010_(アルバム)とは? わかりやすく解説

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010 (アルバム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/24 10:18 UTC 版)

『010』
THE MAD CAPSULE MARKETSスタジオ・アルバム
リリース
録音
  • 2001年1月 - 6月
  • ウエストサイドスタジオ
  • スタジオヤヤ
  • スタジオサンシャイン
  • ランドマークスタジオ
ジャンル
時間
レーベル ビクターSPEEDSTAR
プロデュース THE MAD CAPSULE MARKETS
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 5位(オリコン[2]
  • THE MAD CAPSULE MARKETS アルバム 年表
    • 010
    • (2001年)
    EANコード
    『010』収録のシングル
    1. CH(A)OS STEP
      リリース: 2001年5月23日
    2. GAGA LIFE.
      リリース: 2001年6月13日
    3. FLY HIGH
      リリース: 2002年1月23日
    テンプレートを表示

    010』(テン)は、日本ロックバンドであるTHE MAD CAPSULE MARKETSの9枚目のオリジナル・アルバム

    2001年7月11日ビクターエンタテインメントSPEEDSTAR RECORDSレーベルからリリースされた。前作『OSC-DIS』(1999年)よりおよそ2年振りとなるアルバムであり、カバー曲を除いて作詞はKYONOおよびTAKESHI UEDA、作曲はTAKESHI UEDAが担当、プロデュースはTHE MAD CAPSULE MARKETS名義となっている。

    本作は前作を踏襲する形で制作が開始され、メンバーが使用機材により精通したことで前作から導入されたループ英語版をさらに進化させた音楽性を目指して制作が進められた。演奏自体のレコーディングは3週間程度であったものの、細部の音に対する執着から制作期間が長引いた結果最終的に半年間を要して完成に至った。

    本作からは先行シングルとして「CH(A)OS STEP」および「GAGA LIFE.」がシングルカットされた他、後に「FLY HIGH」がお笑いグループである電撃ネットワークとの共演となった楽曲「サソリ」と共に「FLY HIGH/サソリ feat.電撃ネットワーク」としてリカットされた。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第5位となり、同バンドとしては最も高い売り上げ枚数を記録した。

    背景

    アルバム『OSC-DIS』(1999年)リリース後、同年11月にTHE MAD CAPSULE MARKETSのメンバーであるTAKESHI UEDAMOTOKATSUはコンピレーション・アルバム『YMO REMIXES TECHNOPOLIS 2000-01』に「東風」のリミックスで参加[3][4]、さらにTAKESHIは映画『ゴジラシリーズ』のリミックス音源集である『DESTOROY THE MONSTERS』に「Godzilla Walk」で参加する[5]。また翌2000年の3月にはTAKESHIが楽曲提供したPlayStation 2用ゲームソフト『リッジレーサーV』が発売されるなど、同時期は他者の企画作品への参加が相次いだ[5]

    バンドとしての活動は、1月21日に『OSC-DIS』からの3枚目のシングルとしてリカットされた「GOOD GIRL〜Dedicated to bride 20 years after」およびミュージック・ビデオ集『OSC-DIS VIDEO』、LP盤『OSC-DIS』を同時リリースし、さらに同日から全国コンサートツアー「OSC-DIS 2000 TOUR」がクラブチッタ川崎公演を皮切りに、6月25日の熊谷VOGUE公演まで全26都市32公演が実施された。その後、8月5日に富士急コニファーフォレスト、8月6日に大阪WTCオープンスタジアムにて実施された「SUMMER SONIC2000」[6][7]、8月30日に千葉マリンスタジアムにて実施された「AIR JAM 2000」[8]など、イベントライブにも積極的に参加している。

