • 2001年(平成13年)3月30日:銘板表記を変更したD一万円券の様式を制定[29]
  • 2001年(平成13年)5月14日:銘板表記を変更したD一万円券発行開始[29]。財務省銘に変更。
  • 2003年(平成15年)6月13日:銘板表記を再変更したD一万円券の様式を制定[30]
  • 2003年(平成15年)7月1日:銘板表記を再変更したD一万円券発行開始[30]。国立銘に変更。
  • 2004年(平成16年)8月13日:E一万円券の様式を制定[34]
  • 2004年(平成16年)11月1日E一万円券発行開始[34]。図柄は福澤諭吉と平等院鳳凰堂鳳凰像。記番号は黒色。表面はD号券と同じ題材だがデザインは異なる。
  • 2007年(平成19年)4月2日:D一万円券の日本銀行からの支払停止[3]
  • 2011年(平成23年)4月26日:記番号の印刷色を変更したE一万円券の様式を制定[27]
  • 2011年(平成23年)7月19日:記番号の印刷色を変更したE一万円券発行開始[27]。記番号を褐色に変更。
  • 2024年度(令和6年度)上期:新一万円券発行開始予定[50]。図柄は渋沢栄一東京駅丸の内駅舎。

関連項目


注釈

  1. ^ B号券以降の日本銀行券の中で記番号が4ヶ所に印刷されている紙幣は、この紙幣とC五千円券のみである。
  2. ^ 現在平等院鳳凰堂の中堂屋根上に取り付けられているものは複製品となっており、本物は屋内に保管展示されている。
  3. ^ マイクロ文字、特殊発光インキ、深凹版印刷、潜像模様、パールインク等。
  4. ^ 千円紙幣では前例あり。
  5. ^ このほか、E五千円券は「八角形」、D二千円券は点字の「に」を模した「丸印が縦に3つ」、E千円券は「横棒」の識別マークである。
  6. ^ B号券からE号券までの紙幣では全券種ともに製造番号の両端の英字が各1桁、つまり「A000001A」から始まっていた。「Z900000Z」まで使い果たすと左側の英字だけ「AA」と2桁に変わるが、右端の英字は必ず1桁であったため最終番号は「ZZ900000Z」となり、それを使い果たすと文字色を変更して「A000001A」に戻る形式だった。新紙幣では1桁制が廃止され両端とも初めから2桁の英字、すなわち「AA000001AA」から製造開始される形となった。
  7. ^ ただし、現在も有効券となっている紙幣を含めた場合はこの限りではない。

