排気マフラー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 13:45 UTC 版)
「マフラー (原動機)」の記事における「排気マフラー」の解説
シリンダーでの仕事を終えた燃焼ガスは排気として放出されるが、依然として高温、高圧であり、大気に解放されると急激に膨張して大きな音を発する。マフラーはその内部で排気を段階的に膨張させたり、繰り返して圧力波を干渉させるなどの方法で、圧力と温度を下げて騒音を抑える装置であり、ラジコンや草刈り機のような小型エンジンでの使用、鉄道車両でのディーゼル機関車や気動車の排気煙突の手前に設置される物での使用から、定置型の発電機や船舶のような大型エンジンまで広い用途の内燃機関に取り付けられている。マフラーは排気の流れを妨げる抵抗、すなわち背圧を生む構造であるが、自動車などのエンジンにおいては背圧を利用して、発進時や加速時などに有用なエンジン出力の過渡特性を向上させている場合もある。こうした場合に用いられるマフラーは効率よく排気を排出させる機能と、適度な背圧を与える機能とのバランスを考慮した設計がされており、プリ・マフラーとメイン・マフラーのように複数を備える場合もある。 最も簡単なマフラーの構造は単純な管を取り付けただけのものであるが、より高い消音効果を得るために次のような構造を設ける場合や、これらを組み合わせる場合がある。 流路を部分的に広くする。 内部に、パンチングパイプと呼ばれる穴の開いた管を通した二重構造とする。 管の内壁に凹凸を設ける。 障壁となる構造(バッフル)を設ける。 内部空間に吸音性のある材質、構造物を充填する。 単純な構造のものほど軽量で安価に作ることができ、排気の流れに抵抗となりにくいが、消音機能や背圧を利用する機能は低くなる。自動車や農機、可搬式エンジン機器などで多く見られるマフラーは、内部を邪魔板(バッフルプレート)で仕切って複数の空間に分け、それらを遠回りになるように長さや太さの違うパイプで繋いだ構造をとったものである。排気ガスが複雑な経路でマフラーの中を通過するうちに、膨張や圧力波の干渉を繰り返して音量を抑えられる。 マフラーの主要構造に使われる材質には鋼管や鋼板、場合によってはステンレス鋼材が用いられることが多い。エンジンの用途によってはアルミニウム合金や真鍮(黄銅)、チタン合金やインコネルといった合金が使われることもある。サイレンサーの外殻部分など、排気が直接触れない部分ではFRPやCFRPといった繊維強化プラスチックが使われることもある。マフラー内に吸音材として充填される材料には、グラスウールやスチールウール、スチールメッシュ(金網)などが使われる。またサイレンサーは三元触媒と外観が似ているものもあるが、サイレンサーは排気管の中ほどから後方、触媒は排気温度が下がる前のエキゾーストマニホールド集合部や排気管のエンジン寄りに取り付けられる場合が多い。
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