    また、同バンドの曲が企画物のコンピレーション・アルバムに収録される機会が増え、「CRASH POW (Digital Hardcore Mix)」がアルバム『DR.SPEEDLOVE PRESENTS VOL.2』に収録された他、「ALL THE TIME IN SUNNY BEACH」がアルバム『MEGALOMANIACS SHOW TIME!』に収録されている。しかし、2000年にはTHE MAD CAPSULE MARKETSとしての新作のシングルやアルバムのリリースはなかった。2001年に入り、THE MAD CAPSULE MARKETSはアメリカ合衆国を主体としたレーベル{仮リンク|パーム・ピクチャーズ|en|Palm Pictures}}と契約し、海外のリリース体制が整った形となる[9]。9月にはアメリカ、ヨーロッパで前作『OSC-DIS』がリリースされ、イギリスのロック専門誌『ケラング!』で最高得点である5点満点を獲得するなど高評価を得ることとなった[9]。同時期に関してTAKESHIは「すごく充実しているっていうか、自分らがやりたいことがやれて、それに対してちゃんと応えが返ってきてる時期」、MOTOKATSUは「実際やってみて、俺達本っ当に勝負できるなって実感できたよね。全然見劣りしてないし。うん、本当の意味で勝負できる時が来たなってことはすごい感じた」と語っている[9]。その後日本国内においてTHE MAD CAPSULE MARKETSは3ヶ月連続リリースとして、5月にその第一弾となる14枚目のシングル「CH(A)OS STEP」、6月には第二弾となる15枚目のシングル「GAGA LIFE.」に続き、7月リリースの本作が3ヶ月連続リリースの第三弾となった。ちなみに、本作のタイトル「010」は、メジャーデビュー10周年を記念して名づけられている。

    録音、音楽性と歌詞

    俺ら自身は日本で生まれ育って、日本の音楽の影響も受けてるけど。やっぱり、アメリカとか、ヨーロッパの音楽もすごい好きで、それでバンド始めて、日本にいて、いろんな音楽が組み合わさって、自分らのオリジナルにしてきたつもりなんで。(中略)たぶん、NYに住んでいたらこうはならないだろうし、それはLAでも、ロンドンでもそうだろうし。これは東京に住んでるからこそこうなっているっていうのがあると思うんで……。
    TAKESHI,
    Gb 2001年9月号[10]

    本作のレコーディングは2001年1月から6月に掛けて、世田谷にあるウエストサイドスタジオ、渋谷にあるスタジオサンシャイン、横浜にあるスタジオヤヤおよびランドマークスタジオにて行われた。本作において本格的にレコーディングスタジオを使用したのはドラムスのリズム録りなどを行った1週間程度であり、それ以外はプリプロダクションルームを借りて機材を持ち込んだ上でコーラス録りやギターおよびベースのライン録り、編集作業を行ったとTAKESHIは述べている[11]。本作の制作期間は半年程度であり、本作においてレコーディングスタジオを使用しなかった理由として、TAKESHIは時間を掛けて実験を行う試みがあったことから、予算上の都合で長期間レコーディングスタジオを借りることができなかったためであると述べている[11]。また半年間に亘ってレコーディングを継続していた訳ではなく、演奏自体は3週間程度でレコーディングが完了しており、録音後に録り終えたテイクのサウンドを詰める作業に時間を掛けたため、極端な例としては1テイクから100テイクのバリエーションが制作される状態であったとTAKESHIは述べている[11]

    KYONOは本作において自身の声に使用しているエフェクターを変更、それにより「生の声を生かした歪みが出る」と述べている[12]。TAKESHIは曲に合わせてKYONOのボーカル部分の歪みかたを変えており、「一曲の中でも、KYONOの歌い方を聞きながら、ツマミ変えてますね。たとえば、"あいうえお"ってあったら、"あ"と"う"と"お"で歪みが違いますね」と述べている[10]。TAKESHIによれば機材は前作『OSC-DIS』から特に変更されておらず、新しく導入したシンセサイザーはローランドのMC-307だけであると述べている[12]。そのため本作の特徴としては新しく機材を導入したことよりも、メンバーが機械に対する理解が深まったことが要素として大きいと述べている[12]。さらにTAKESHIは本作に関して細かいディテールまでこだわった上で制作しており、CDをプレスする工場まで選定したと述べている[12]。TAKESHIは前作においてマスタリング終了時とプレスされたCDとで音が異なることに不満を抱いており、本作からの先行シングルの2曲も2箇所のプレス工場で試したものを聴き比べして選定したと述べている[12]。TAKESHIは「できることならば、全部マスタリングルームでCD-R焼いて渡したいくらい」とも述べている[12]。本作におけるバンド演奏のレコーディングの期間は長期に及んでいないものの、所持しているサンプラーをすべて使用して聞き比べをするなど、音質に対する細部のこだわりからくる作業などによりレコーディング後の作業が長引き、6月末までの半年以上を要したとTAKESHIは述べている[13]。それにより本来はレコーディング後に休暇がある予定だったものの、全く休暇がないまま半年過ぎてしまったともTAKESHIは述べている[13]