出典

  1. ^ 一万円券の偽造防止技術について - 日本銀行
  2. ^ a b 現在発行されている銀行券・貨幣 - 日本銀行
  3. ^ a b c d e 現在発行されていないが有効な銀行券 一万円券” (日本語). 日本銀行. 2021年6月19日閲覧。
  4. ^ 和紙原料の生産・流通状況”. 日本特用林産振興会. 2017年6月13日閲覧。
  5. ^ 特産農産物に関する生産情報調査結果(平成 24 年)”. 公益財団法人日本特産農産物協会. 2017年6月13日閲覧。
  6. ^ ミツマタ出荷で集落再生 京都・福知山、紙幣原料に”. 京都新聞社. 2017年6月13日閲覧。
  7. ^ a b c d e 1958年(昭和33年)11月20日大蔵省告示第237号「十二月一日から発行する日本銀行券壱万円の様式を定める件
  8. ^ a b c d e f 大蔵省印刷局 『日本銀行券製造100年・歴史と技術』大蔵省印刷局、1984年11月、306-313頁。 
  9. ^ 大蔵省印刷局 『日本のお金 近代通貨ハンドブック』大蔵省印刷局、1994年6月、242-255頁。ISBN 9784173121601 
  10. ^ “「安倍政権は天文学的な金額の利権を求めて紙幣の刷新を決めた」Twitterでデマ広がる(篠原修司)”. Yahoo!ニュース. (2019年4月10日). https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20190410-00121772/ 2020年12月1日閲覧。 
  11. ^ a b 植村峻 2015, pp. 215–216.
  12. ^ a b c d e f g h i j k 植村峻 2015, pp. 216–222.
  13. ^ “悲鳴を上げる窓口 小銭扱う興行街や駅など”. 朝日新聞 朝刊 (東京): pp. 7. (1953年9月3日) 
  14. ^ 日本銀行調査局 『図録日本の貨幣 9 管理通貨制度下の通貨』東洋経済新報社、1975年、219-220頁。 
  15. ^ 日本銀行調査局 『図録日本の貨幣 9 管理通貨制度下の通貨』東洋経済新報社、1975年、214-216頁。 
  16. ^ 日本銀行調査局 『図録日本の貨幣 9 管理通貨制度下の通貨』東洋経済新報社、1975年、218-221頁。 
  17. ^ 日本銀行調査局 『図録日本の貨幣 9 管理通貨制度下の通貨』東洋経済新報社、1975年、190頁。 
  18. ^ a b c 植村峻 『紙幣肖像の歴史』東京美術、1989年11月、198-203頁。ISBN 9784808705435 
  19. ^ a b c d e f g h i j k 1984年(昭和59年)6月25日大蔵省告示第76号「昭和五十九年十一月一日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  20. ^ 鈴木和三郎 『日本の現行貨幣 収集の手引き』内外貨幣研究会、2011年11月、72頁。 
  21. ^ a b c d e f 植村峻 2015, pp. 232–234.
  22. ^ a b 植村峻 2015, pp. 234–237.
  23. ^ a b 植村峻 2015, pp. 237–239.
  24. ^ 大蔵省印刷局 『日本銀行券製造100年・歴史と技術』大蔵省印刷局、1984年11月、39頁。 
  25. ^ 植村峻 2015, pp. 242–243.
  26. ^ a b c d e 植村峻 2015, pp. 245–246.
  27. ^ a b c d e f g 1993年(平成5年)6月24日大蔵省告示第134号「平成五年十二月一日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  28. ^ a b c d e f g 植村峻 2015, pp. 248–249.
  29. ^ a b c d e 2001年(平成13年)3月30日財務省告示第85号「平成十三年五月十四日から発行する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  30. ^ a b c d e 2003年(平成15年)6月13日財務省告示第482号「平成十五年七月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  31. ^ 大蔵省印刷局 『日本のお金 近代通貨ハンドブック』大蔵省印刷局、1994年6月、162-164頁。ISBN 9784173121601 
  32. ^ 大蔵省印刷局 『日本のお金 近代通貨ハンドブック』大蔵省印刷局、1994年6月、195-196頁。ISBN 9784173121601 
  33. ^ 植村峻 2015, pp. 246–247.
  34. ^ a b c d e f g h i 2004年(平成16年)8月13日財務省告示第374号「平成十六年十一月一日から発行を開始する日本銀行券壱万円、五千円及び千円の様式を定める件
  35. ^ a b 向山勇 2019, p. 3.
  36. ^ 大内聡 2004, p. 19.
  37. ^ a b 植村峻 2015, pp. 261–264.
  38. ^ a b 大内聡 2004, pp. 21–22.
  39. ^ a b 植村峻 2015, p. 265.
  40. ^ 大内聡 2004, pp. 22–23.
  41. ^ a b 植村峻 2015, pp. 270–273.
  42. ^ a b 大内聡 2004, pp. 19–20.
  43. ^ a b 植村峻 2015, pp. 275–277.
  44. ^ a b c 2011年(平成23年)4月26日財務省告示第141号「平成二十三年七月十九日から発行を開始する日本銀行券壱万円及び千円の様式を定める件
