P.U.L.S.E
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/28 09:37 UTC 版)
| 『P·U·L·S·E』 | ||||
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| ピンク・フロイド の ライブ・アルバム | ||||
| リリース | ||||
| ジャンル | プログレッシブ・ロック | |||
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| レーベル | |
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| プロデュース | デヴィッド・ギルモア&ジェイムズ・ガズリー | |||
| 専門評論家によるレビュー | ||||
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| ピンク・フロイド アルバム 年表 | ||||
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『P·U·L·S·E』(パルス、Pulse)は、1995年に発表されたピンク・フロイドの2枚組のライブ・アルバム。
2013年現在、ピンク・フロイドとしては最後のツアーとなった1994年のアルバム『対』発売後の「The Division Bell Tour」の模様が収録されている。ディスク 2では、1973年発表の『狂気』を全曲にわたって再現している。『P.U.L.S.E』というタイトル自体、『狂気』で印象的に使われた心臓の効果音にちなむと思われる。元の作品のコンセプトを主導したロジャー・ウォーターズが不在でありながら、相変わらず高いクオリティの作品に仕上がっていると一部のファンは感じ入っている。なお、本作品はアナログ録音による作品である。
初回生産盤はCDケースに発光ダイオードが付いており、半年から1年間は点滅(パルス)し続けるという豪華仕様である(電源には、米ソニー・エナジー・テック製単三アルカリ電池が使用され、全英・全米第1位を記録し大ヒットとなった)。
欧州ツアーではフォルクスワーゲンがスポンサーになり、フォルクスワーゲン・ゴルフのピンク・フロイド仕様も欧州で限定発売された。
収録曲
ディスク 1
- 「クレイジー・ダイアモンド」 - "Shine On You Crazy Diamond"
- 「天の支配」 - "Astronomy Domine"
- 「ホワット・ドゥー・ユー・ウォント」 - "What Do You Want From Me?"
- 「幻の翼」 - "Learning To Fly"
- 「キープ・トーキング」 - "Keep Talking"
- 「転生」 - "Coming Back To Life"
- 「ヘイ・ユー」 - "Hey You"
- 「壁が崩壊した日…」 - "A Great Day For Freedom"
- 「時のない世界」 - "Sorrow"
- 「運命の鐘」 - "High Hopes"
- 「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)」 - "Another Brick In The Wall - Part II"
- 「吹けよ風、呼べよ嵐」 - "One Of These Days" (アナログ盤のみに収録)
ディスク 2
- 「スピーク・トゥ・ミー」 - "Speak To Me"
- 「生命の息吹き」 - "Breathe"
- 「走り回って」 - "On The Run"
- 「タイム」 - "Time"
- 「虚空のスキャット」 - "The Great Gig In The Sky"
- 「マネー」 - "Money"
- 「アス・アンド・ゼム」 - "Us And Them"
- 「望みの色を」 - "Any Colour You Like"
- 「狂人は心に」 - "Brain Damage"
- 「狂気日食」 - "Eclipse"
- 「あなたがここにいてほしい」 - "Wish You Were Here"
- 「コンフォタブリー・ナム」 - "Comfortably Numb"
- 「ラン・ライク・ヘル」 - "Run Like Hell"
