ヘアスタイル ヘアスタイルの概要

ヘアスタイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/10 19:59 UTC 版)

ヘアカットの練習をする理容師東京)。
三つ編み
相撲の力士の(まげ)。
女子モヒカン刈り

長くする、同じ長さに揃える、固まりを作る、編むなどの様々な手を加えて作られるが、スキンヘッドのように毛髪を利用しないスタイルも髪形のバリエーションの一つとして認識されている。 ヘアスタイルを作るために髪を切り揃えることをヘアカット(散髪)と言うが、整髪する前の基礎作りとして髪を切る場合や、カットだけで髪型を作る場合がある[1]

宗教民族、所属する集団などによって髪型に社会的な役割と規制が設けられている場合がある。

古代のヘアスタイルの文化

古代エジプトでは紀元前4000~300年には、鋭く砥いだ燧石やかき殻などによるヘアカットが行われていたが、「善と悪の精は頭髪を伝わって出入りする」という迷信があったため、ヘアカットは悪の精を追い出す宗教的儀式の意味ももち、理容師の仕事も僧侶と薬学者が兼ねていた[2]

古代エジプトでは初期からウィッグを使用する文化があり、第18王朝第19王朝の貴族は装飾的なウィッグを着けていた[3]。古代エジプトでウィッグが使用された理由はよくわかっていないが、剃髪を神聖なものとみる宗教上の理由と、強い太陽光線や虫から頭部を保護する実用的な理由があったと考えられている[3]

古代エジプトではウィッグによるヘアスタイルが着用者の社会的地位や富を象徴するものとなり、その習慣は紀元前30年にローマの植民地となるまで続いた[3]。ウィッグを着けるため男性は髪を剃ったり頭皮に密着するよう髪をクリップするスタイルであった[3]。また、長子は編んだ髪を左右に垂らす習慣があった[3]

欧米のヘアスタイル文化

丸刈にされたアメリカ海軍兵学校生徒

ヨーロッパではルイ13世ウィッグを着用するようになってから、貴族階級の男性にウィッグが浸透していったが、カラーウィッグが着用者の社会像を誇示するのに役立ったことも背景にある[3]。ルイ王朝時代(1661年-1789年)はウィッグを中心とする調髪の全盛期となった[3]

一方、貴族階級の女性の間では髪を高く結い上げるフォンタンジュ髪型が流行した[3]ルイ14世の時代にはア・ラ・フォンタンジュと呼ばれる髪型も現れたが、ルイ15世による親政となった時期には頭部を小さく見せようとするモードが主流となり、プレーンにまとめた髪の上にリボンや造花、小さなレースのキャップやベレー風の被り物を付けるスタイルが見られた[3]。貴族階級の女性の髪型は一時的にシンプルなものになったが、1760年代になると調髪に芯を用いる大型の髪型が流行し、それからフランス革命まで「史上最大のヘアースタイルの時期」と呼ばれている[3]。この時期には小型のキャップ・ウィッグを着けてから自らの髪とさらにボリュームを出すための入れ髪を加えて結い上げる髪型や、馬のしっぽの毛でできた髪床を針金枠などで固定してから入れ毛を付けてボリュームを出しポマードで固める髪型など一層技巧的なものになった[3]

しかし、1780年代の終わりには貴族社会への批判から軽快な英国風モードが浸透し、人工的なウィッグは廃れて自毛をウィッグのように結い上げるようになった[3]


  1. ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ)『ヘアカット』 - コトバンク
  2. ^ 西洋における理容師のはじまり~ルーツはエジプト時代~”. 全国理容生活衛生同業組合連合会. 2021年7月12日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 村上憲司「服飾とウイグ:ウイグの服飾文化史的展望」『繊維製品消費科学』第12巻第12号、日本繊維製品消費科学会、1971年、480-485頁、doi:10.11419/senshoshi1960.12.480ISSN 0037-2072NAID 130004008129 
  4. ^ 自粛させられたおしゃれ ポーラ文化研究所 2017年9月22日閲覧
  5. ^ 富山市役所編 『富山市史』第2巻p1122 1980年 富山市役所


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