    TAKESHIは本作に関して自身が表現したい音が確実に表現できた作品であり、過去作と比較しても最も納得度が高い作品であるとも述べている[14]。TAKESHIは本作のために大量の曲を作成し、その中から制作したい曲を選んだ結果、ポップな曲とダークな曲がバランスよく選定される結果になったと述べている[12]。また曲順はすべてレコーディング前に決定しており、曲によっては次の曲のイントロに合わせてアウトロのアレンジを考えているとTAKESHIは述べている[12]。KYONOは歌詞に関して「自分が普段、思っていることというよりは、その音に影響を受けて生まれてくる言葉」を使用していると述べ、また今回初の試みとしてTAKESHIと共作した歌詞はMTRからMDに録音したものを別の場所にいながらやり取りしていたとも述べている[13]。ドラムスに関して宮上は「今まで、なんか線の細い感じだったんで、もっと生っぽくというか、太い感じにしたくて。今までデジタルで録っていたんですけど、今回は一度アナログで録って、それをデジタルにしてというやり方で、生っぽくということを意識して作っていきましたね」と述べている[13]

    使用機材

    自分たちが出したい音が確実に表現できていて、納得度も今までになく一番高い作品と言えます。それこそ、やり残したことは微塵たりともないって言えるくらいです。僕らの半年間の研究成果を聴いてほしいですね。
    TAKESHI,
    サウンド&レコーディング・マガジン 2001年8月号[14]

    本作では前作から導入されたループ英語版をさらに進化させる方向性で制作が進められた[11]。外部のレコーディングスタジオを使用した場合に流れが把握できないまま作業が進んでしまう恐れがあったことから、本作では当初から「プライベートなHDレコーディング環境でやりたい」というTAKEHSHIの欲求があったためにDigidesignPro Toolsをメインに使用することとなった[11]。本作に参加しているプログラマの草間敬は、プリプロダクションルームにPro ToolsおよびEmagic英語版Logic Audioの専用機となるパーソナルコンピュータを持ち込み、テープレコーダーおよびミキシング・コンソールミュージックシーケンサーとでそれぞれ役割を変えて作業を行ったと述べている[11]。草間によればTAKESHIが制作したプリプロダクション段階の時点で楽曲の原型はほぼ完成しており、草間はそれに合うようなシーケンスパターンを複数制作してTAKESHIに提供し最終的に選定してもらう形であったと述べている[11]。また草間はドラムス録りの際のクリックを担当しており、DigidesignのSamplecellを使用したものが最も安定していたと述べている[15]

    サウンドを歪ませるために使用した機材はREAL D.S. KingであるとTAKESHIは述べ、本作でレコーディング・エンジニアを担当しているKONI-YANGはREAL D.S. Kingについて歪み専用のアウトボードであり、ループやボーカルなど様々な音に使用していると述べている[14]。ギターに関してはギターやベースを素の状態でPro Toolsにライン録りし、再生信号をギター・アンプから出力してマイクで録音する「リアンプ」という方法で録音したとTAKESHIは述べている[14]。KONI-YANGによれば通常は本番の演奏とサウンド・チェックの2工程を通過しないとOKテイクにならないところを、「リアンプ」の方法であればそれぞれが分離されるためアーティストがプレイに専念できる利点があると述べている[14]。またKONI-YANGによれば通常のアーティストでは実現不可能なことを、THE MAD CAPSULE MARKETSメンバーは実験好きな面があるために「リアンプ」が実現したと述べている[14]。草間はギターの弦選定の段階から強いこだわりがあったことなども含め試行錯誤の連続であったと述べ、KONI-YANGは本作に収録されたものは氷山の一角であり、没テイクは容量として100ギガバイト程度あったと述べている[14]

