吉野川とは? わかりやすく解説

吉野川

より青きよしのがわ
吉野川は、高知県愛媛県県境にある瓶ヶ森にその源を発し四国中央部を東に流れ幾つも渓流合わせながら、高知徳島県付近流れを北に変え大歩危小歩危奇勝をつくり、銅山川祖谷川合流し徳島県池田町入ります。そして、再び東に向き変え徳島平野貫流し旧吉野川分流徳島市紀伊水道注ぎますまた、別名「四国三郎」とも呼ばれ関東利根川坂東太郎九州筑後川筑紫次郎とともに日本代表する大河川であり、暴れ川としても知られています。

吉野川の河口
吉野川の河口

河川概要
水系吉野川水系
河川名吉野川
幹川流路延長194km
流域面積3,750km2
流域内人約641,000
流域関係都県徳島県香川県高知県愛媛県

吉野川流域図
○拡大図
1.吉野川の歴史
"江戸時代財政的技術的に現在のような築堤困難だったとき、さまざまの洪水対策がとられていました浸水を防ぐ高石垣の家。水勢弱め田畑への土石侵入を防ぐ竹林。また信仰心から洪水浸水しないようにした「高地」など多く洪水対す民衆知恵が現在も残ってます。"

水防知恵信仰

徳島平野ゆるやかに流れ下る四国三郎吉野川。その壮大な流れ悠久歳月をかけて肥沃な大地育み時に暴れ川となって猛威をふるいました流域生きた先人達にとって、吉野川は、母なる川であると同時にあらゆるものを奪い去る恐ろしい洪水元凶でした。
 高 地 蔵
高 地
堤防がなかった頃、どれだけ多く人命財産が、荒れ狂う暴れ川濁流飲み込まれていったことでしょう年中行事のように毎年襲ってくる洪水前に人々なす術もなく嘆くばかりでした。
吉野川の中下流域の低平地は、特に洪水災害甚大だったところです。中下流域歩けばあちらこちらさまざまな表情お地蔵さん出会うことができます。高い台座鎮座するお地蔵さんは、俗に高地」と呼ばれて民衆親しまれきました他に類を見ない高さの台座には訳があります。『お地蔵さん浸かった流されたりしては申し訳ない』。民衆たちの信仰心が、台座高くしました

田 中 家
田 中 家
江戸時代当時商の全盛思わせる田中家では、洪水から家を守るように石垣築き洪水屋根までくると茅葺きつくられている母屋屋根浮き上がり船の代わりなるようにしています。更には軒下救助船役目をする船が吊られています。吉野川の洪水恐ろしさ知っていた当時知恵者は、ここまでして緊急事態備えた危機管理考えていたということでしょう

印 石
印 石
ときには洪水対す恐れ争い生むこともありました洪水から自分たちのを守るため他のより、少しでも堤防高く作ろうとしました。これは、他の堤防高くなる自分流れ込んでくるためです。このため今後争い起こらないようにと堤防作る高さを規制する印石(しるしいし)堤防埋め込まれました。

水 防 竹 林
水 防 竹 林
また、堤防構築財政的な理由などによりできなかった藩政時代徳島藩は沿川部堤防竹藪植え付け奨励しました。地下茎からんだ竹林による浸食から川岸堤防を守るとともに洪水水勢削ぎ、岩や小石耕作地侵入したり、家屋流失することを防ぐ役割果たしました。かつて水防竹林の竹材は物干し竿釣り竿などにも利用されました。また、竹尺和傘製造原料となり、明治から昭和にかけ竹材を利用した地場産業発達もたらしました
洪水から家を守るように石垣築いた家や、家屋流失防いだ水防竹林が人の暮らしを守るために生まれた暮らし知恵”ならば、高地台座は、地蔵を守るために生まれた民衆たちの“心の知恵なのです。そして、台座の高い地蔵が建つ場所ほど洪水被害大きく民衆願いもまた大きかったと言えます。そこには今も絶えことなく、赤いよだれかけ美しい花、たくさんの供物を見ることができます
2.地域の中の吉野川
"吉野川は、上流中流・下流それぞれ変化にとんだ姿を我々の前に現します。上流では川下りラフティング中流では竹林親水施設下流では河川敷でのイベント。また河川清掃美化するボランティア活動も盛んです。"

地域社会との共生

吉野川は、上流中流・下流それぞれ変化にとんだ姿を我々の前に現します。各地域さまざまな川とのつながりがあり、イベントなどが行われ、河川親しむことができます

アドプト団体による清掃
アドプト団体による清掃
吉野川流域に暮らす人たちが自分たちの手で吉野川を守ろうという、「アドプトプログラム吉野川」と名付けられボランティア活動あります。吉野川の堤防河川敷企業住民グループ養子縁組アドプト)をし各団体定期的に清掃美化する活動です。
120超える団体登録し、約90km区間清掃美化してます。

