STS-100
名称:STS-100
オービター名称:エンデバー
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:2001年4月19日
着陸年月日:2001年5月1日
宇宙飛行士:ケント・ロミンガー/ジェフリー・アシュビー/クリス・ハドフィールド/ジョン・フィリップス/スコット・パラジンスキー/ウンベルト・グイドーニ/ユーリ・ロンチャコフ
飛行時間:285時間30分
STS-100のエンデバーは、国際宇宙ステーション(ISS)を組み立てるためのミッションとしては9回目の飛行です。このミッションでは、アメリカの実験棟ディスティニーに、カナダ製のロボットアーム「カナダアーム2」が取り付けられました。カナダアーム2は、全長17メートルで7つの関節を持つ作業用のアームでステーションの外での部材の取り付け作業などに威力を発揮します。このアームの面白いところは、腕の両端が同じ形になっており、シャクトリムシのように台座を交互につかんで移動することができる点です。
また、STS-100では多目的補給モジュール「ラファエロ」によってたくさんの資材が運びこまれました。多目的補給モジュールは、ステーションに資材を運ぶ長さ6.6メートル、直径4.5メートルの円筒形のコンテナでイタリア宇宙庁が開発したものです。全部で3台あり、「レオナルド」「ラファエロ」「ドナテロ」と名前がついています。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの?
スペースシャトル・エンデバーは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(エンデバー)と、それを打上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
3.宇宙飛行の目的は?
カナダ製の全長17mのロボットアーム「カナダアーム2」をステーションの実験棟「ディスティニー」に取り付けることです。このロボットアームによって、これまでシャトルのアームでは届かなかった場所でも作業ができるようになります。また、多目的補給モジュール「ラファエロ」によって、実験ラック2台など計10台のラックをステーション内に搬入するのが目的です。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
飛行3日目に国際宇宙ステーションとドッキングし、8日間の間に2回の船外活動(EVA)を行いました。4日目の第1回EVAではロボットアーム「カナダアーム2」とUHF通信アンテナが取り付けられ、5日目には多目的補給モジュール「ラファエロ」が国際宇宙ステーションとドッキング、実験ラックが搬入されています。ロボットアームの取り付けにより、ISSではシャトルがドッキングしていないときでもアームによる作業ができるようになりました。また、UHF通信アンテナはEVAに必要な装置で、ISSの滞在クルーが単独でもEVAを行える環境が整いつつあります。
STS-100
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/06 20:56 UTC 版)
STS-100 | |||||
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徽章
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ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | STS-100 | ||||
シャトル | エンデバー | ||||
発射台 | 39-A | ||||
打上げ日時 | 2001年4月19日, 18:40:42 UTC | ||||
着陸または着水日時 | 2001年5月1日, 16:11:56 UTC, EAFB | ||||
ミッション期間 | 11日21時間31分14秒 | ||||
高度 | 320 km | ||||
軌道傾斜角 | 51.6 度 | ||||
乗員写真 | |||||
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年表 | |||||
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STS-100は、国際宇宙ステーション (ISS) の組み立てと補給を目的としたアメリカ合衆国スペースシャトルエンデバーのミッションである。
搭乗員
- ケント・ロミンガー (5) - 船長
- ジェフリー・アシュビー (2) - 操縦手
- クリス・ハドフィールド (2) - ミッション・スペシャリスト - カナダ
- スコット・パラジンスキー (4) - ミッション・スペシャリスト
- ジョン・フィリップス (1) - ミッション・スペシャリスト
- ウンベルト・グイドーニ (2) - ミッション・スペシャリスト - イタリア
- ユーリ・ロンチャコフ (1) - ミッション・スペシャリスト - ロシア
ミッション・パラメータ
ISSとのドッキング
宇宙遊泳
ミッションの注目点

このミッションの最優先事項は、カナダアーム2の取り付け、始動、点検であった。国際宇宙ステーション (ISS) の組み立てを続けていくためにはカナダアーム2の運用が重要であり、後のシャトル STS-104 でエアロックを取り付けるのにも必要だった。カナダアーム2の最後の部品は、STS-111 で ISS に取り付けられたモービル・ベース・システム (MBS) である。
エンデバーのミッションで他の主な任務は、ラファエロ補給モジュールを ISS に結合させ、ISS との間で積荷を移し替え、シャトルの貨物室にラファエロを結合し直すことであった。ラファエロはイタリア宇宙機関が開発した3基の多目的補給モジュールの2基目である。3月のSTS-102では、レオナルドモジュールが打ち上げられて帰還している。
宇宙遊泳で外部に取り付けるUHF通信アンテナや予備の電子部品といった、ISS への機器の転送も任務の一部であった。補給品や水の ISS への積み込み、実験装置やラックの複合施設への積み込み、ISS から地球に持ち帰る物資の積み込みも行なわれた。
また、ISS の高度を上げる軌道制御(ブースト)や、複合施設の調査のために周囲を飛行して、貨物室IMAXカメラでの撮影も行なわれた。
任務はすべて事故もなく完了し、5月1日の再突入と着陸も無事に終わった。
このミッションでクリス・ハドフィールド飛行士は、カナダ人としては初の宇宙遊泳を行なった。
外部リンク
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