    本作で使用したシンセサイザーは、NovationのBassStationおよびコルグコルグ・MS-20英語版ローランドローランド・MC-307英語版であるとTAKESHIは述べている。草間はそれに加えてStudio Electronics英語版のMIDI-Mini、クラビアDMINord Modular英語版ローランド JP-8000の他に、ソフトウェア・シンセサイザーとしてNative Instruments Pro-52を使用していると述べている[14]サンプラーは出音が最も良好であったAKAI professionalのS1100をメインで使用、ドラム音源作成ソフトのStomperを使用してキック音を作成したとTAKESHIは述べている[14]。ノイズ音に関してはローランド・EF-303とターンテーブルを直接接続した上でスイッチをフォノ・イコライザー側にすることで、30デシベル程度の低域が強調されたブーストが掛かるためかなりの歪みが発生した音になると草間は述べている[14]。本作は全体的にノイジーなサウンドで構成されているが、パルス波のこぎり波などの波形を中和し位相干渉のコントロールを行うことで耳障りでなくなるポイントをPro Toolsで探す行為を行うことで、ノイジーでありながら耳馴染の良いサウンドを実現しているもののそのためにレコーディングに半年間を要したともKONI-YANGは述べている[14]

    楽曲

    1. INTRODUCTION 010
      本曲は本作リリース前となる前年に実施されたイベントライブ「AIR JAM 2000」の時点で演奏されており、同ライブ演奏時から細部の変更はあるものの構成そのものは変更されていないとTAKESHIは述べている[16]。総合格闘家三崎和雄の入場曲として使用されている[17]
    2. COME.
      冒頭の女性コーラスはフィルターを掛けて制作されており、MOTOKATSUによれば本作の最後の方で完成した楽曲であるという[16]。TAKESHIは本曲について「リズムが平坦だとつまんなくなっちゃうんで、すごく考えましたね。機械に対して、ヒューマンなグルーブを作っていくというような感じで作っていきましたね」と述べ、KYONOは「この曲はTAKESHIとの共同作業で詞を作っていきましたね。言葉の乗り方とかも、独特なものになってますね」と述べている[16]
    3. CH(A)OS STEP
      14枚目のシングル。かつてTHE MAD CAPSULE MARKETSにおいてギターを担当していた室姫深こと児島実がゲストで参加している。詳細は「CH(A)OS STEP」の項を参照。
    4. GAGA LIFE.
      15枚目のシングル。本曲も児島実がゲストで参加している。詳細は「GAGA LIFE.」の項を参照。
    5. JAM!
      本曲はTAKESHIによれば機械で制作したトラックとボーカルを土台にメンバーの演奏が絡んでいくという楽曲であり、「今までどっちかっていうと、俺らに機械が合わせていくっていうのがやり方だったんだけど、その逆の発想で作った曲ですね。ある意味これも実験的な曲」と述べている[16]
    6. 雲 -KUMO-
      前年のイベントライブ「SUMMER SONIC2000」においてすでに演奏されていた楽曲[16]
    7. WARDANCE
      イングランドのロックバンドであるキリング・ジョークの楽曲のカバー。TAKESHIによれば曲順が決定した後に「ここにちょっとポイントが欲しいね」という意見が出され、元々愛好していた楽曲であり試したいアレンジがあったことから収録された楽曲であるという[16]
    8. ××× CAN OF THIS.
      本曲についてTAKESHIは「このアルバムの中ではキャッチーな感じの曲」であると述べた他、歌詞には様々な意味が込められていると述べた上で「聞いていろいろ想像してください」とも述べ、KYONOは「ちょっとヒネリがあるんで、歌詞カード見て考えてください」と述べている[16]
    9. BIT CRUSHERRRR
      本曲にはサポート・ギターであるTORUxxxの声以外にトラックが挿入されておらず、ほぼ生演奏となっている[16]
    10. THIS IS THE MAD STYLE
      児島実がゲストで参加している。TAKESHIによれば本曲は当初「おもしろ半分」で制作していた楽曲であり、冒頭のギターフレーズはTHE MAD CAPSULE MARKETSの初期において十八番となっていたものであり、その後TORUxxxによるギターが追加されてさらに打ち込みのトラックが挿入され、最後にボーカルが入るという構成について「10年分の俺らが、あの短い中に詰まっている」と述べている[16]
    11. GOOD DAY
      『OSC-DIS』収録曲である「ISLAND」と同じイメージで制作された楽曲であり、TAKESHIは「のんびりとした感じの、ほかとは全然違うタイプの曲を入れてみたいなと思って」と述べている[16]。KYONOはボーカルのレコーディング時にTAKESHIから「カラオケで歌うみたいに歌って」と依頼されており、さらに「もし、あれだったら飲んじゃっていいから」とも言われたと述べている[16]
    12. FLY HIGH
      16枚目のシングル。詳細は「FLY HIGH/サソリ feat.電撃ネットワーク」の項を参照。
    13. NO FOOD,DRINK,OR SMOKING
      本曲のタイトルは制作中にTAKESHIが使用していたマウスパッドに書かれていた文言をそのまま使用している[16]。TAKESHIは本曲について「曲としてはテクノっぽいというか、エレクトロっぽいというか、それを俺らがやるとこうなるみたいな曲です」と述べている[16]ヴォコーダーが使用されており、「MAD版テクノポップ」のような楽曲になっている[16]
    14. R.D.M.C
      本曲のタイトルは歌詞中にある「Rappin' Driving My Car」という箇所の略であり、KYONOは普段はRun-D.M.C.と呼んでいると述べている[16]

