非常勤
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/09 04:27 UTC 版)
補助的な作業が多く、アルバイト、有期雇用のような人もいれば、弁護士、会計士などの専門知識を持つ人も含まれることもある。常勤と比較するために使われるため、看護師、警備員など変形労働時間制が敷かれる場合には、非常勤とは呼ばれない。
労働者がフルタイムで労働可能であり、フルタイム雇用を望んでいるがパートタイム雇用しか得られない状況を不本意なパートタイム労働(Involuntary part-time)といい、不完全雇用のひとつである[3]。
産業による呼称
- 国や地方公共団体では、非常勤職員ということが多い。令和2年度からは非常勤同様の勤務形態として会計年度任用職員という区分が設けられた。
- 学校教育においては、正採用ではない教員のうち、教諭に準ずる業務を行う「常勤講師」に対して、時間が短いないしは、限定したコマ数のみを担当するものを「非常勤講師」として区別する。
- 日本の一般企業では、主婦(主夫)を本務とする者がその傍らに労働をする場合に「パートタイマー」の語を用いる例が多い。語義としては矛盾を含むが非常勤でありながらフルタイムの勤務をする「フルタイムパート」という働き方を導入している企業も少なくない。
国際労働機関条約
国際労働機関(ILO)175号条約においては、パートタイマーを労働時間がフルタイマーのそれよりも短い被用者と定義している。同条約はパートタイマーに対し、団結権、同一労働同一賃金、社会保障などを付与することを求めている。
- 第四条
- 次の事項に関し、パートタイム労働者が比較可能なフルタイム労働者に対し与える保護と同一の保護を受けることを確保する措置をとる。
- (a) 団結権、団体交渉権及び労働者代表として行動する権利
- (b) 職業上の安全及び健康
- (c) 雇用及び職業における差別
- 第五条
- パートタイム労働者が、パートタイムで働いているという理由のみによって、時間、生産量又は出来高に比例して計算される基本賃金であって、同一の方法により計算される比較可能なフルタイム労働者の基本賃金よりも低いものを受領することがないことを確保するため、国内法及び国内慣行に適合する措置をとる。
- 第六条
- 職業活動を基礎とする法定の社会保障制度は、パートタイム労働者が比較可能なフルタイム労働者と同等の条件を享受するよう調整される。この条件は、労働時間、拠出金若しくは勤労所得に比例して、又は国内法及び国内慣行に適合する他の方法により決定することができる。
欧州連合
欧州連合のパートタイム労働指令においては、第4項1において同一労働同一賃金の義務を定めている。
Clause.4.1. In respect of employment conditions, part-time workers shall not be treated in a less favourable manner than comparable full-time workers solely because they work part time unless different treatment is justified on objective grounds.
雇用条件に関しては、パートタイム労働者は、客観的な理由により異なる待遇が正当化されない限り、パートタイム労働者であるという理由のみで、同等のフルタイム労働者よりも不利な待遇を受けてはならない。
— Part-time Work Directive , 97/81/EC
オランダ
オランダはOECDで最もパートタイム比率が高く、労働者の3人に1人がパートタイム労働者である[1]。法的に同一労働同一賃金が義務づけられ、同一賃金のまま労働時間を延長、もしくは短縮する権利が保証された結果、フルタイムとパートタイムを自由に切り替えることができるようになった[4]。
- ^ a b c d OECD Employment Outlook 2021, OECD, (2021-07), doi:10.1787/5a700c4b-en
- ^ 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第2条
- ^ 脇坂 明「パートタイマーの類型化(I)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻第2号、1995年、31-60頁、NAID 120002709372。
- ^ 権丈 英子「オランダの労働市場 (特集 この国の労働市場)」『日本労働研究雑誌』第60巻第4号、労働政策研究・研修機構、2018年4月、48-60頁、NAID 40021529444。
- ^ 総務省労働力調査
- ^ 健康保険法第3条
- ^ 『短時間正社員制度 導入支援マニュアル』厚生労働省、2016年3月 。
- ^ 保保発第0630001号-短時間正社員に係る健康保険の適用について (地方厚生(支)局長あて厚生労働省保険局保険課長通知), 厚生労働省, (2009-06-30)
- ^ a b 脇坂 明「パートタイマーの類型化(III)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻第4号、1996年、135-156頁、NAID 110000129807。
- 非常勤のページへのリンク