非常勤 日本の状況

非常勤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/09 04:27 UTC 版)

日本の状況

日本における役員を除く雇用者(年齢別)[5]
青は正規雇用、橙はパートタイム、緑はアルバイト、赤は派遣労働者、緑は契約社員、茶は嘱託社員、ピンクはその他。

日本では1980年代以降、女性の雇用進出が進み、同時に雇用者に占めるパートタイマー比率が右上がりで増加している[1]。1991年には7人に一人、2009年には5人に一人、2020年には4人に1人がパートタイマーとなった[1]

被用者保険(社会保険)

労働者災害補償保険は、すべての労働者に適用される。

健康保険および厚生年金

常勤者が健康保険および厚生年金に加入できる場合、以下の条件を満たす場合は非常勤者も加入する義務が生じる。

  • 1週間の所定労働時間が、同一の事業所で働いている通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上であること。
  • 1ヶ月の所定労働日数が、同一の事業所で働いている通常の労働者の所定労働日数の4分の3以上であること。

なお複数の事業所でともに健康保険適用となる場合、保険料の計算に用いる標準報酬は、複数の事業所において合算して計算される[6]

例外条項もあるため、詳しくは以下を参照のこと。

雇用保険

1週間の所定労働時間が20時間未満である者は、雇用保険の対象外である(雇用保険法第6条)。

短時間正社員

短時間正社員とは、以下の条件を満たすパートタイマーのこと[7][8]

  1. 期間の定めのない労働契約である。
  2. 時給、および賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等。かつ、就労実態も当該諸規程に則したものとなっている。
  3. 以上2点をふまえた記載が、労働契約、就業規則給与規程等において、短時間正社員に係る規定がある。

この条件を満たすパートタイマーは、健康保険および厚生年金において被保険者の資格を得る。

フルタイムへの転換 

2015年平成27年)4月からは法改定により、フルタイムへの転換オプションを提供することが求められている。

(通常の労働者への転換) 第十三条  事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

一  通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。

二  通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。

三  一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。 —  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

同一労働同一賃金の推進

働き方改革関連法成立により、事業主は常勤雇用者と待遇の相違があるときは、その理由を労働者より求められた場合は説明する義務が課せられた。

第14条2 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。

3 事業主は、短時間・有期雇用労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該短時間・有期雇用労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない

—  短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

就業調整

就業調整とは、パートタイマーが年収の壁を超えないように労働時間を調整することであり、計画的に事前に勤務日数・勤務時間を選んでいることもあれば、計画性を各場合には年末に欠勤することで実現している場合もある[9]。1990年の労働力調査では、女性パートの3割で、100万円を超えると思われる場合は就業調整を行っていた[9]


  1. ^ a b c d OECD Employment Outlook 2021, OECD, (2021-07), doi:10.1787/5a700c4b-en 
  2. ^ 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第2条
  3. ^ 脇坂 明「パートタイマーの類型化(I)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻第2号、1995年、31-60頁、NAID 120002709372 
  4. ^ 権丈 英子「オランダの労働市場 (特集 この国の労働市場)」『日本労働研究雑誌』第60巻第4号、労働政策研究・研修機構、2018年4月、48-60頁、NAID 40021529444 
  5. ^ 総務省労働力調査
  6. ^ 健康保険法第3条
  7. ^ 短時間正社員制度 導入支援マニュアル』厚生労働省、2016年3月https://part-tanjikan.mhlw.go.jp/navi/outline/merit.html 
  8. ^ 保保発第0630001号-短時間正社員に係る健康保険の適用について (地方厚生(支)局長あて厚生労働省保険局保険課長通知), 厚生労働省, (2009-06-30), https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb5559&dataType=1&pageNo=1 
  9. ^ a b 脇坂 明「パートタイマーの類型化(III)」『岡山大学経済学会雑誌』第27巻第4号、1996年、135-156頁、NAID 110000129807 


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