メンバー
ピンク・フロイド
- デヴィッド・ギルモア (David Gilmour) - リード・ボーカル、ギター
- ニック・メイスン (Nick Mason) - ドラム
- リチャード・ライト (Richard Wright) - キーボード、バック・ボーカル、「天の支配」「タイム」「アス・アンド・ゼム」「コンフォタブリー・ナム」リード・ボーカル
参加ミュージシャン
- ガイ・プラット (Guy Pratt) - ベース、バック・ボーカル、「ラン・ライク・ヘル」一部リード・ボーカル
- ジョン・カーリン (Jon Carin) - キーボード、バック・ボーカル、「ヘイ・ユー」一部リード・ボーカル
- サム・ブラウン (Sam Brown) - バック・ボーカル
- ドゥルガ・マクブルーム (Durga McBroom) - バック・ボーカル
- クラウディア・フォンテイン (Claudia Fontaine) - バック・ボーカル
- ティム・レンウィック (Tim Renwick) - ギター、バック・ボーカル
- ディック・パリー (Dick Parry) - サクソフォーン
- ゲイリー・ウォリス (Gary Wallis) - パーカッション
PULSE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/26 09:42 UTC 版)
| 「| ̄|_ (PULSE)」 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| THE MAD CAPSULE MARKETS の シングル | |||||||
| 初出アルバム『OSC-DIS』 | |||||||
| B面 |
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| リリース | |||||||
| 規格 | マキシシングル | ||||||
| 録音 | 河口湖スタジオ | ||||||
| ジャンル | |||||||
| 時間 | |||||||
| レーベル | ビクター/SPEEDSTAR | ||||||
| 作詞 |
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| 作曲 | TAKESHI UEDA | ||||||
| プロデュース | THE MAD CAPSULE MARKETS | ||||||
| チャート最高順位 | |||||||
| THE MAD CAPSULE MARKETS シングル 年表 | |||||||
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| EANコード | |||||||
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JAN一覧
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「| ̄|_ (PULSE)」(パルス)は、日本のロックバンドであるTHE MAD CAPSULE MARKETSの楽曲。
1999年7月28日にビクターエンタテインメントのSPEEDSTAR RECORDSレーベルから12枚目のシングルとしてリリースされた。前作「MIDI SURF」からおよそ1年振りにリリースされたシングルであり、作詞および作曲はTAKESHI UEDAが担当している。
過去においてリフを主体とした楽曲を制作していた同バンドとしては異質な3コードを使用したパンク・ロックの楽曲であり、トラックにおいてループを融合することに成功した楽曲のため単純なパンク・ロックではない楽曲であるとTAKESHIは述べている。
8枚目のアルバム『OSC-DIS』の先行シングルとしてリリースされ、シングル盤にはCD EXTRA仕様としてミニゲームである『ポチ・レーシング』が収録されている。本作を収録したシングル盤はオリコンシングルチャートにおいて最高位第29位となった。また、本作を収録したシングル盤からバンド名のアポストロフィーが付かなくなり「THE MAD CAPSULE MARKETS」表記となった。
背景