    リリース、プロモーション、ツアー

    本作は2001年7月11日ビクターエンタテインメントSPEEDSTAR RECORDSレーベルからCDおよびLPレコードの2形態でリリースされた。CDの初回限定版はデジパック仕様でリリースされた。本作からは先行シングルとして同年5月23日に「CH(A)OS STEP」、6月13日に「GAGA LIFE.」がシングルカットされた他、2002年1月23日に「FLY HIGH」がお笑いグループである電撃ネットワークが参加した楽曲と同時に収録され「FLY HIGH/サソリ feat.電撃ネットワーク」としてリカットされた。本作の収録曲の中からミュージック・ビデオが制作されたのはシングルとなった「CH(A)OS STEP」「GAGA LIFE.」「FLY HIGH」の3曲のみとなっている。同映像は長らく商品化されていなかったが、ミュージック・ビデオ集『1997-2004 VIDEO』(2005年)において初収録となった。

    2003年にはパーム・ピクチャーズ英語版からアメリカ合衆国でリリースされ、3月3日にはイギリスにおいてDVD版のミュージック・ビデオ集『OSC-DIS VIDEO』(2001年)に収録されたミュージック・ビデオがすべて収録されたDVDが付属された状態で同レーベルからリリースされた。

    本作のリリース直前に「東名阪 CLUB QUATTRO TOUR」と銘打ったコンサートツアーを6月26日の大阪クラブクアトロ公演、6月28日の名古屋クラブクアトロ公演、6月30日の東京クラブクアトロ公演の全3公演実施しており、その後本作を受けた全国コンサートツアー「010 TOUR 01-02」が11月2日の渋谷AX公演を皮切りに、1月20日のZepp TOKYO公演まで24都市全30公演が実施された。またツアーファイナルとなった1月20日のZepp TOKYO公演が、バンド初となるライブ・アルバムの他にライブ・ビデオとして『020120』のタイトルでリリースされた。

    アートワーク

    本作のアートワークは前作に続き土井宏明が担当、デザインは和田亨が担当している。ジャケットに使用されているロボットは実在のものであり、製作期間は1ヶ月ほどであるとTAKESHIは述べている[13]。製作の経緯は先行シングルにキューブリック人形を付けたことから、メンバーが軽い気持ちで発言したところ実現してしまったとTAKESHIは述べている[13]。当初は同様のロボットを借用する予定であったが不可能になったため、新たに製作する意図を伝えたところ簡単に意見が通ってしまったという[13]

