排気干渉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 05:49 UTC 版)
「エキゾーストマニホールド」の記事における「排気干渉」の解説
エキゾーストマニホールドはヘッダーパイプの長さや径だけでなく、集合させる組み合わせによってもエンジン特性が変化する。大きく分けると、排気干渉(英: exhaust interference)を積極的に利用して掃気効率(英: exhaust scavenging efficiency)を高める設計と、排気干渉を利用せずに掃気効率を高める設計がある。エンジンの特性を競技車、スポーツカー、エコカー向けにするかで設計は大きく変わってくる。独自の排気音を得るため、メーカーの純正状態で管長を調整して排気干渉を意図的にさせる設計も存在する。その代表的なものが2005年頃までのスバルの水平対向エンジンである。 排気ポートから排気が行われると、排気管内には圧力波が生じて管内を往復する、排気脈動 (英: exhaust pulse)と呼ばれる現象が起こる。エキゾーストマニホールド内では、1つのシリンダで発生した排気脈動は集合部で反射波となって別のシリンダの排気ポートへ到達するが、排気ポートを開くタイミングで排気脈動の負圧が到達するようにヘッダーパイプの長さを調整すると、掃気を促し新気の充填効率を高くすることができる。一方で、掃気の終盤で圧力波の高圧部分が排気ポートに到達すると新気の吹き抜けを抑える[要出典]。 4気筒エンジンでは、排気干渉を利用して掃気効率を上げる設計として、4本から2本、2本から1本へと段階的に集約する「4-2-1」レイアウトが利用されることが多い。一方、排気効率を優先する場合は等長ヘッダーパイプによる「4-1」レイアウトが組み合わされる。これは乾燥重量の低減(軽量化)にもメリットがある。シリンダーから集合部までの距離が長い4-2-1レイアウトは通常の道路を走行する際に利用される中低速域でのトルクや燃費に優れ、シリンダーからの距離が短い4-1レイアウトは高回転を多く利用するレース車両に向いている。オートバイの4気筒エンジンの場合、かつてはエキゾーストマニホールドを設けずに各シリンダーから1本ずつに分かれたままの排気管を採用していたが、現在では4-1レイアウトと4-2-1レイアウトが主流である。 「タコ足」という呼称は、各排気ポートから集合部までを長さを等長化する際に、狭いスペースの中で、排気の抵抗となるような屈曲を避け、しかも長さを稼ぐ必要からうねるような曲がりが付き、それがタコの足のような形状になることに由来している。
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