7枚目のアルバム『DIGIDOGHEADLOCK』(1997年)リリース後、THE MAD CAPSULE MARKETSは同年10月にアメリカ合衆国のロックバンドであるヘルメットの来日公演にて共演を果たした他、同作を受けたコンサートツアー「DIGIDOGHEADLOCK TOUR」が同年10月2日の新宿リキッドルーム公演から11月9日の新潟フェイズ公演まで14都市全17公演が行われた。11月21日には9枚目のシングル「CRASH POW」および10枚目のシングル「CREATURE」を同時リリースする。1998年に入り、全国コンサートツアー「DIGIDOGHEADLOCK TOUR'98」を5月9日の名古屋ダイアモンドホール公演から5月30日の札幌ペニーレイン24公演まで6都市全6公演が行われた。その後海外コンサートツアー「WEST COAST TOUR」を7月13日のUiper Room(ロサンゼルス)公演から7月19日のThe Garage(ロサンゼルス)まで3都市5公演が実施され、7月26日には2回目となる主催イベント「MAD HOUSE」を実施、さらに7月28日には3回目の「MAD HOUSE」を実施する。
8月28日にはアルバムを想定していない段階でのシングルとして「MIDI SURF」を単独でリリース、この作品には初回特典としてジャケットのポチカーを模したチョロQが付属しており、以後のシングルでも度々特典が付属されていくこととなった[2]。10月には前作『DIGIDOGHEADLOCK』をアメリカ合衆国にてインディーズレーベルからリリース。10月8日にはクラブチッタ川崎にてイングランドのロックバンドであるピッチシフターの来日公演にゲスト参加する。また、同時期にリリースされたオムニバスの企画物コンピレーション・アルバムに「SYSTEMATIC.」や「CRASH POW」などの楽曲が収録されている。1999年に入り、2月12日には大阪ハートビートにてアメリカ合衆国のロックバンドであるフィア・ファクトリーの来日公演にて共演を果たした。
音楽性と歌詞
KYONOおよびMOTOKATSUは本作のデモテープを聴いた段階で好んでおり、MOTOKATSUは「コーラスがいい」と述べ、KYONOは「“シングルはこれしかないっしょ”という感じが最初からあった。キャッチーだし、初めて聴く人にもわかりやすいでしょ」と述べている[3]。本作は全英語詞の楽曲であり、過去において同様の楽曲はあまりなかったとKYONOは述べた上で、「リズムに乗ったメロディとか歌とか、いろんな楽しみ方もできると思う」と述べている[3]。TAKESHI UEDAはメロディがあるフレーズとループとの融合が成功した楽曲であると述べた上で、「やってることは3コード・パンクなんだけど、そこにループが入ることでオレらっぽくなっている」と述べている[3]。またTAKESHIはパンク・ロックを意識して制作した楽曲であるとも述べており、過去作においてはリフを主体に作曲を行っていたことに対し、同時期には通常のコードを使用して制作する方法に新鮮味を感じていたことから、単純なコード進行でありながらトラックのみTHE MAD CAPSULE MARKETSらしいアレンジの楽曲があまり類を見ないため意図的に採用したと述べている[4]。音楽誌『ロッキンf』1999年11月号では本作について「刺激的なループ・サウンドとキャッチーなメロディのミックスをウマく形にした曲」、「初期に通じるわかりやすいパンク・ナンバーがベースになっている」と指摘している[5]。
リリース、批評、チャート成績、ミュージック・ビデオ
| 専門評論家によるレビュー | |
|---|---|
| レビュー・スコア | |
| 出典 | 評価 |
| CDジャーナル | 肯定的[6] |
本作はシングルとして1999年7月28日にビクターエンタテインメントのSPEEDSTAR RECORDSレーベルからマキシシングルにてリリースされた。シングル盤はCD EXTRA仕様となっており、BONUS GAME DATAとしてミニゲームである『ポチ・レーシング』が収録されている[7]。同シングル盤からバンド名のアポストロフィーが付かなくなり、以降の作品は「THE MAD CAPSULE MARKETS」表記となった。2001年12月13日にはイギリスにおいてパーム・ピクチャーズからシングルとしてリリースされた。
本作の音楽性について音楽情報サイト『CDジャーナル』では、THE MAD CAPSULE MARKETSの音楽性が時代の流行に流されることなくマイペースに進化を繰り返しながら活動していることを取り上げた上で、楽曲そのものよりも「個人的に感銘を受けるのはその精神力の強さだったりする」と記し、「焦らず媚びずだけど最前線。無敵の初志貫徹バンドの新作、心して聴け」と肯定的に評価した他、「ポチ・レーシング」がCD EXTRAとして収録されていることに触れた上で、「いやいや、そんなおまけがなくたって、あの激しくカッコいいサウンドがあればいいんだったら」と総括している[6]。
本作はオリコンシングルチャートにおいて、最高位第29位の登場週数4回となった[1]。本作を収録したシングル盤の売り上げ枚数はオリコンチャートにおけるTHE MAD CAPSULE MARKETSのシングル売上ランキングにおいて第6位となっている[8]。
本作のミュージック・ビデオはオカモトケンジが監督を担当し全編CGで構成されている。内容はメンバー3人がアルバム・ジャケットと同様の服装で戦闘員に扮し、特殊武器を装備して射撃を行いアルバムの裏ジャケットに描画されている敵組織を攻撃、本作を収録したシングル盤のジャケットに描画された少年を救出する内容になっている[5]。またTAKESHIは「ERASER」を装備した01号戦士、KYONOは「EXTERMINATOR」を装備した02号戦士、MOTOKATSUは「MAD-TECK KILLER」を装備した03号戦士という設定になっている[9]。同ビデオはミュージック・ビデオ集『OSC-DIS VIDEO』に収録された[10]。
シングル収録曲
- CD付属の歌詞カードに記載されたクレジットを参照[11]。
| # | タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1. | 「| ̄|_ (PULSE)」 | TAKESHI UEDA/補作詞: KATSUYA | TAKESHI UEDA | THE MAD CAPSULE MARKETS | |
| 2. | 「JAG (EXCLUSIVE VERSION)」 | KYONO/補作詞: KATSUYA | THE MAD CAPSULE MARKETS | THE MAD CAPSULE MARKETS, KEI KUSAMA | |
| 3. | 「START IT UP -PULSE REMIX-」 | TAKESHI UEDA, KEI KUSAMA | |||
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合計時間:
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スタッフ・クレジット
- CD付属の歌詞カードに記載されたクレジットを参照[11]。
THE MAD CAPSULE MARKETS
- KYONO – ボーカル
- TAKESHI UEDA – ベース、プログラミング、ボーカル
- MOTOKATSU MIYAGAMI – ドラムス、プログラミング
参加ミュージシャン
- TORUxxx – ギター、バッキング・ボーカル
- 草間敬 (KURID INT'L) – プログラミング
録音スタッフ
- THE MAD CAPSULE MARKETS – プロデューサー
- KONIYANG (KURID INT'L) – レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
- 根本洋志 – アシスタント・エンジニア
- 田中大樹(一口坂スタジオ) – アシスタント・エンジニア
- 山崎和重(ビクタースタジオ) – マスタリング・エンジニア
- 八島順一 – インストゥルメント・テク
- かねことしひろ – ベース&ギター・テク
制作スタッフ
- 横田直樹(ビクター・SPEEDSTAR) – A&R
- MAYUKI (DESTROYDER) – マネージメント・スタッフ
- なかやまかつや (DESTROYDER) – マネージメント・スタッフ
- 小野朗(ビクター・SPEEDSTAR) – プロモーション・ヘッド・スタッフ
- 山本雅美(ビクター・SPEEDSTAR) – セールス・ヘッド・スタッフ
- よこやまふみこ (DESTROYDER) – マネージメント・デスク
