構造および機構
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「フォード・マローダーV8」の記事における「構造および機構」の解説
ガソリンを燃料とするオットーサイクル機関である。総排気量は6.28リットル (L) から7.57 Lまでの4種類である。 2組の直列4気筒が1本のクランクシャフトを共有し、各列がそれぞれ外方へ45度づつ傾いたV型8気筒配置である。5か所のメインベアリングでクランクシャフトを支持している。エンジンバレーを挟んで対となるシリンダー (ピストン) のコネクティングロッドは、共有するクランクジャーナルで前後に隣接して配置されているため、右4気筒と左4気筒はコネクティングロッド大端部の厚み量だけ前後に千鳥配置となっている (右前、左後) 。全シリンダーはウォータージャケットとクランクケース (スカート) と共に鋳鉄で一体鋳造されシリンダーブロックを形成している。基本的に実用化で4年先行しているサンダーバードV8スモールブロックの設計を拡大したものであり、エンジンを軸線方向から眺めた時、V字型のシリンダーと、その下に深く伸びるスカート (ディープスカート式) によりY字型を形成する「Yブロック」("Y-Block") が踏襲されている。この様式により捩れ剛性に優れている。クランクシャフトはクロスプレーン式である。 シリンダーヘッドはブロックと同様に鋳鉄である。吸気排気とも各1本のポペットバルブを上から下へ (オーバーヘッドバルブ式) 全て平行配置し、エンジンバレー側に10度傾倒させている。バルブの開閉制御はエンジンバレーの底に配置されたサイレントチェーンで駆動されるカムシャフト、油圧式自動間隙調節機構を備えたバルブリフター、シリンダーに沿って上下動するプッシュロッド、ヘッド頂部で運動を反転させるロッカーアームで構成されている。吸気ポート断面は入口が縦長の長方形であり、プッシュロッドを迂回して燃焼室へ向かうまでに円形となる。エンジンバレー側から吸気し、同方向へ排気するターンフロー式であるが、排気ポートはヘッド内を反転してエンジン外側の排気マニホールドへ向かう。設計基礎であるスモールブロックからボアピッチが拡がったことで、スモールブロックでは前後2気筒ずつの吸気ポート入口を縦並びさせていたものを無理のない横並びに変更し、さらに各気筒の排気ポート同士が隣接しない交互配置を採り、熱の分散が図られている。 燃焼室の形成においてブロック内燃焼 (In-block combustion) が採用されている。これはピストン冠面に対してエンジンバレー側から10度の勾配をもったシリンダーデッキと、窪みのない平らなシリンダーヘッド面を組み合わせることでシリンダー内に形成される楔形の円筒空間を燃焼室とする手法である。これにより燃焼堆積物の蓄積個所を排除するとともに、シリンダーヘッドの温度を抑制できる。スキッシュエリアはピストン冠面のエンジンバレー側円弧を10度の斜面にして形成している。点火プラグは排気ポート側から挿入される。 シリンダー冷却は加圧水を強制循環させ、ラジエーターで大気と熱交換する水冷式であり、3段階冷却システム (3-stage cooling system) が採用されている。これはエンジン始動時から冷却水はまずシリンダーヘッドと新採用された水冷式吸気マニホールドの各ウォータージャケットのみを循環する。華氏140度 (摂氏60.0度 (℃)) に達するとシリンダーブロックのサーモスタットが開きシリンダーウォータージャケットにも循環が開始され、華氏180度 (82.2 ℃) で冷却水出口のサーモスタットが開きラジエーターで熱交換する手法である。これにより気温が低い時の暖機運転を短縮し、水冷式吸気マニホールドは気温が高い時の始動不良を削減している。 燃料供給装置はダウンドラフト (降流式) の2バレル1ステージまたは4バレル2ステージキャブレターであり、オートチョークを備えている。吸気マニホールドは鋳鉄であり、クランク角が180度位相となる4気筒2組にそれぞれ独立したプレナム室とスロート (2ステージでは1次と2次の両スロート)を与えている (デュアルプレーン式)。また吸気系には温度制御式空気導入システム (Temperature contorolled air induction system) が装備されている。これは排気マニホールドで熱交換した空気の導管を、直上に位置するエアクリーナー空気摂取導管の中ほどに接続するもので、寒冷時の暖機運転を短縮する装置である。暖機が終了すると接続部のシャッターが自動で閉鎖され、外気のみの導入となる。 2バレルキャブレター 4バレルキャブレター 点火装置はポイント式で、進角装置は遠心式と真空式の併用である。 フォード・モーターの乗用車用エンジンとしては最大排気量であり、単体重量は補器類による差異はあるが、概ね740ポンド (336キログラム) 以上となる。 基本諸元サイクルオットーサイクル シリンダーブロック形式90度V型8気筒5ベアリング 吸排気バルブ機構OHV (プッシュロッド式)、ターンフロー2バルブ ボアピッチ4.90インチ (12.45 cm) クランクシャフト形式一体式クロスプレーン 潤滑方式ウェットサンプ 冷却方式加圧水強制循環式水冷 燃料ガソリン
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「フォード・チャレンジャーV8」の記事における「構造および機構」の解説
ガソリンを燃料とするオットーサイクル機関である。シリンダー冷却は加圧水を強制循環する水冷式を採用している。 二組の直列4気筒が1本のクランクシャフトを共有し、各列がそれぞれ外方へ45度づつ傾いたV型8気筒配置である。全シリンダーはウォータージャケットとスカートと共に一体鋳造されシリンダーブロックを形成している。シリンダーヘッド、ブロックとも素材は鋳鉄であるが、各所の大型被覆部品にはアルミニウム合金も用いられている。ブロックは最新の鋳造法により非常に肉薄であるのに加え、フォード・モーターがYブロックと称してV型8気筒に10年来採用している裾が深く高剛性なディープスカート式から一転して、裾がメインジャーナル (クランクシャフトの回転中心軸) 芯の高さまでしかないハーフスカート式を採用し大幅な軽量化を達成している。これら軽量化手法は剛性との交換関係にあるが、適所適度にリブを設けたり、各部形状の工夫により十分な剛性も確保されている。ヘッドは吸気ポートと排気ポートを交互に並べて熱の分散と均等化を図るとともに、排気ポートの周囲にウォータージャケットを配して排気熱が周囲へ与える影響を抑制している。 燃焼室はシリンダーヘッドを窪ませたウェッジ型であり、シリンダー直径に寄せられているため、スキッシュエリアはシリンダー両端に分け合うように形成されている。吸排気バルブはポペット式で、1気筒当たり吸気、排気各1本が並行配置され、全16組となるプッシュロッドとシーソー式ロッカーアームを介して1本のカムシャフトが開閉制御している (OHV)。カムシャフトは直下のクランクシャフトからサイレントチェーンで駆動される。混合気の吸気装置はエンジンバレーに位置し、排気系は気筒列外側となるため、ターンフロー式ではあるが出入口は対極となる。バルブはエンジンバレー側へ傾倒しているため、排気はシリンダーヘッド内を反転して外側へ誘導される。 クランクシャフトは5組のプレーンベアリングで支持されている。メインジャーナルと接する部位の素材はバビットメタルであり、厚い油膜を維持するためキャップ側にはオイル構を設けていない。クロスプレーンクランクであり、比較的重いカウンターウェイトを備える。 潤滑方式はウェットサンプであり、オイルポンプには当時としては最新のトロコイド式を採用している。ウォーターポンプは高効率の逆湾曲ベーン式で、素材はフロントカバーと共にアルミニウム合金である。 共通諸元サイクルオットーサイクル 気筒配列90度V型8気筒 ボアピッチ インチ (cm)4.38 (11.13) クランク軸5軸受クロスプレーン 潤滑方式ウェットサンプ 冷却方式加圧水強制循環式水冷
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「フォード・インディアナポリスエンジン」の記事における「構造および機構」の解説
ガソリンまたはメタノールを燃料とするオットーサイクル機関である。気筒冷却には水冷式を用いている。開発基礎となったチャレンジャーV8の基本構成を継承している。プッシュロッド「インディアナポリス」とDOHCコンペティションの差異は主にシリンダーヘッドであり、その他は基本的に共通である。 二組の直列4気筒が1本のクランクシャフトを共有し、各列がそれぞれ外方へ45度づつ傾いたV型8気筒配置である。シリンダーブロックは全気筒がスカートと共にアルミニウム合金で一体鋳造されている。ロッカーカバー、フロントカバーおよびサンプにはマグネシウム合金が用いられている。シリンダーブロックはチャレンジャーV8のハーフスカート式を踏襲しており、ボアピッチは同一寸度のままである。ドライデッキ式を採用しているため、気筒周囲のデッキ上には水路孔が全くない完全なクローズドデッキとなっており、ブロックからヘッドへの冷却水路は気筒列後端に2孔あるのみである。横に幅広い4ボルト式メインベアリングキャップ等が採用されている。 潤滑油ポンプはもとより、冷却水ポンプ、組込オルタネーターもギアで駆動され、両ポンプハウジングはアルミニウム合金である。潤滑方式はドライサンプ式であるが、掃油ポンプをクランクシャフト下に配置しているため、サンプはオイルパンからオイル溜まりを省いた程度の深さがある。点火方式は無接点トランジスタ式である。 エキゾーストマニホールドは4気筒を一纏めにする集合方式であるが、クランクシャフトがクロスプレーン式であるため、クロスオーバーチューンと呼ばれる各気筒列の2気筒づつ (合計4本) を1本に纏める集合方式を採用し、排気干渉を避けながら掃気効率を高めている。 共通主要諸元サイクルオットーサイクル 気筒配列90度V型8気筒 総排気量4184立方センチメートル シリンダー内径×ピストン行程3.760インチ×2.875インチ (95.50ミリメートル (mm) × 73.03 mm) クランク軸クロスプレーン 点火方式無接点フルトランジスタ 潤滑方式ドライサンプ 冷却方式強制循環加圧水式水冷
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「フォード・サンダーバードV8 (ミディアムブロック)」の記事における「構造および機構」の解説
