HyperText Markup Language
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 16:03 UTC 版)
言語仕様
HTMLはドキュメント構造(モデル)、各要素の役割/意味(セマンティクス)、表現する構文(シンタックス)を定義する。
構造
HTMLは要素(Element)の木構造を扱う。各要素は以下の3つから構成される。
- 要素名
- 属性(attribute): 0個以上。属性名と値のペア、値は文字列に限定[14]
- 子要素: 0個以上
要素が子要素をもつため、総体として要素の木構造でモデル化される。
構文
HTMLを表現するための構文としては、HTML構文(HTML Syntax)およびXML構文(XML Syntax)が存在する。XML構文で記述されたHTMLはかつてXHTMLと呼ばれていたが、現在の仕様ではそのような呼び分けは行わない[15]。また、現在の仕様ではHTML構文の使用が推奨されている[16]。
HTML文書は文書型宣言とHTML要素、そして(任意の)BOM、コメント、空白文字からなる[注釈 17]。
HTML構文の場合、要素は
<要素名 属性名=値>コンテンツ</要素名>
というテキスト形式で記述される。コンテンツを挟む
<要素名>...</要素名>
はタグと呼ばれ、前方部分は開始タグ、後方部分は終了タグと呼ばれる。コンテンツ部に子要素をもつことで総体としての木構造が表現される。
また、子要素をもたない単一の構文
<要素名 />
は単一/単独タグ[注釈 18]またHTML5では空要素[17]と呼ばれる(例:<br />
、<img src"something.jpg" />
)。これらはしばしば / が省略されることがある(例:<br>
、<hr>
)。
注意点として、要素はタグではない[18]。要素は構造上規定される存在であり、構文上の表現であるタグと併記されるものではない。また要素はタグ+コンテンツで表現されるため、タグは要素を表現するものの一部に過ぎない。
機能
HTMLは異なる意味をもつ様々な要素を定義する[19]。各要素では受け入れ可能な属性が定義され、要素の振る舞いを調整できるようになっている。ほとんどの要素では、要素名が機能を指し、属性が自身の特性を指し、子要素が収納される別コンテンツを指す。
例えば <title>
はタイトルを意味し、<a>
はハイパーテキストアンカーを意味する。<a href="https://example.com">
では href
属性によってリンク先が指定されている。
HTMLは要素のセマンティクスを定義しているに過ぎないので、それを具体的にどう表現・利用するかは利用側に委ねられている[20]。通常はウェブブラウザでの利用が想定されているが、音声対話エージェントが利用するケースもあり得る。
注釈
- ^ HTMLという名前は従来はHyperText Markup Languageの略称だったが、2023年4月現在最新の規格であるWHATWGのHTML Living Standardには「HyperText Markup Language」という名前の記載はなく、単にそのままHTMLと呼ばれている。
- ^ 廃止された従来の規格(HTML5.2まで)で使われていた呼称。現在でもISO/IEC 15445:2000で使用されている。
- ^ 例えば、太字指定の「<b></b>」等
- ^ 英: Strict
- ^ 英: Transitional
- ^ 英: Frameset
- ^ 英: corrected version
- ^ 訂正なので、改定版も名称はISO/IEC 15445:2000のまま
- ^ 5年毎にレビューと承認が行われており、手続き上は現在も有効なISO規格である。最も新しい日付は2023年のもの。ただし2004年以降、文書の改訂はない。
- ^ バージョン番号はないが「HTML 1.0」などとも呼ばれる
- ^ a b c ドラフトのみ
- ^ 現在はリダイレクト。Internet Archive参照。
- ^ Introducing HTML 3.2 には「HTML 3.2 was superseded by HTML 4.0 in December, 1997.」とあり、仕様書には「Superseded 15-March-2018」とある。前者はHTML 4.0を、後者はHTML5を後継仕様として案内している。
- ^ 修正版。現在はリダイレクト。Internet Archive参照。
- ^ revised(改訂版)
- ^ ワーキングループノートとして公開
- ^ XML構文の場合は任意の処理命令も記述可能
- ^ XML構文を用いる場合はこの限りではない
- ^ 英: revised
- ^ 英: corrected version
出典
- ^ IANAREG text/html
- ^ HTML Living Standard - Last Updated 2 May 2023 text/html
- ^ a b “HTML標準仕様の策定についてW3CとWHATWGが合意発表。今後はWHATWGのリビングスタンダードが唯一のHTML標準仕様に”. ITmedia (2019年6月10日). 2020年1月19日閲覧。
- ^ “HTML REVIEW DRAFT — PUBLISHED 29 JANUARY 2020 IS A W3C RECOMMENDATION”. W3C. 2021年5月21日閲覧。
- ^ ビレッジセンターHTML&SGML研究チーム『正しいHTML4.0リファレンス&作法』ビレッジセンター出版局、1998年3月20日。ISBN 4-89436-111-6。