  45. ^ 日本銀行券一万円券および千円券の記号および番号の印刷色変更について - 日本銀行、2011年4月26日
  46. ^ 福沢諭吉の1万円札、製造終了…渋沢栄一の新紙幣は6月から量産中”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2022年11月4日). 2022年11月5日閲覧。
  47. ^ a b 大内聡 2004, p. 20.
  48. ^ お札識別アプリ「言う吉くん」
  49. ^ 植村峻 2015, p. 273.
  50. ^ a b c d 新しい日本銀行券及び五百円貨幣を発行します” (日本語). 財務省. 2019年4月9日閲覧。
  51. ^ a b 向山勇 2019, p. 9.
  52. ^ a b 政府、紙幣刷新へ 1万円札は渋沢栄一” (日本語). 日本経済新聞. 2019年4月9日閲覧。
  53. ^ a b c 向山勇 2019, p. 6.
  54. ^ a b 西方建一、堀納隆成 (2021年10月). “新日本銀行券印刷開始式について”. 広報誌 ファイナンス. 財務省. 2021年11月22日閲覧。
  55. ^ 偽造防止技術~4つの「分かる」~”. 日本銀行. 2022年2月11日閲覧。
  56. ^ 新しい日本銀行券と現行の日本銀行券の比較”. 日本銀行. 2022年2月11日閲覧。
  57. ^ 印刷開始式を開催しました。”. 国立印刷局. 2021年9月30日閲覧。
  58. ^ 向山勇 2019, p. 10.
  59. ^ 新1万円札の実物を初披露、流通は24年度上期めど”. 朝日新聞デジタル. 2021年9月2日閲覧。
  60. ^ 新しい日本銀行券の外観 - 新一万円券”. 日本銀行. 2021年9月30日閲覧。
  61. ^ 公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第37条第3項”. e-Gov (2011年6月24日). 2019年12月24日閲覧。 “2011年7月15日施行分”:数量、年月日及番号ヲ記載スルニハ壱弐参拾ノ字ヲ用ウヘシ
  62. ^ 大正十一年大蔵省令第四十三号(会計法規ニ基ク出納計算ノ数字及記載事項ノ訂正ニ関スル件)”. e-Gov (1950年5月22日). 2019年12月24日閲覧。 “1950年4月1日施行分” 第1条:会計法規ニ基ク出納計算ニ関スル諸書類帳簿ニ記載スル金額其ノ他ノ数量ニシテ「一」、「二」、「三」、「十」、「廿」、「卅」ノ数字ハ「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「弐拾」、「参拾」ノ字体ヲ用ユヘシ但横書ヲ為ストキハ「アラビア」数字ヲ用ユルコトヲ得
  63. ^ 戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)第31条第2項”. e-Gov (2017年9月25日). 2019年12月24日閲覧。 “2017年9月25日施行分” :年月日を記載するには、壱、弐、参、拾の文字を用いなければならない。
  64. ^ 小切手振出等事務取扱規程(昭和二十六年大蔵省令第二十号)(昭和40年大蔵省令第20号) 附則第2項”. e-Gov (1965年4月1日). 2019年12月24日閲覧。 “1965年4月1日施行分”:小切手の券面金額は、当分の間、所定の金額記載欄に、漢数字により表示することができる。この場合においては、「一」、「二」、「三」及び「十」の字体は、それぞれ「壱」、「弐」、「参」及び「拾」の漢字を用い、かつ、所定の金額記載欄の上方余白に当該金額記載欄に記載の金額と同額をアラビア数字で副記しなければならない。
  65. ^ 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第48条第2項”. e-Gov (2019年9月17日). 2019年12月24日閲覧。 “2019年10月1日施行分”:金銭その他の物の数量、年月日及び番号を記載するには、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。ただし、横書きをするときは、アラビヤ数字を用いることができる。
  66. ^ a b c d 新1万円札は使われるのか”. ARC WATCHING 2019年6月号. 2021年9月25日閲覧。
  67. ^ 新たな1万円札と「キャッシュレス化」”. 公益財団法人 国際通貨研究所 (2021年4月). 2021年9月26日閲覧。
  68. ^ a b c 広報誌 ファイナンス”. 財務省 (2019年6月). 2021年9月26日閲覧。
  69. ^ 少額商品に1万円札→店員「1万円入ります」と大声、その目的は? いつから習慣? - YAHOOニュース 2021年3月24日
  70. ^ お札の特長、独立行政法人国立印刷局。
  71. ^ “一万円札年末にお目見え”. 朝日新聞 朝刊 (東京): pp. 7. (1953年9月3日) 
  72. ^ “「一万円札」発行へ”. 朝日新聞 朝刊 (東京): pp. 7. (1955年12月30日) 
  73. ^ 北 (2007, pp. 7–9)
  74. ^ 「追跡・聖徳太子拾万円札プラン 日の目見なかったデザイン再現」『アエラ』1988年12月6日、 6頁。






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「一万円紙幣」の関連用語

一万円紙幣のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



一万円紙幣のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの一万円紙幣 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS