STS-66とは? わかりやすく解説

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STS-66

分類:スペースシャトル


名称:STS-66
オービター名称:アトランティス
打ち上げ国名機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1994年11月3日
着陸年月日:1994年11月14日
宇宙飛行士:ドナルド・マクモナグル/カーティス・L・ブラウンJr./E・オチョア/J・ターナー/J・クレルボイ/S・パラジンスキー
飛行時間:262時間35

STS-66のアトランティスは、荷物室にアトラス-3(第3次大気応用科学実験室)を搭載していましたアトラス-3にはSSBUV(シャトル太陽後方散乱紫外線観測装置)やCRISTA-SPAS(大気観測低温赤外線分光器望遠鏡)、ESCAPE-II(アトラス・ペイロード補足及び教育用太陽実験装置)などが積まれていて、それらを使い地球観測が行われました
この地球観測は、北極南極中心にした地域の、大気中のガス組成オゾン層状況調べるためのものでした。フロンガスなどによって破壊されつつあるオゾン層修復するにはどうしたらいいか、その対策を探るための調査です。アトラスによるオゾン層観測1992年1993年次いで3度目なりました

1.どんな形をして、どのような性能持っている
スペースシャトル・アトランティスは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(アトランティス)と、それを打上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料入れてある外部タンクからなっています。全体長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンク使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。


2.打ち上げ飛行順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンク液体燃料を使うオービター噴射打ち上げます。2分後に、燃料燃えつきたブースターロケットが切り離されパラシュート落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンク切り離されオービター軌道修正エンジン地球周回軌道乗りますオービター地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します

3.宇宙飛行目的は?
アトラス-3を使った地球観測です。


4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果おさめたの?
地球観測によるオゾン層破壊調査が行われました

参考文献:「Newton Collection II 宇宙開発竹内 均監修(教育社)、「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島監修/三品隆司・著(PHP研究所)、朝日新聞縮刷版 平成6年11月


STS-66

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 19:11 UTC 版)

STS-66
ATLAS-3 in アトランティスのペイロードベイでCRISTA-SPASを掴むカナダアーム
任務種別 研究
運用者 NASA
COSPAR ID 1994-073A
SATCAT № 23340
任務期間 10日22時間34分2秒
飛行距離 7,330,226 km
周回数 174
特性
宇宙機 アトランティス
ペイロード重量 10,544 kg
乗員
乗員数 6
乗員 ドナルド・マクモナグル
カーティス・ブラウン
エレン・オチョア
ジョセフ・タナー
ジャン=フランソワ・クレルボワ
スコット・パラジンスキー
任務開始
打ち上げ日 1994年11月3日 16:59:43.060(UTC)
打上げ場所 ケネディ宇宙センター第39発射施設B
任務終了
着陸日 1994年11月14日 15:33:45(UTC)
着陸地点 エドワーズ空軍基地第22滑走路
軌道特性
参照座標 地球周回軌道
体制 低軌道
近点高度 296 km
遠点高度 310 km
傾斜角 57.0°
軌道周期 90.6分

左から、クレルボワ、パラジンスキー、ブラウン、タナー、マクモナグル、オチョア
« STS-68
STS-63 »

STS-66は、アトランティスを用いて行われたスペースシャトル計画のミッションである。1994年11月3日午前11時59分43.060秒(EDT)にケネディ宇宙センター第39発射施設Bから打ち上げられた。1994年11月14日午前10時33分45秒(EST)にエドワーズ空軍基地に着陸した。

乗組員

ハイライト

アトランティスの打上げ
船尾のフライトデッキでカナダアームを操作するオチョア
アトランティスの着陸

STS-66の主要ペイロードは、Atmospheric Laboratory for Applications and Sciences - 3 (ATLAS-03)であった。これは、太陽のエネルギーについてとそれがいかにして地球の気候や環境に影響を与えているかを研究する一連のスペースラブの実験を継続するものである。ATLAS-03ミッションは、晩秋の北半球中緯度のスペースシャトルからの詳細な観測を初めて提供した。北極海オゾンホールが縮小するタイミングの飛行によって、大気中層へのオゾンホールの影響の可能性、北極海の大気が再生する方法、冬が近づく季節の北半球の大気の変化についての研究が可能となった。

ATLAS-03に加え、このミッションではCryogenic Infrared Spectrometer Telescope for Atmosphere (CRISTA)の展開、回収が行われた。この衛星は、大気の変動性を調査し、1991年12月に打ち上げられたUpper Atmosphere Research Satellite (UARS)で得られたデータを補完するものであった。CRISTA-SPASは、アメリカ合衆国ドイツの共同実験である。

カードベイ内のその他のペイロードには、Shuttle Solar Backscatter Ultraviolet (SSBUV-7)、Experiment on the Sun Complementing ATLAS (ESCAPE-II)があった。ミッドデッキ内のペイロードには、Physiological & Anatomical Rodent Experiment (PARE/NIR-R)、Protein Crystal Growth-Thermal Enclosure (PCG-TES)、Protein Crystal Growth- Single Locker (PCG-STES)、Space Tissue Loss/National Institute of Health (STL/NIH-C)、Space Acceleration Measurement System (SAMS)、Heat Pipe Performance-2 Experiment (HPP-2)があった。

STS-66は、太陽のエネルギー放出、地球の大気中層の化学組成、これらの要因が地球のオゾンレベルに与える影響についての包括的なデータ収集が進められた。ATLAS-3の7つの機器は、以前の2度のATLASミッションでも宇宙で観測を行った。このような宇宙からの広範な大気測定が可能な機器は他にはなかった。また、NASAとドイツ航空中センターの共同ミッションであるCryogenic Infrared Spectrometers and Telescopes for the Atmosphere-Shuttle Pallet Satellite (CRISTA-SPAS)も主要ペイロードだと考えられた。このミッションでは、乗組員は2つのチームに分かれ、1日24時間の研究が行われた。

カーゴベイのスペースラブのパレットに搭載されたATLAS-3の機器には、大気中の痕跡ガスについて、以前の3度の飛行の合計よりも多くのデータを収集することを目的としたAtmospheric Trace Molecule Spectroscopy (ATMOS)、古くなったNOAA-9衛星やATLAS-3のその他の機器のため、オゾンモニターの校正用のオゾンの測定値を得ることを目的としたShuttle Solar Backscatter Ultraviolet Spectrometer (SSBUV)、1991年に打ち上げられたUpper Atmosphere Research Satellite (UARS)を検定標準として用いて、30周回分の太陽の合計放射を非常に正確に測定することを目的としたActive Cavity Radiometer Irradiance Monitor (ACRIM)、ベルギーが提供し、太陽放射を測定するMeasurement of the Solar Constant (SOLCON)、フランスが提供し、波長の関数として太陽の放射を測定するSolar Spectrum Measurement (SOLSPEC)、15年の寿命で最高精度で太陽の紫外線放射を測定するSolar Ultraviolet Spectral Irradiance Monitor (SUSIM)がある。Millimeter Wave Atmospheric Sounder (MAS)は、コンピュータが故障し、運用が止まるまでの9時間の観測で、高度20-100kmの水蒸気、一酸化塩素オゾンの分布を測定した。

CRISTA-SPASは、ミッション2日目にシャトル・リモート・マニピュレータ・システムから放出された。シャトルの後方約40-70kmを飛行し、回収されてカーゴベイに戻されるまで、8日間以上のデータの収集を行った。CRISTAの機器は、大気中層の痕跡ガスの中規模から小規模の分布に関する情報を初めて集め、大気や地球のエネルギー収支のより優れたモデルの構築に役立てられた。CRISTA-SPASの2つめの機器であるMiddle Atmosphere High Resolution Spectrograph Investigation (MAHRSI)は、高度40-120kmの低中層でオゾンを破壊するヒドロキシルラジカル一酸化窒素の量を測定した。MAHRSIは、大気中のヒドロキシルラジカルについての最初の地球全体のマップを作成した。

CRISTA-SPASの回収に当たり、将来のスペースシャトルとミールのドッキングに向けて、難しい接近方法が試験され、成功した。R-Barアプローチと呼ばれる方法で、推進剤の消費量を減らし、オービタのスラスタからのミールのシステムへの混入のリスクを下げるものである。STS-66の後、アトランティスはミールや国際宇宙ステーションへの往来に用いられるようになり、アトランティス単独でのミッションは、その後、STS-125まで14年間行われなかった。

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