回天特別攻撃隊菊水隊とは? わかりやすく解説

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回天特別攻撃隊菊水隊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 06:06 UTC 版)

回天」の記事における「回天特別攻撃隊菊水隊」の解説

先遣部隊第六艦隊)は潜水艦5隻(伊36伊38伊41伊44伊46)および回天による敵艦拠点奇襲攻撃玄作戦)を、11月上旬実施する予定計画進めていた。だが1944年昭和19年10月上旬より米軍機部隊行動活発化十・十空襲台湾沖航空戦)、日本軍捷号作戦発動する玄作戦準備中の第15潜水隊台湾沖航空戦残敵掃蕩誤認)に駆り出された。10月17日レイテ島の戦い生起にともない連合艦隊潜水艦フィリピン方面集中下令レイテ沖海戦)、玄作戦投入予定潜水艦フィリピン方面投入されたので、最初玄作戦変更余儀なくされた。そこで回天搭載のため改造整備中の潜水艦3隻(伊36伊37伊47をもって新たに玄作戦実施することになった周防灘最後総合訓練実施10月下旬、第15潜水隊の3隻(伊36伊37伊47)の準備完成し、回天特別攻撃隊菊水隊(指揮官揚田15潜水隊司令)が編成された。菊水隊攻撃計画は、機密先遣部隊命令第一号(玄作戦実施要領)及び機密玄作戦回天特別攻撃隊菊水隊命令作特第一号によって発令された。11月5日連合艦隊先遣部隊第六艦隊)に対し11月20日回天作戦実施命じたこのうちウルシー泊地攻撃隊は給油艦「ミシシネワ」 (USS Mississinewa, AO-59)を撃沈し初戦果をあげた。最初玄作戦における軍令部報告の中で回天について、「安全潜航深度増大が必要。熱走後一旦停止すると冷走になるので熱走が続くようにしたい」といった指摘があった。玄作戦詳細以下のとおり1944年昭和19年11月8日、「玄作戦」のために大津島基地出撃した菊水隊母艦潜水艦として伊36潜、伊37潜、伊47潜に各4基ずつ搭載)の12基が、回天特攻初陣である。西カロリン諸島への潜水艦彩雲航空偵察により、目標地点決定菊水隊回天搭載潜水艦3隻のうち、伊36潜と伊47潜の2艦はアメリカ軍機動部隊前進根拠地であった西カロリン諸島ウルシー泊地を、伊37潜はパラオコッソル水道停泊中の敵艦隊を目指した。 回天最初作戦であるウルシー泊地攻撃菊水隊作戦」(第1次玄作戦)は、1944年昭和19年11月19日から11月20日にかけて決行された。20日伊47潜から4基全て伊36潜からは4基中の1基(残3基は故障発進不能)の計5基の回天が、環礁内に停泊中の200余り艦艇目指し発進した。しかし、伊47潜の帰着直後報告により作成された「菊水隊戦闘詳報」によると、「3時28分から42分、伊47潜は回天4基発進発進地点はマガヤン島の15412海浬」とホドライ島の遥か南より発進させている。 伊36潜は、4時15発進予定地点マーシュ105度9分5浬に到着。3基は故障潜水艦から離れず今西艇だけが4時54分に発進したその後伊47伊36より発進した計5基の回天のうち1基が、5時30分に湾外のムガイ水道前面重巡洋艦3隻と駆逐艦3隻でサイパン島向かって航行していた艦隊発見し攻撃した。しかし、その艦隊の1隻である駆逐艦ケース英語版) (USS Case,DD-370 ) が回天潜望鏡ウェーキ発見ケース艦長R.S.ワイリ少佐真珠湾攻撃以来アメリカ海軍悩ませていた特殊潜航艇判断し、これを攻撃するために潜望鏡向けて進路向けた回天潜望鏡ケース確認するとそれをかわすように大きく変針し、ケースのすぐ傍を通過して重巡洋艦チェスター突進していった。ケース回天追って回頭であったので爆雷攻撃ができず、回天攻撃を受けることなくチェスター向かっていったが、ワイリは爆雷攻撃ではなく全速力での体当り命じて、5時38分、艦首回天司令塔体当りし、回天真っ二つ切断されて、弾頭そのまま海中没して海上破片浮上した。同じ頃にプグリュー島の南側で2基の回天珊瑚礁座礁して、後に機密保持のために自爆しているが、アメリカ軍記録によれば、うち1基は故障海上漂流中のところを哨戒機発見して撃破したとされている。 湾外で回天アメリカ軍艦隊戦闘起こった数分後の5時45分湾内タンカー停泊地停泊していたシマロン級給油艦のミシシネワに回天1基が命中した。ミシシネワには重油85,000バレルディーゼル油9,000バレル航空燃料405,000ガロン満載されていたのでオレンジ色の炎と煙が天に高々舞い上がり周辺海里離れたところからもこの火柱を見ることができた。