この項では基幹機である量産型について記述する。要目が異なる特殊型は個別項目を参照のこと。 ガソリンを燃料とするオットーサイクル機関である。シリンダー冷却は加圧水を強制循環させ、ラジエーターで大気と熱交換する水冷式を採用している。 総排気量は最小5.44 Lから最大6.99 Lまでの8種類であり、排気量が小さい4種と大きい4種ではシリンダーの肉厚が異なる。また極近似排気量の6.96 L型と6.99 L型が併存しており、前者はピストン行程が短い競技運用を前提とした特殊型である。 2組の直列4気筒が1本のクランクシャフトを共有し、各列がそれぞれ外方へ45度づつ傾いたV型8気筒配置である。5か所のメインベアリングでクランクシャフトを支持している。エンジンバレーを挟んで対となるシリンダー (ピストン) のコネクティングロッドは、共有するクランクジャーナルで前後に隣接して配置されているため、右4気筒と左4気筒はコネクティングロッド大端部の厚み量だけ前後に千鳥配置となっている (右前、左後) 。全シリンダーはウォータージャケットとクランクケース (スカート) と共にダクタイル鋳鉄で一体鋳造されシリンダーブロックを形成している。基本的に実用化で4年先行しているスモールブロックの設計を拡大したものであり、エンジンを軸線方向から眺めた時、V字型のシリンダーと、その下に深く伸びるスカート (ディープスカート式) によりY字型を形成する「Yブロック」("Y-Block") が踏襲されている。この様式により捩れ剛性に優れている。 シリンダーヘッドはブロックと同様にダクタイル鋳鉄である。吸気排気とも各1本のポペットバルブを燃焼室の上 (オーバーヘッドバルブ式) から全て平行配置し、エンジンバレー側に傾倒させてウェッジ型の燃焼室を形成している。バルブ直径は吸気2.04インチ (5.18センチメートル (cm))、排気1.57インチ (3.99 cm) である。バルブの開閉制御はエンジンバレーの底に配置されたカムシャフト、油圧式自動間隙調節機構を備えたバルブリフター、シリンダーに沿って上下動するプッシュロッド、ヘッド頂部で運動を反転させるロッカーアームで構成されている。シリンダーヘッドは幅が非常に狭い設計であるためプッシュロッドの支持部を持たず、その支持は吸気マニホールドに依存している。吸気ポート断面は入口が縦長の長方形であり、プッシュロッドを迂回して燃焼室へ向かうまでに円形となる。エンジンバレー側から吸気し、同方向へ排気するターンフロー式であるが、排気ポートはヘッド内を反転してエンジン外側の排気マニホールドへ向かう。設計基礎であるスモールブロックからボアピッチが拡がったことで、スモールブロックでは前後2気筒ずつの吸気ポート入口を縦並びさせていたものを無理のない横並びに変更し、さらに各気筒の排気ポート同士が隣接しない配置を採り、熱の分散が図られている。ポートは対象配置であるため、中央2気筒の吸気ポートが隣接している。なお、実用化初年度の燃焼室は容積の均一化と堆積物を減らすため機械加工で形成されていたが、翌年度から鋳造に変更された。これは当時のプレミアムガソリンの品質が不均一であったことから、プレミアムガソリン指定の機種の圧縮比を下げて対応したため、機械加工するほどの精度が不要となったことによる。 燃料供給装置はダウンドラフト (降流式) の2バレル1ステージまたは4バレル2ステージキャブレターである。吸気マニホールドは鋳鉄であり、クランク角が180度位相となる4気筒2組にそれぞれ独立したプレナム室とスロート (2ステージでは1次と2次の両スロート)を与えている (デュアルプレーン式)。 2バレルキャブレター 4バレルキャブレター ピストンはアルミニウム合金鋳造のフラットトップソリッドスカート型、コネクティングロッドは鋼鍛造、クランクシャフトは鋳鉄の精密成型である。この他、ターボアクション点火プラグ、鋼鈑プレス成型のクランクシャフトダンパーとタイミングチェーンカバーが採用されている。カムシャフトはサイレントチェーンで駆動される。配電および点火方式は真空進角装置付きブレーカー式ディストリビューターである。また、当機を動力とする場合のラジエーターキャップは13重量ポンド毎平方インチ (約90キロパスカル (kPa)) の新型となる。 当時の常識に照らして乗用車用エンジンとしては非常に大型であるが、当型からシリンダーブロックは最新の薄肉鋳造法で製造されているため、乾燥重量は650ポンド (295キログラム (kg)) 程度であり、大排気量の全鋳鉄エンジンとしては比較的軽量に仕上がっている。また、鋳造アルミニウム合金の吸気マニホールドを採用した型はさらに50ポンド (23 kg) 程度軽量であった。 基本諸元サイクルオットーサイクル シリンダーブロック形式90度V型8気筒5ベアリング 吸排気バルブ機構OHV (プッシュロッド式)、ターンフロー2バルブ ボアピッチ4.63インチ (11.76 cm) デッキハイト10.17インチ (25.83 cm) クランクシャフト形式一体式クロスプレーン 潤滑方式ウェットサンプ 冷却方式加圧水強制循環式水冷 燃料ガソリン
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