- 田中智子(ビクター・SPEEDSTAR) – プロモーション・デスク
- 田中義則 (DESTROYDER) – エグゼクティブ・プロデューサー
- 高垣健(ビクター・SPEEDSTAR) – エグゼクティブ・プロデューサー
美術スタッフ
- 土井宏明 (POSITRON) – アート・ディレクション、デザイン
- オカモトケンジ – コンピュータグラフィックス
- 富岡克文(ビクターデザインセンター) – デザイン・コーディネーション
- 佐藤岳(ビクターマルチメディア) – ゲーム・プロデュース
- さとうみなみ(ビクターマルチメディア) – ゲーム・プロデュース
その他スタッフ
- フェンダー – サンクス
- LUDWIG・野中貿易 – サンクス
- モリダイラ楽器 – サンクス
- ヘイマーUSA – サンクス
- 中尾貿易 – サンクス
- ファイブ・ジー – サンクス
- ヤマハ渋谷 – サンクス
- イシバシ楽器 – サンクス
- YOU-SUCK (AMAZON CLUB) – サンクス
チャート
| チャート | 最高順位 | 登場週数 | 売上数 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 日本(オリコン) | 29位 | 4回 | - | [1] |
リリース日一覧
| No. | 地域 | リリース日 | レーベル | 規格 | カタログ番号 | 備考 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 日本 | 1999年7月28日 | ビクター/SPEEDSTAR | CD | VICL-35071 | [6][12] | |
| 2 | イギリス | 2001年12月13日 | パーム・ピクチャーズ | PPCD-7062-2 |
脚注
- ^ a b c “PULSE|THE MAD CAPSULE MARKETS”. オリコンニュース. オリコン. 2025年10月25日閲覧。
- ^ THE MAD CAPSULE MARKETS MAGAZINE!! 2005, p. 20- 「FROM 1990 TO 2005 PERFECT MAD WORLD!!! - 3MEMBERS SELF LINERNOTES」より
- ^ a b c ロッキンf No.288 1999, p. 43- 長谷川幸信、高橋伸彰「PART-4 ザ・マッド・カプセル・マーケッツ本人による『OSC-DIS』全曲解説」より
- ^ 音楽と人 No.68 1999, p. 84- 石井恵梨子「THE MAD CAPSULE MARKETS 音に埋もれて繋がれて」
- ^ a b ロッキンf No.288 1999, p. 44- 長谷川幸信、高橋伸彰「PART-4 ザ・マッド・カプセル・マーケッツ本人による『OSC-DIS』全曲解説」より
- ^ a b c “ザ・マッド・カプセル・マーケッツ / 〓[PULSE]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年10月25日閲覧。
- ^ “PULSE|THE MAD CAPSULE MARKETS”. VICTOR ONLINE STORE. ビクターエンタテインメント. 2025年10月25日閲覧。
- ^ “THE MAD CAPSULE MARKETSのシングル売上TOP11作品”. オリコンニュース. オリコン. 2025年10月25日閲覧。
- ^ ロッキンf No.288 1999, pp. 36–37- 長谷川幸信、高橋伸彰「PART-1 アルバム『OSC-DIS』ロング・インタヴュー」より
- ^ “ザ・マッド・カプセル・マーケッツ/OSC-DIS VIDEO [VIDEO他]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2025年10月25日閲覧。
- ^ a b PULSE 1999.
- ^ “PULSE/The Mad Capsule Markets”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2025年10月25日閲覧。
参考文献
- 『| ̄|_ (PULSE)』(CD付属歌詞カード)THE MAD CAPSULE MARKETS、ビクターエンタテインメント、1999年。VICL-35071。