    この事に関してTAKESHIは「僕ら、音的な部分でも実験したりとか、レコーディングの形もそうなんだけど、まあ、おもしろい形というか、あんまり見たことないものとかをすごく求めるんで、周りの人も一緒になっておもしろいものを持ってきてくれるっていう」、「もちろん僕らだけの力では全然ないんだけど、そういうことができる仲間が集まってくれてるっていうのはすごく幸せですね」と述べている[13]

    批評、チャート成績

    専門評論家によるレビュー
    レビュー・スコア
    出典 評価
    CDジャーナル 肯定的[18]
    Gb 肯定的[12]
    BARKS 肯定的[19]

    本作の音楽性に関して批評家たちからは肯定的な意見が挙げられており、音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「全米進出も決定して今後ますます目が離せない彼らだけに、必聴の強力盤」と活動に関して肯定的に評価[18]、音楽誌『Gb』においてライターの城久二雄は「今まで持っていたMADの尖った部分がさらに鋭くなり、MADが持つテーマのひとつであろう"人間とマシーンとの融合"的な部分がさらに研ぎすまされた作品に仕上がっている」、「そこまでテクノロジーを駆使した音楽を作り出しても"人間味""バンドとしての音"といった部分が、マシーンを使いこなすことによって、さらに強固なものになってきている」と同バンドの特色である生演奏とミュージックシーケンサーとの同期の完成度に関して肯定的に評価[12]、音楽情報サイト『BARKS』においてライターのイトウトモコは「マッドなマッド節的、シーケンスサウンドと生バンドの音が今作も絶妙に融合され、さらに音圧も倍増された作品が収録されている」と生演奏とミュージックシーケンサーとの同期に関して肯定的な評価を下し、さらに「全体を通してTakeshiの曲作りのセンスが光っている」と作曲能力に関しても肯定的な評価を下している[19]

    本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第5位の登場週数6回となり[2]、同バンドのアルバムにおいて史上最高位を記録した。本作の売り上げ枚数はTHE MAD CAPSULE MARKETSのアルバム売上ランキングにおいて第1位となっている[20]

    収録曲

    CD

    • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[21]
    # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
    1. INTRODUCTION 010 TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    2. COME. KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    3. CH(A)OS STEP KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    4. GAGA LIFE. KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    5. JAM! KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    6. 雲 -KUMO- KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    7. WARDANCE KILLING JOKE KILLING JOKE THE MAD CAPSULE MARKETS
    8. ××× CAN OF THIS. KYONO、J.MILES TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    9. BIT CRUSHERRRR KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    10. THIS IS THE MAD STYLE   TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    11. GOOD DAY KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    12. FLY HIGH KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    13. NO FOOD,DRINK,OR SMOKING TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    14. R.D.M.C KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    合計時間:

    LPレコード

    A面
    # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
    1. INTRODUCTION 010 TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    2. COME. KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    3. CH(A)OS STEP KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    4. GAGA LIFE. KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    5. JAM! KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    6. 雲 -KUMO- KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    合計時間:
    B面
    # タイトル 作詞 作曲 編曲 時間
    7. WARDANCE KILLING JOKE KILLING JOKE THE MAD CAPSULE MARKETS
    8. ××× CAN OF THIS. KYONO、J.MILES TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    9. BIT CRUSHERRRR KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    10. THIS IS THE MAD STYLE   TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    11. GOOD DAY KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    12. FLY HIGH KYONO、TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    13. NO FOOD,DRINK,OR SMOKING TAKESHI UEDA TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    14. R.D.M.C KYONO TAKESHI UEDA THE MAD CAPSULE MARKETS
    合計時間:

    スタッフ・クレジット

    • CDブックレットに記載されたクレジットを参照[22]

    THE MAD CAPSULE MARKETS

    参加ミュージシャン

    • TORUxxxギター、バッキング・ボーカル
    • 児島実 – ギター
    • 草間敬 (KURID INT'L) – シンセサイザー、プログラミング

