だいどうみゃくべん‐へいさふぜんしょう〔‐ヘイサフゼンシヤウ〕【大動脈弁閉鎖不全症】
大動脈弁閉鎖不全症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:25 UTC 版)
大動脈弁閉鎖不全症(だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう; AR)は、大動脈弁が締まり切らない病気。 誘因・原因 原因は先天性(後述)・リウマチ熱後遺症・感染性心内膜炎・加齢による変性など弁尖の異常と、大動脈弁輪拡張症(AAE)・大動脈解離など大動脈基部の異常に分けられる。 リウマチ熱はかつては最多の原因だったが、2017年現在では減少。 2017年現在では先天性な大動脈弁二尖弁、感染性心内膜炎などの弁尖自体の変化、大動脈基部の拡張、大動脈乖離などの大動脈基部の変化によるものが多い。 先天性は大動脈弁二尖弁が多いが、他に心室中隔欠損の欠損孔が大動脈入り口に近い室上陵上部(円錐部・漏斗部)欠損の場合、右心室側に血液が短絡する際の流れで大動脈弁がめくれて引き込まれ(大動脈弁右冠尖逸脱、RCCP)、閉鎖不全を起こす例もある。 病態・症状 拡張期に血液が大動脈から左心室に逆流してくるために、左室の容量負荷が増し拡張期圧の上昇が起こるが、心内膜炎や大道膜解離による急性発症を除き長期にわたって症状が出にくい。 初期症状は労作時息切れや動悸。主症状は易疲労性・起坐呼吸・発作性夜間呼吸困難など。大動脈弁狭窄症の場合と異なり突然死は少ないが、慢性の場合は症状が出てからは急速に悪化し、手術適応になる場合が多い。 分類 梅毒性 (ICD-10: A52.0) リウマチ性 (ICD-10: I06.1) (ICD-10: I35.1) 先天性 (ICD-10: Q23.1) に分けられる。 検査 身体基本検査 聴診III音 : 拡張早期に大動脈から勢いよく逆流して来た血液が心室壁を振動させる事で生じる。 オースチン・フリント雑音(Austin-Flint雑音) : 狭窄させられた僧帽弁を血液が通過する際に生じる雑音。 治療 自覚症状があるか、なくても心肥大が著明・左室拡張機能障害があれば手術適応で人工弁につけ変える。形成手術はごく限られた症例にのみ行う。 大動脈基部が原因の場合は大動脈を一度切除して人工血管に変える「自己弁温存大動脈基部置換術」が行われる。
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