- 『音楽と人 No.68 1999年9月号』第7巻第9号、シンコーミュージック、1999年9月1日、84頁、雑誌12129-9。
- 『ロッキンf No.288 1999年11月号』第24巻第11号、立東舎、1999年11月1日、36 - 44頁、雑誌09749-11。
- 鹿野淳 (fact-mag.com)『THE MAD CAPSULE MARKETS MAGAZINE!!』vol.1、ビクターエンタテインメント、2005年3月30日、20頁、4988002452644。
外部リンク
脈拍
(pulse から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/19 01:38 UTC 版)
脈拍(みゃくはく、英: pulse)とは訓練された指先によって動脈を触診することによって知ることのできる心拍を表す。脈拍は、頸部(頸動脈)、手首(橈骨動脈)、鼠径部(大腿動脈)、膝裏(膝窩動脈)、足関節付近(後脛骨動脈)、足(足背動脈)など、体表付近の動脈を触れる場所であればどこでも触診することができる。脈拍数(1分あたりの動脈拍動数、英: pulse rate: PR)は通常、心拍数(英: heart rate: HR)と等しいが、不整脈では両者は異なることがある。伝統的には心拍数は、心臓の拍動の聴診、すなわち聴診器を使って1分間カウントすることによっても測定できる。橈骨動脈の脈拍は3本の指を使って測定するのが一般的である[1]。脈の研究は脈拍学(sphygmology)として知られている。
生理学
収縮期に心臓から発生する縦波が動脈壁を動かす[注釈 1]。脈拍数は動脈の外側の触覚的または視覚的手段によって観察・測定され、1分あたりの拍動数(beats per minute: BPM)として記録される。
脈拍触知から血圧を測定する触診法は訓練された観察者にとって収縮期血圧を決定する便利な方法である。しかし、拡張期血圧は触診法では観察できない[3]。
心拍数は生理的要求によって脈拍数より大きくなったり小さくなったりする。この場合、心拍数は心尖部の聴診または可聴音によって決定されるが、その場合は脈拍ではない。脈拍欠損(pulse deficit、心臓の拍動と末梢の脈拍の差)は、橈骨動脈の触診と心尖部付近の聴診を同時に行うことによって、検出できる。心室性期外収縮や心房細動がある場合にみられることがある。
トランスデューサーとオシロスコープに接続された動脈カテーテルを使用することで、脈拍の速度、脈拍欠損、その他多くの生理学的データが容易かつ簡便に可視化される。動脈カテーテルは全身麻酔や集中治療室で多用されている。
脈拍は、パルスオキシメトリーでも計測可能である。これは、血液成分であるヘモグロビンの、酸素化条件下と脱酸素化条件下での赤外光の吸光度の変化率から酸素飽和度を迅速かつ非侵襲的に測定できるものであり[4]、その時間変化から脈拍数が算出される。
脈拍の性状
脈拍数
安静時の正常脈拍数(単位:拍/分(beats per minute: BPM))は以下の通りである[5]。
| 新生児 (0–3ヶ月) |
乳児 (3–6ヶ月) |
乳児 (6–12 ヶ月) |
小児 (1–10 才) |
10才以上の小児、成人、老人 | 成人のアスリート |
|---|---|---|---|---|---|
| 99–149 | 89–119 | 79–119 | 69–129 | 59–99 | 39–59 |
脈拍数は、心臓の全体的な健康状態やフィットネスレベルをチェックするのに使える。一般的には低い方が良いが、過度の徐脈は危険である。危険なほど遅い脈拍の症状には、脱力感、気力の喪失、失神などがある[6]。
リズム
正常な脈拍は規則正しいリズムがあり、強く触れる。不規則な脈拍は、洞性不整脈、異所性拍動(ectopic beats)、心房粗動、発作性心房頻拍、心房粗動、房室ブロックなどによるものである。脈拍が間欠的に脱落することを"intermittent pulse".「間欠脈」と呼ぶ。規則的な間欠脈(規則性不整脈)の例としては、二連脈(pulsus bigeminus)、2度房室ブロックなどがある。不規則な間欠脈の例としては、心房細動がある。
大きさ
脈拍の大きさは、動脈の拍動の幅、すなわち、拡張期から収縮期の間、触診している指を持ち上げる高さと定義される[7]。脈圧、すなわち収縮期血圧と拡張期血圧の差の指標である[7]。大きい脈拍を大脈(pulsus magnus)、小さいものを小脈(pulsus parvus)という[8]。
強弱
- 0 = 脈を触れない。
- 1 = わずかに触れる。
- 2 = 容易に触れる。
- 3 = 完全に触れる。
- 4 = 動脈瘤または反跳脈
脈が強い
反跳脈(bounding pulse)[7]とは脈圧が高いことを意味する。虚脱脈(collapsing pulse)とも呼ばれる[7]。末梢血管抵抗の低下(発熱、貧血、甲状腺機能亢進症、動静脈瘻にみられる)、大動脈弁閉鎖不全症 などが原因である可能性がある[7]。
脈が弱い
脈が弱いということは脈圧が低いということである。心拍出量の低下(ショック、うっ血性心不全でみられる)、循環血液量減少(hypovolemia)、心臓弁膜症(大動脈弁狭窄、僧帽弁狭窄)、高安動脈炎などが原因である可能性がある。
緊張
橈骨動脈にあてた示指以下3本の指のうち、最も中枢側の指で動脈を圧迫し、どれぐらい圧迫すれば末梢側の指で拍動が触れなくなるかを調べる。弱い力で触れなくなれば軟脈(soft pulse)、強い力で触れなくなれば硬脈(hard pulse)と呼ぶ[11]。手掌では2本の動脈(橈骨動脈と尺骨動脈)が手掌動脈弓(浅掌と深掌)を介してつながっている。軟脈か硬脈かは収縮期血圧に関連する[11]。
遅速
脈拍の大きさが変化する速度である[12]。脈拍そのものの速さ、遅さである、頻脈・徐脈とは異なる[12]。急速に下降する速脈(pulsus celer)は大動脈弁閉鎖不全症でみられる。ゆっくり上昇し、ゆっくり下降する遅脈(pulsus tardus)は大動脈弁狭窄症でみられる[13][14][15][16][8]。
測定部位による違い
異なる部位の脈拍を比較することにより、貴重な臨床情報が得られる[11]。
左右の橈骨動脈の脈拍が不一致または不均等であるのは、動脈の異常または異常な走行、大動脈縮窄、大動脈炎、解離性大動脈瘤、末梢塞栓症などで観察される。上肢と下肢の間で脈拍が異なるのは、大動脈縮窄、大動脈炎、大動脈分岐部の狭窄・閉塞、大動脈解離、医原性大血管損傷、動脈硬化性閉塞などでみられる。
動脈壁の性状
正常の動脈は指で圧迫し血流を停止させると, それより末梢側では血管は触知できなくなる.これに対し,動脈硬化があると、血流を停止した状態でも明らかに血管を触知しうるようになる[11]。
特徴的な脈拍
いくつかの脈拍パターンは臨床的に重要である。以下のようなものがある:
- 重複脈(Dicrotic pulse)橈骨動脈の脈波の下行脚に第二の山を触知できることがあり、重複脈という。心拍出量が少なく全身血管抵抗が高い状態では、重複脈を生じることがある[17][13]。熱性疾患、特に腸チフスのときに見られるとされる[18]。
- 交互脈(Pulsus alternans): 心機能低下、うっ血性心不全、心筋疾患などで見られる[18]不吉な医学的徴候である。熟練者の指先では、強い脈の後に弱い脈が交互に繰り返されるパターンが観察される。坐位あるいは立位で認めやすく、しばしば心音聴診では奔馬調律(gallop rhythm)を伴う[18]。
- 二段脈(Pulsus bigeminus): 脈拍が2つずつ対をなし、そのあとに休止期がある[8]。期外収縮や第2度房室ブロックの際に生じる[8]。
- 二峰性脈(Pulsus bisferiens): 重複脈とは異なり、1心周期に2回の拍動があり、いずれも収縮期である。大動脈弁が正常に開閉しない場合、大動脈弁疾患患者に典型的にみられる異常な身体所見である。訓練された指先では、各心拍に1つではなく2つの脈が観察される。
- 奇脈(Pulsus paradoxus): 吸気時に脈拍が小さくなることをいう[18]。時には触知不能となることもある[18]。心膜腔への液体貯留が原因であり、心タンポナーデや収縮性心膜炎の際に生じる[18]。正常者では吸気の極期に脈拍は最大となる[18]。
- 橈骨-大腿遅延: 大動脈縮窄症では、大腿動脈の脈拍は橈骨動脈の脈拍に比べて著しく遅れることがある(大動脈弁閉鎖不全症が併存している場合を除く)。これを橈骨-大腿遅延(radio-femoral delay)という[19]。この遅れは大動脈弁上狭窄症でも観察される。