    スタッフ

    • THE MAD CAPSULE MARKETS – プロデューサー
    • KONI-YANG (KURID INT'L) – レコーディング・エンジニア、ミックス・エンジニア
    • 山崎和重 (FLAIR) – マスタリング・エンジニア
    • 米山充 – アシスタント・エンジニア
    • 佐藤宏章 – アシスタント・エンジニア
    • 八島順一 – インストゥルメント・テク
    • J.MILES – 英語翻訳
    • 横田直樹(スピードスター) – A&R
    • 岩堀繭希 – マネージメント
    • 阿藤祐治 (DESTROYDER) – マネージメント
    • 小野朗(スピードスター) – プロモーション・ヘッド
    • たけだまき – デスク
    • わこうのぞみ<CCC> (DESTROYDER) – デスク
    • 田中智子(スピードスター) – デスク
    • 田中義則 (DESTROYDER) – エグゼクティブ・プロデューサー
    • 豊島直己(スピードスター) – エグゼクティブ・プロデューサー
    • 後藤由多加(ユイ) – キング
    • 高垣健(スピードスター) – キング
    • 土井宏明 (POSITRON) – アート・ディレクション、デザイン
    • 和田亨 (POSITRON) – デザイン
    • 石田東 (ALOHA STATE) – 写真提供
    • 米塚尚史(ハウンテッド) – アニマトロニクスロボット
    • 須藤麻夕子(ビクターデザインセンター) – 編集協力
    • 富岡克文(ビクターデザインセンター) – ビジュアル・プランニング
    • クリス・ブラックウェル – サンクス
    • キム・ブイエ – サンクス
    • スコット・アイゴー – サンクス
    • カオル・メオム & Palm Picture – サンクス
    • わたなべゆき (YWA) – サンクス
    • 吉川浩司 (MIXER'S LAB) – サンクス
    • たかはしただお – サンクス
    • 村上正信 – サンクス
    • ジョージ・カックル – サンクス
    • 峰守一隆 – サンクス
    • 岡ナルエ(メディコムトイ) – サンクス
    • 長谷部晋也 (Rare-Craft) – サンクス
    • ニッキー・ケラー – サンクス
    • トニー・クロスビー – サンクス
    • ピーター・ライアン – サンクス
    • FENDER JAPAN.LTD – サンクス
    • LUDWIG - 野中貿易 – サンクス
    • PAISTE – サンクス
    • モリダイラ楽器 – サンクス
    • デジデザインジャパン – サンクス
    • MIDIA – サンクス
    • ESP – サンクス
    • アイバニーズ – サンクス
    • 星野楽器 – サンクス
    • ヤマハ渋谷 – サンクス
    • イシバシ楽器 – サンクス
    • デビロック – サンクス
    • インダストリアル・アンダーグラウンド – サンクス
    • KAHO – サンクス
    • montage – サンクス
    • ピースメーカー – サンクス
    • SHOCKER!!!! – サンクス
    • X-LARGE (AtoZ) – サンクス
    • OSAWA-SAN – サンクス
    • ENDOH-SAN (HDF) – サンクス
    • YANAGIDA-KUN (MIGHTY) – サンクス
    • ZIGE-SAN (UNITE) – サンクス
    • OMIYA-KUN (MOP DESIGN) – サンクス
    • なかやまかつや – サンクス
    • ASAYAMA – サンクス
    • KAZUMI – サンクス
    • CHINATSU – サンクス
    • TOMO – サンクス
    • YUMIKO & KAREN – サンクス

    チャート

    チャート 最高順位 登場週数 売上数 出典
    日本(オリコン 5位 6回 - [2]

    リリース日一覧

    No. 地域 リリース日 レーベル 規格 カタログ番号 備考 出典
    1 日本 2001年7月11日 ビクターSPEEDSTAR CD VICL-60754 初回限定盤のみデジパック仕様 [18][23]
    2 2002年1月23日 LP VIJL-60110 [24]
    3 イギリス 2003年3月3日 パーム・ピクチャーズ英語版 CD + DVD PALMCD 2111〜2 DVDには『OSC-DIS』のPVを収録 [25]
    4 アメリカ合衆国 2003年 Palm Pictures CD PALMCD 2099-2
    5 日本 2013年7月2日 ビクター/スピードスター AAC-LC - デジタル・ダウンロード [26]