ひょうたん島クルーズ
ひょうたん島クルーズ
下流徳島平野支川新町川などが入り組み三角州形成してます。徳島市中心にある、川中島ひょうたん島呼ばれNPO法人新町川を守る会」が運営するひょうたん島クルーズで川の中から町並み眺めることができます

吉野川フェスティバル
吉野川フェスティバル
吉野川の河川敷グランドなどに使用され、そこで夏季には地元ボランティア運営する吉野川フェスティバル」が開催され国土交通省でもPRブース体験コーナーなどで参加してます。
秋に家族参加できる「ファミリーハゼ釣り大会」が開かれ多く市民参加してます。

水防竹林
水防竹林
吉野川に沿った竹林中流域代表的景観となってます。現在のような規模築堤困難だった江戸時代洪水被害を減らすため竹の植え付け奨励されました。地下茎からんだ竹林は、洪水時の水勢弱めるとともに流木土石田畑などに流れ込むのを防ぐ役割果たしました水辺の楽校山川バンブーパークは、竹林一部整備して広場作り遊具設置し、川に親し施設となってます。

カヌーは吉野川全域楽しめますが、上流高知県本山町一つ拠点となってます。国体予選もかねた「カヌー四国選手権大会」の会場ともなるコースでは、初心者から上級者まで楽しめます。また8月には手作りのいかだで川をくだる「いかだまつり」もおこなわれています。四国一の水質を誇る支流穴吹川でも手作り下り大会開催されています。

ラフティング
ラフティング
上流大歩危・小歩危峡はV字渓谷形成し急峻な渓谷美が全国的に有名です。ここではインストラクター指導のもと激流を下る「ラフティング」が体験できますまた、ゆったりと渓谷美を楽しみながら川下りしたいなら遊覧船による「大歩危下り」もあります

池田ダム静かな湖面では「遊覧船スワン号」の運行おこなわれ、約4キロコース周遊両岸広がる景色楽しめます。支流銅山川金砂湖では、夏になるとウィンドサーフィンジェットスキーを楽しむ若者訪れます金砂湖バス釣りポイントともなってます。
スワン号 金砂湖
スワン号金砂湖
3.吉野川の自然環境
"吉野川に生息する生物数多く水域生物ではオイカワアユ汽水域ではスズキトビハゼカニ類等が多く生息してます。一方陸域生物では、ヨシ群落オギ群落アカメヤナギ群落ツルヨシ群落など自然度の高い豊かな植生形成されています。また、河口部は「東アジア・オーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク」に参加してます。"


アユ
アユ
吉野川の流域面積は3,750km2であり、そのうち山地87%平地13%を占めてます。
吉野川に生息する生物数多く水域生物ではアユオイカワまた、カゲロウ類、トビケラ類、カワゲラ類など河川中・下流域みられる生物数多く生息してます。また、広大な汽水域存在しボラスズキトビハゼなどの汽水海産性の魚類や、カニ類を初めとする干潟生物多く生息してます。

ヨシ
ヨシ
一方陸域生物では、河口域広大なヨシ原第十堰から上流オギ群落アカメヤナギ群落ツルヨシ群落など自然度の高い豊かな植生形成されており、これらを生息場所採餌場所とする数多く動物生息してます。また、河口部1996年3月開催されラムサール条約特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約締約国会議スタートした
シオマネキ
シオマネキ
「東アジア・オーストラリア地域シギ・チドリ類に関する湿地ネットワーク」に参加しており、環境庁からは「日本の重要湿地500」に選定される等、四国最大シギ・チドリ類渡来地として重要な湿地となってます。
このような豊かな自然が残されている吉野川には、他の地域では少なくなった特定種も数多く生育生息してます。魚類ではイチモンジタナゴメダカ
コアジサシ
コアジサシ
底生動物ではシオマネキハクセンシオマネキ植物ではミゾコウジュカワヂシャ鳥類ではコアジサシミサゴ爬虫類ではスッポン昆虫ではルイスハンミョウなどその種類数多く、このことからも吉野川の自然度の高さが伺えます。
4.吉野川の主な災害


発生発生原因被災市町村被害状況
昭和36年9月第二室戸台風徳島市外6市町村浸水面積 農地 6,638ha
全壊流出 178
半壊床上浸水 15,462
床下浸水 9,702
昭和51年9月台風17号徳島市25市町村水面農地 8,093ha
全壊流出 109
半壊床上浸水 3,901
床下浸水 25,713

(注:この情報2008年2月現在のものです)




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