日野氏・足利氏
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椿→日野富子(官職名あるいは通称「御台所」「御台様」):村嶋亜矢香→松たか子→三田佳子母の苗子が酒呑童子に犯されて身ごもった娘(本物の富子の異父姉)だったが、本物の富子が盲目となったため幼少時に入れ替えられて富子となり、富子だった異父妹が森侍者になった。勝光の策により義政の夢を毎晩のように見、恋い焦がれるようになる。そのことを危機に感じた今参局の差し金により一度は狂人と化してしまうが、勝元の機転から正気に戻るも敢えて狂人を装い、今参局を騙し続けた。その後、重子や勝光の策略による今参局の失脚により、御台所としての地位を安定させる。また寛正の大飢饉の折には、自ら町に出て施し粥を行うなどし、更にはある秘策を用い値が高騰した洛中の米の値段を下げさせることに成功した。だが義政がこの所業を目にし、富子を悪女だと皮肉った辺りから夫婦の仲が揺らぎ始め、やがて義政が次期将軍に弟である義視を指名し突如隠居を申し出たことから激しく動揺。しかも勝光や勝元らは義視側についたため、自身は重子の遺言に従い兼ねてより因縁浅からぬ宗全を味方につけようと画策する。そして翌年無事男児を出産。春王と名付けられた我が子を次期将軍に据えるため、秘められていた鬼の本性を覚醒させ、宗全と共に修羅の道を進む覚悟を決める。山名をはじめ三管四職家の多くや政所を味方につけ、畠山家家督を巡る争いに乗じて義視や勝元を失脚させようと企むが、この事が応仁の乱のきっかけとなり、京の町は戦火に包まれることとなった。勝元率いる東軍が挙兵し花の御所が包囲された後は監禁されていたが、離れて暮らしていた春王を我が手に取り戻すため、宗全に暗号めいた歌を送り叱咤した。一休の手により春王は無事手元に戻るが、義視による春王毒殺計画が明らかになり義政に密告。証拠の毒入りの花見餅と引き換えに、殺された飯尾の代わりに失脚していた貞親を呼び戻すことに成功する。また、義視は伊勢へと逃亡した。相国寺合戦の折には、貞親の嫡男である貞宗から宗全の許へ脱出する手引きをされるが、勝元に阻止される。その際勝元に溜まっていた不満を告げ一喝してみせた。合戦の後、戦が小康状態になり油断していたところに、義視が義政によって再び京に迎えられることになり、かつて椿の庄で兄弟同然に過ごした三郎から送られた鬼の面をつけ義視暗殺を決意。しかし放たれた刺客は富子の行く末を案じた宗全の手により妨害された挙句、宗全ら西軍の諸将が義視を西軍の総大将に迎えた事を知り仰天。一時は取り乱すが、結果やむなく義政は春王を次期将軍に擁立せざるを得なくなり、自らの長年の悲願が果たされることになった時、全てが宗全の企てた壮大な狂言であったことに気づき涙した。ちなみに自らが椿という名前だったことは勝元らの努力により一度は忘れ去られたが、今参局の薬の作用で次第に記憶が蘇っていく。その後御台所となり春王を産んだ際に勝光から全てを明かされた上で、生まれながらの日野家の人間ではない彼女がこれ以上余計な動きはしないようにとの警告を受けた。日野家伝来の扇「火の橋」の持ち主。 三春→足利義政(同「公方様」「御所様」):西谷卓統→市川新之助→市川團十郎富子の夫で、従叔父でもある。自らも関わった落馬事故で第7代将軍であった兄を失ったことから母重子に疎まれる。そのことが後々まで義政の心に深い闇を落とす。兄の跡を継ぎ第8代将軍となった後、久光が呪術をかけた琵琶を手にしたことからまだ見ぬ富子を想うようになり、やがて彼女を妻に迎えた。その頃はまだ積極的に取り組んでいた政務も、管領の勝元や政所執事の貞親に牛耳られるようになると、次第に顧みなくなる。むしろ能楽や庭造りにのめり込み、その様を見かねた富子が政に参画していくきっかけにもなった。ある種の末法思想の持ち主であるがゆえに現実主義の富子とは意見が食い違い、次第に夫婦仲が不和になっていく。ついには29歳にして弟義視を後継者に選び自らは隠居すると宣言。ところが翌年富子が春王(のちの足利義尚)を出産したことから俄かに情勢が変化。義視の手前、春王を仏門に入れたい義政と、何としても我が子を次期将軍に就けたい富子は次第に対立していき、ついに応仁の乱へと展開していくことになる。勝元の挙兵には激怒するが、一貫して義視の次期将軍継承の姿勢を崩さなかった。しかし義視は出奔。そのうえ都が焼かれ、戦乱がいつまでも収まらないことに自身の無力を悟る。後花園上皇や後土御門天皇を花の御所で預かることになった際には、連日無礼講の宴を催した。だが富子と後土御門が互いを想う歌のやり取りをしていたと知り機嫌を損ない、ますます夫婦の溝は深まる。それが何かにつけ宗全を頼りにし、春王擁立を申し立てる富子への怒りから、春王毒殺未遂の首謀者と露見していながらも義視を再び都へ呼び戻そうとする。晩年、病に冒され富子と和解。