STS-78
名称:STS-78
オービター名称:コロンビア
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1996年6月20日
着陸年月日:1996年7月7日
宇宙飛行士:テレンス・T・ヘンリックス/ケビン・R・クレーゲル/スーザン・J・ヘルムズ/リチャード・M・リネハン/チャールス・E・ブレディ/ジーン・ジャックス・フェビア/ロバート・ブレント・シルスク
飛行時間:405時間48分
STS-78のコロンビアには、生命科学分野の実験や材料実験を行なうためのスペースラブ(LMS)が積みこまれていました。
宇宙飛行士たちは、一定の気圧に保たれたスペースラブ(宇宙実験室)のなかに入って、長期間の宇宙飛行で微小重力が人間の体にあたえる影響を調べたり、微小重力のもとで液体状の物質がどのようになるかを研究したり、金属の合金やタンパク質の結晶を作るなど、さまざまな実験を行ないました。シャトルのキャビン内にあるミッドデッキでも、実験は行われました。
これらの実験の成果は、今後の国際宇宙ステーションの建設や、さらには宇宙飛行士の宇宙ステーションでの長期滞在に向けて役立てられました。
約17日間の飛行を終え、STS-78コロンビアは無事に地球へ戻りました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・コロンビアは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(コロンビア)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基と、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打ち上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
3.宇宙飛行の目的は?
スペースラブ(宇宙実験室)を使って、さまざまな科学実験を行なうことです。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
宇宙の微小重力が人間の体にあたえる影響についての医学的な研究や、微小重力を利用して合金を作る実験などを行ないました。
※参考文献:「Newton Collection II 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-78
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 07:21 UTC 版)
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打ち上げられるコロンビア
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任務種別 | 生物実験、微小重力実験 |
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運用者 | NASA |
COSPAR ID | 1996-036A |
SATCAT № | 23931 |
任務期間 | 16日21時間48分30秒 |
飛行距離 | 11,000,000 km |
周回数 | 271 |
特性 | |
宇宙機 | コロンビア |
ペイロード重量 | 9,649 kg |
乗員 | |
乗員数 | 7 |
乗員 | テレンス・ヘンリックス ケビン・クレーゲル リチャード・リネハン スーザン・J・ヘルムズ チャールズ・ブレイディ ジャン=ジャック・ファビエ ロバート・サースク |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 1996年6月20日 14:49:00.0075(UTC) |
打上げ場所 | ケネディ宇宙センター第39発射施設B |
任務終了 | |
着陸日 | 1996年7月7日 12:37:30(UTC) |
着陸地点 | ケネディ宇宙センター第33滑走路 |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
近点高度 | 246 km |
遠点高度 | 261 km |
傾斜角 | 39.0° |
軌道周期 | 89.6分 |
![]() ![]() 前列:左から、ヘンリックス、クレーゲル 後列:左から、ファビエ、リネハン、ヘルムズ、ブレイディ、サースク |
STS-78は、スペースシャトル計画で5回目となるスペースラブでの生命と微小重力の実験のために行われたミッションである。国際宇宙ステーション(ISS)の準備も行われた。オービタはコロンビアが用いられ、1996年6月20日にケネディ宇宙センターからの打上げに成功した。
乗組員
- 船長 - テレンス・ヘンリックス (4)
- 操縦手 - ケビン・クレーゲル (2)
- ミッションスペシャリスト1 - リチャード・リネハン (1)
- ミッションスペシャリスト2 - スーザン・J・ヘルムズ (3)
- ミッションスペシャリスト3 - チャールズ・ブレイディ (1)
- ペイロードスペシャリスト1 - ジャン=ジャック・ファビエ,CNES (1)
- ペイロードスペシャリスト2 - ロバート・サースク,CSA(1)
バックアップ
目的
- ISSへの滞在の準備として、長期間の飛行がヒトの生理機能に与える影響の研究
- スペースラブを用いた22の生物及び微小重力実験
- 軌道上の衛星の高度を上げるための姿勢制御システムの利用の試験
ハイライト
16日間と21時間のミッションで、乗組員はISSへの長期滞在の準備のために、長期間の宇宙飛行による人体への影響について実験を行い、現在ISSで行われているのと似たような実験も行った。
打上げ後、コロンビアは高度278km、軌道傾斜角39°の軌道まで達し、7人の乗組員は地球と同じリズムで睡眠でき、機体上の微小重力実験に影響を与える振動や加速度を最小限に抑えることができた。
軌道に達すると、乗組員は13mの長さの加圧スペースラブモジュールに入り、40以上の科学実験を行った。彼らはモジュールの実験室を用いただけではなく、ミッドデッキのロッカーも実験に用いられた。13の実験は人体への微小重力の影響を研究するもので、他の6つはほぼ無重力の環境での液体や金属の振舞いを研究するものや金属合金、タンパク質結晶を生成するものであった。乗組員は、初となる微小重力での睡眠パターンの実験や宇宙における骨や筋肉の喪失に関する調査も行った。また、液体物理学を研究するためのBubble, Drop and Particle Unit (BDPU)のハードウェアに生じた問題の解消が行われた。
またこのミッションでは、後に2度目のハッブル宇宙望遠鏡ミッションで使われた、太陽電池アレイに損傷を与えずに望遠鏡の高度を上昇させる手順の試験も行われた。この試験の際、全てのペイロードに影響を与えないように、コロンビアの姿勢制御用のバーニアスラスタで少しずつシャトルの高度を上げた。この試験は成功し、後にSTS-82のディスカバリーや、シャトルが訪れた際のISSの軌道の変更にも何度も用いられた。
このミッションでは、飛行中の問題は特に発生しなかった。スペースシャトル計画のミッションとしては78回目で、コロンビアにとっては20回目の飛行となった。
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