- ^ JIS X 4156:2000(日本産業標準調査会、経済産業省)
- ^ JIS X 4156:2005(日本産業標準調査会、経済産業省)
- ^ RFC 2854
- ^ HTML 4.0 Specification(superseded)
- ^ HTML 4.01 Specification(superseded)
- ^ HTML5(superseded)
- ^ HTML 5.1 2nd Edition(superseded)
- ^ HTML 5.2(superseded)
- ^ "3.2.4.1 Attributes An attribute value is a string." WHATWG. (2023). HTML Living Standard - Last Updated 11 January 2023.
- ^ "The XML syntax for HTML was formerly referred to as "XHTML", but this specification does not use that term (among other reasons, because no such term is used for the HTML syntaxes of MathML and SVG)." WHATWG. (2023). HTML Living Standard - Last Updated 2 May 2023.
- ^ "HTML vs XML syntax ... There are various concrete syntaxes that can be used to transmit resources that use this abstract language, two of which are defined in this specification." WHATWG. (2023). HTML Living Standard - Last Updated 11 January 2023.
- ^ MDN Web Docs - Void elements、2024年3月12日閲覧。
- ^ W3C "HTML 4.01 Specification" 3.2.1 Elements、1999年12月24日
- ^ "Elements, attributes, and attribute values in HTML are defined ... to have certain meanings (semantics)." WHATWG. (2023). HTML Living Standard - Last Updated 11 January 2023.
- ^ "These definitions allow HTML processors ... to present and use documents and applications in a wide variety of contexts that the author might not have considered. ... HTML conveys meaning, rather than presentation" WHATWG. (2023). HTML Living Standard - Last Updated 11 January 2023.
- ^ “HTML Standard”. html.spec.whatwg.org. whatwg.org. 2021年5月30日閲覧。
- ^ Tim Berners-Lee. “Information Management: A Proposal”. CERN (March 1989, May 1990). 2012年11月28日閲覧。
- ^ 矢倉 (2009年7月21日). “HTML5の構文解析がもたらすもの”. Web標準Blog | ミツエーリンクス. 2020年1月19日閲覧。
- ^ Raggett, Dave (1998). Raggett on HTML 4. Addison-Wesley. pp. chap. 2: A history of HTML. ISBN 0-201-17805-2
- ^ WHATWG; Mondo (2017年7月14日). “HTML Standard 日本語訳 1.6 歴史”. 2017年7月15日閲覧。
- ^ W3C (2007年3月8日). “HTML 標準の更新に着手”. 2017年7月15日閲覧。
- ^ “HTML5仕様をめぐるW3CとWHATWGについて、Ian Hickson氏がメーリングリストに書いたこと”. Publickey (2012年7月24日). 2017年7月15日閲覧。
- ^ HTML5勧告–オープン・ウェブ・プラットフォームの重要なマイルストーンを達成
- ^ HTML 5.1 is a W3C Recommendation | W3C News
- ^ HTML 5.2 is done, HTML 5.3 is coming | W3C Blog
- ^ 渡邉卓 (2017年1月1日). “2017年のWeb標準:WEB+DESIGN STAGE新春特別企画”. gihyo.jp. 2020年1月19日閲覧。 “この事態を,WHATWG側のエディターであるIan Hickson氏は,「剽窃」(Plagiarism)という強い語を用いて非難しています。”
- ^ HTML Living Standard
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