山城国一揆がある椿の荘を見るため富子と共に庶民の衣装(出家後は剃髪ではなく総髪にしていたので、変装時は髪を結いていた)で出奔するが、五条大橋まで来たところで力尽き富子の腕の中で息を引き取った。 日野勝光(同「日野権大納言」→「内府」):草刈正雄富子の兄で、義政の従甥。椿と病で盲目となった富子を入れ替えたり、富子と義政を結びつけるため陰陽師を使ったりと、手段を選ばずに謀を巡らす。さらには、自身が白拍子に産ませた松子を義視に嫁がせたり、富子の娘を義尚の妻にするなど画策する。本物の富子である森女の消息を勝元に気づかれ、殺すよう命じたりもした。他にも富子の正体を逆手に取り彼女を脅迫するなど、全ての元凶でありながら出世のためには血も涙も厭わぬが、それは同時に富子との対立も顕著にさせていくことに繋がった。富子や春王の存在を邪険に思う義視に鼠殺しの毒薬を渡し、春王毒殺を唆す。計画を知った勝元に詰問されるもシラを切り通すが、逆に勝元に弱みとして利用される。のちに義政に対して謀反を企み、それを知った富子に騙し討ちにされ毒殺された。 義尋→足利義視(同「左馬頭」「今出川殿」):佐野史郎義政の異母弟。欲なき人格で、浄土寺の住持だったが、義政から後継者に指名されて還俗。だが翌年の春王誕生により義政の変心を疑ったために、謀反をほのめかす宗全の罠にかかってしまうが、勝元の策略により不問に付された。やがて将軍の座に就けぬことより己を政争の道具に使われることが耐えられず、浄土寺に帰りたいとこぼす。戦を厭い、山名や畠山ら富子派に対し挙兵を決意した勝元を諌めるも止めることは叶わず、総大将に祭り上げられる。だが戦場において自分を無視し勝手に事を進めてしまう勝元に対し、不満を募らせていったことで次第に野心家に変貌。春王毒殺を決意するも、飯尾の決死の訴えにより計画は露見し、妻子を置いて伊勢へと出奔する。勝光の娘である松子を正室に迎える。 日野重子(同「大方様」「大方殿」):京マチ子義教の側室で義政の生母。富子の大叔母。日野家の女主人として勝光と共に謀略を巡らす。第3代将軍義満の代から続く日野家からの将軍家御台所輿入れに執念を燃やす。義政を自分よりも溺愛し思うがままに操ろうとする今参局を憎悪し、やがて失脚させる。だが今参局の怨念を危惧し、命だけは助けようとするが間に合わなかった。今参局の死から4年後、彼女の姿を見たり琵琶の音を聞いたり怪現象に見舞われるようになり急速に衰えていく。義政がそれらの現象を今参局の怨念が原因と看破した途端、彼女の怨霊に乗っとられ富子を鬼の子、義政を偽りの将軍と罵った。それから8日後に他界。 日野苗子:平淑恵富子の実の母。酒呑童子に襲われ、やがて椿を産むが鬼の子として泣く泣く川に流す。その後富子を出産するも病で失明したことから、ひそかに生き永らえていた椿との入れ替えを悩みながらも了承する。序盤にしか登場しない。 日野有光:夏八木勲日野一族の一人。南朝再興を図り、北朝より神璽を奪う。椿の庄に身を寄せるが、山名持豊に追い詰められ自害。 今参局(同「お今」):かたせ梨乃(二役)佐子の遠縁。乳母として義政から絶大な信頼を得て、その政策にも介入するほどになる。そのため御台所となる富子を恐れ、薬を用い富子を狂気に陥れるが、最終的に富子や日野家との政権抗争に敗れ自ら花の御所を去った。その後自邸において懐妊していた富子のために安産の祈祷を行うが、重子や勝光が後妻打ちに乗じて呪詛調伏の濡れ衣を彼女に着せたことで流罪に処せられた。道中、送り込まれた刺客の前で武人の娘としての矜持から自害して果てた。のちに怨霊と化して重子を苦しめた。 春王→足利義尚:高田遼太→井上孝幸→松岡昌宏富子と義政の長男で、第9代将軍。近江国で討死する。 大舘佐子→蛍火:鶴田真由本作では名を「さんこ」と読む。遠縁である今参局の手引きで義政の側室になり、娘を儲ける。今参局の事件で連座後、ごうの青楼で遊女に身を落とし勝光の寵愛を受けていたが道賢に連れ出され、しばらく三条橋の下で暮らしていた。やがて椿の庄で暮らす。最終回、椿の庄の隠れ家で道賢と正式に夫婦になるが畠山軍の襲撃に遭い、その後は生死不明。 日野重政:佐々木勝彦勝光、富子(森侍者)、松子の父。 日野松子:久我陽子義視の正室。勝光が白拍子に産ませた娘で富子の妹。富子とは仲良くしていたが、将軍継承を巡って次第に対立していく。 日野昌子:江口ともみ義尚の正室。勝光の娘。男子を懐妊するも死産。その後の近江出陣に際し、己の死期を悟った義尚から離縁・出家を言い渡される。 足利義教:小林勝也第6代将軍。重子の夫。義勝、義政の父。嘉吉の乱で赤松満祐らに殺害された。 足利義勝:久我未来第7代将軍。義政の同母兄で、富子の従伯父でもある。落馬で死亡した。 千寿丸→足利義材:根岸健太→大島一貴→大沢たかお義視の子(母は富子の妹の松子)で、第10代将軍。 清晃→足利義遐:羽江幹朗義政の異母兄・政知の子で、第11代将軍。義材の失脚後に擁立される。
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