一般的な触知部位
部位は末梢脈と中枢脈に分けられる。中枢脈には頸動脈、大腿動脈、上腕動脈が含まれる[20]。
上肢
- 腋窩: 腋窩外側壁の下方に位置する(腋窩動脈)。
- 上腕: 上腕の内側、肘の近くにあり、乳幼児では頸動脈の代わりによく使われる(上腕動脈)。
- 橈骨: 手首の外側にある (橈骨動脈)。解剖学的嗅ぎタバコ入れでも触れることができる。
- 尺骨: 手首の内側にある (尺骨動脈)。
下肢
- 大腿: 恥骨結合と上前腸骨棘の中点に 大腿動脈を触れる[21]。
- 膝窩: 患者に膝を約124°に曲げさせ、検者は両手で膝を持ち、膝の後ろのくぼみにある膝窩動脈を見出すことができる。
- 足背: 足の甲、長趾伸筋のすぐ外側に足背動脈がある。
- 足首: 足関節の内側、内果から2cm下方、2cm後方に後脛骨動脈を触れる。
頭頚部
- 頸部:頚動脈は、患者が座っているか横になっている状態で、やさしく触診する。触診で圧受容体を刺激すると、軽度の圧迫でも、重度の徐脈を引き起こしたり、敏感な人では心臓が止まってしまうことさえある。また、2本の頸動脈を同時に触診してはならない。そうすると頭部への血液の流れが制限され、失神や脳虚血につながる可能性がある。胸鎖乳突筋の前縁の間、舌骨の上、甲状軟骨の外側に拍動を触れる。
- 顔: 下顎にあり、口角と一直線上にある(顔面動脈)。
- 側頭: 耳のすぐ前のこめかみにある(浅側頭動脈)。
脈拍は頭の複数の場所で感じることができるが、通常、頭の中で心臓の鼓動が聞こえることはない。これは拍動性耳鳴と呼ばれ、血管異常の可能性がある[22]。
体幹
- 心尖部は通常、第5肋間に位置し、鎖骨中線より1.25cm外側にある。他の脈拍触知部位とは対照的に、心尖部は片側性である。
「心尖拍動」も参照
歴史
脈拍を測定した最初の人物は、エジプトのアレクサンドリアのヘロフィロス(紀元前335~280年頃)で、彼は脈拍を計るための水時計を設計した[23]。13世紀のペルシアの詩人ジャラール・ウッディーン・ルーミーは詩の中で「賢明な医師は患者の脈拍を測定し、彼の状態を認識した」と述べている。これは、この習慣がルーミーの時代や地理的に一般的であったことを示している[24]。脈拍数を正確に測定した最初の人物は、後にガリレオ・ガリレイによって研究された振り子の一種であるパルシロギウム(pulsilogium)を発明したサントーリオ・サントーリオ(イタリアの医師・生理学者、1561-1636)である[25]。その1世紀後、別の医師フランソワ・ボアシエ・ド・ソヴァージュ・ド・ラクロワがパルシロギウムを使って心機能を検査した。
脚注
注釈
出典
- ^ 武内重五郎 1997, p. 235.
- ^ 小項目事典,日本大百科全書(ニッポニカ),世界大百科事典内言及, 精選版 日本国語大辞典,デジタル大辞泉,改訂新版 世界大百科事典,百科事典マイペディア,ブリタニカ国際大百科事典. “疎密波(そみつは)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年1月14日閲覧。
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参考文献
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- 武内重五郎『内科診断学』(改訂第15版)南江堂、1997年5月1日。 ISBN 4-524-20237-4。
関連項目
外部リンク
- Measure Pulse Online - 画面上のボタンをタップすることで心拍数を知ることができる(英語)。
PULSE
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/18 15:10 UTC 版)
「SLAC国立加速器研究所」の記事における「PULSE」の解説
スタンフォードPULSE研究所(英語版) (PULSE)はSLACの中央研究所に位置するスタンフォード独立研究所である。PULSEはスタンフォードによって2005年に、スタンフォード施設とSLACの科学者のLCLSにおける超高速X線の研究開発を支援するために作られた。PULSEの研究出版物はここから見ることができる。
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