    脚注

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    2. ^ a b c 010|THE MAD CAPSULE MARKETS”. オリコンニュース. オリコン. 2025年8月24日閲覧。
    3. ^ 『YMO-REMIXES TECHNOPOLIS』が2in1プライス・ダウン再発”. CDジャーナル. 音楽出版社 (2009年2月25日). 2025年8月23日閲覧。
    4. ^ 豪華ラインナップのYMOリミックス2作が2 in 1で再発”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2009年3月25日). 2025年8月23日閲覧。
    5. ^ a b TAKESHI's PROFILE”. AA= OFFICIAL WEB SITE. SWEEP-ZWEEP. 2025年8月23日閲覧。
    6. ^ SUMMER SONIC 2000 @ 富士急ハイランド コニファーフォレスト (山梨県) (2000.08.05~2000.08.06)”. Live Fans. SKIYAKI. 2025年8月23日閲覧。
    7. ^ SUMMER SONIC 2000 @ 南港WTCオープンエアスタジアム (大阪府) (2000.08.05~2000.08.06)”. Live Fans. SKIYAKI. 2025年8月23日閲覧。
    8. ^ AIR JAM 2000 @ 千葉マリンスタジアム (千葉県) (2000.08.30)”. Live Fans. SKIYAKI. 2025年8月23日閲覧。
    9. ^ a b c THE MAD CAPSULE MARKETS MAGAZINE!! 2005, p. 22- 「FROM 1990 TO 2005 PERFECT MAD WORLD!!! - 3MEMBERS SELF LINERNOTES」より
    10. ^ a b Gb 2001, p. 27- 「THE MAD CAPSULE MARKETS FROM THE FUTURISTIC WORLD OF THE MUSIC」
    11. ^ a b c d e f g サウンド&レコーディング・マガジン No.244 2001, p. 60- 「INTERVIEW THE MAD CAPSULE MARKETS」
    12. ^ a b c d e f g h i j Gb 2001, p. 23- 「THE MAD CAPSULE MARKETS FROM THE FUTURISTIC WORLD OF THE MUSIC」
    13. ^ a b c d e f g h Gb 2001, p. 24- 「THE MAD CAPSULE MARKETS FROM THE FUTURISTIC WORLD OF THE MUSIC」
    14. ^ a b c d e f g h i j k サウンド&レコーディング・マガジン No.244 2001, p. 61- 「INTERVIEW THE MAD CAPSULE MARKETS」
    15. ^ サウンド&レコーディング・マガジン No.244 2001, pp. 60–61- 「INTERVIEW THE MAD CAPSULE MARKETS」
    16. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Gb 2001, p. 28- 「THE MAD CAPSULE MARKETS FROM THE FUTURISTIC WORLD OF THE MUSIC」
    17. ^ 【連載】格闘家の入場曲【SAMURAI JOURNEY】Round4 総合格闘家 三崎和雄×THE MAD CAPSULE MARKETS『INTRODUCTION 010』”. FORZA STYLE. 講談社 (2016年4月4日). 2025年8月24日閲覧。
    18. ^ a b c ザ・マッド・カプセル・マーケッツ / 010”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2019年4月29日閲覧。
    19. ^ a b イトウトモコ (2001年7月13日). ““東洋の怪物”、アメリカ上陸! 新作『010』遂にリリース!”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク. 2019年4月29日閲覧。
    20. ^ THE MAD CAPSULE MARKETSのアルバム売上TOP11作品”. オリコンニュース. オリコン. 2025年8月24日閲覧。
    21. ^ 010 2001, pp. 2–11.
    22. ^ 010 2001, p. 12.
    23. ^ 010/The Mad Capsule Markets”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2025年8月23日閲覧。
    24. ^ 010<限定盤>/The Mad Capsule Markets”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2025年8月23日閲覧。
    25. ^ 010<限定盤>/The Mad Capsule Markets”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2025年8月23日閲覧。
    26. ^ 010/THE MAD CAPSULE MARKETS”. mora. ソニー・ミュージックソリューションズ. 2025年8月23日閲覧。

    参考文献

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