30秒後に搭載していた航空燃料誘爆猛火となって最後武装38口径5インチ単装砲の砲弾庫も誘爆し、消火ままならないまま1時間15分後に転覆して、さらに1時間後に完全に海中没した燃えている海上には多数水兵投げ出されたが、水上機水上滑走して機体後部から曳航しロープ水兵を掴まらせて救助するなどの懸命救助活動が行われたが、63名が艦と運命を共にし、大量貴重な燃料油失われた。 ミシシネワに回天命中する少し前に軽巡洋艦モービル (USS Mobile, CL-63) が特殊潜航艇と覚しき目標発見し発砲した。そのため環礁内は大混乱に陥り、停泊していたあらゆる艦艇がまだ見ぬ目標向けて発砲をはじめ、100基以上の探照灯煌々と環礁内を照らした。ちょうどそのころに10,000m離れたタンカー泊地で大爆発起こり混乱は一層増長された。6時00分頃、残った1基の回天モービル向けて突入してきたが、潜望鏡によって2 - 4ノット速力直進してくる回天発見したモービルが、5インチ砲と40ミリ機銃射撃開始機銃弾が命中、5インチ砲弾至近弾を受けたため突入コース入りながら海底突入し、のちに護衛駆逐艦ラール英語版)(USS Rall, DE-304)、ハロラン(英語版)(USS Halloran, DE-305)、ウィーバー英語版)(USS Weaver, DE-741)の3隻が代わる代わる爆雷攻撃行ったラール爆雷攻撃をしたのちに2名の日本兵が海上浮上してきたのを確認したが、うち1名が元気に泳いでいたので、救出しようとしてハロランが接近したところ泳いでいた日本兵はまた海上没してしまったという。その後にハロランは容赦なく爆雷投下7時18分に多く破片大量の油が浮き上がってきたので完全撃破確認したその後、ハロランからボート下ろして回天破片回収したところ、日本語で何か書かれた木と金属でできた腰掛女学生差し入れた座布団回収したその日は浮上していたはずの日本兵遺体発見できず、3日後になってこの付近海面遺体発見し、これを日本兵遺体確認した伊37潜はパラオ・コッソル水道向かったが、11月19日パラオ本島北方発見された。これは米設網艦ウィンターベリー(英語版)(USS Winterberry, AN-56)が、8時58分に浮上事故起こした伊37潜(ポーポイズ運動行った)を発見し通報したのである。この報告受けて、米護衛駆逐艦コンクリン英語版)(USS Conklin, DE-439)、マッコイ・レイノルズ(英語版)(USS McCoy Reynolds, DE-440)が9時55分に現場付近到着し、両艦はソナー探索開始午後捜索続けたのち、15時4分にコンクリン探知しレイノルズ15時39分にヘッジホッグ13発を発射した効果なく失探、16時15分にコンクリン再度探知して攻撃したところ、「小さ爆発音命中音と思われる)らしきもの1」を探知。続くヘッジホッグ2回と艦尾からの爆雷攻撃1回には反応がなかった。レイノルズ再度爆雷攻撃行いコンクリンソナー探査し後続レイノルズ爆雷攻撃する接近したところ、17時1分に海面にまで達す連続した水中爆発認めた以後反応無く撃沈判定された。伊37潜の乗員隊員全員戦死認定された。なお、のちにコンクリン金剛隊搭載した伊48潜も撃沈している。 伊47潜の折田善次艦長乗組員たちは、ミシシネワから上がったオレンジ色巨大な炎と煙の柱確認していたが、そのあと2つ閃光走ったのを見てさらに2基が命中した考えて歓喜した。しかし、詳細な戦果確認する暇もなく、警戒強化したアメリカ軍駆逐艦艦影発見したため、急速潜行しての退避余儀なくされた。伊47潜と伊36潜はその後無事に内地帰投し、参謀潜水艦関係者200名以上の前折田伊36潜の寺本巌艦長戦況報告した結果、2艦から発進した5基の回天は全基命中した認定され空母3隻、戦艦2撃沈戦果挙げた公表された。特に折田が、攻撃前に日本軍偵察機撮影した環礁内の写真に2隻の空母写っていたが、攻撃後の偵察写真にその空母がいなくなっていたことを見て空母撃沈強く主張したことが、この過大戦果判定大きく影響した折田攻撃前の撮影写真確認できたのは正規空母ではなく護衛空母認識していたが、撃沈されたミシシネワは、その外見が同じT2型油槽船から設計されサンガモン級航空母艦酷似しており、見間違えた可能性指摘されている。 菊水隊編成 部隊潜水艦出撃作戦海域搭載回天状況菊水隊 伊36潜 1944.11.8 ウルシー北泊地 4基-1基 菊水隊 伊37潜 1944.11.8 パラオ・コッソル水道 4基-1基 11.19沈没 菊水隊 伊47潜 1944.11.8 ウルシー泊地 4基-4基

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