STS-79とは? わかりやすく解説

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STS-79

分類:スペースシャトル


名称:STS-79
オービター名称:アトランティス
打ち上げ国名機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1996年9月16日
着陸年月日:1996年9月26日
宇宙飛行士:ウイリアム・F・レディ/テレンス・W・ウィルカット/トーマス・D・アーカース/ジョン・E・ブラハ/ジェイ・アプト/カール・E・ウォルツ
飛行時間:243時間19

STS-79のアトランティスでは、STS-71から始まって4回目となる、ロシア宇宙ステーション「ミール」ドッキングしての共同ミッションが、約5日間にわたって行われました
ミールではアメリカ人女性宇宙飛行士シャノン・W・ルシッド待っていました。彼女はSTS-76ミッションアトランティスミールドッキングしたとき、そのままミール残ってロシア人宇宙飛行士たちと共同作業続けていたのです。この時点アメリカ人女性宇宙飛行士としては最も長い宇宙滞在記録(3月から9月にかけての188日間)を作りました
アトランティスからミールへ、食料衣類科学実験用の補給品など、1,800kgをこえる荷物運びこまれ、またミールからアトランティスへは約900kgの実験サンプル移されました。ドッキング計画終了のあと、アトランティスルシッド宇宙飛行士連れて地球へ帰還し、彼女の交替要員としてジョン・E・ブラハ宇宙飛行士ミール残りました

1.どんな形をして、どのような性能持っている
スペースシャトル・アトランティスは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(アトランティス)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基と、液体燃料入れてある外部タンクからなっています。全体長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さ37メートル、高さ17m、重さ85tです。外部タンク使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。


2.打上げ飛行順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンク液体燃料を使うオービター噴射打ち上げます。2分後に、燃料燃えつきたブースターロケットが切り離されパラシュート落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンク切り離されオービター軌道修正エンジン地球周回軌道乗ります飛行3日目宇宙ステーション「ミール」ドッキングし飛行11日目オービター地球へ戻りグライダーのように滑空しながら着陸しました。


3.宇宙飛行目的は?
ロシアの宇宙ステーションミール」とドッキングして、宇宙での共同作業行なうことです。

4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果おさめたの?
STS-76ミッションのときからミール乗りこんでいシャノン・W・ルシッドが、アメリカ人女性宇宙飛行士としてこの時点では最も長い188日間宇宙滞在記録作りました

参考文献:「Newton Collection II 宇宙開発竹内 均監修(教育社)1992年発行SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行


STS-79

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/09 01:43 UTC 版)

STS-79
STS-79、アトランティスの打ち上げ
徽章
ミッションの情報
乗員数 左記
発射台 ケネディ LC-39A
打上げ日時 1996年9月16日08:54:49.048(UTC)
着陸地点 ケネディ SLF15
ミッション期間 10日間3時間19分28秒
乗員写真
年表
前回 次回
STS-78 STS-80

STS-79スペースシャトルの79回目のミッション。アトランティスの17回目の飛行で、シャトル・ミール計画の一部であり、ミールに設備、物資、交代要員を輸送した。アトランティスでは乗組員によってさまざまな科学実験が行われた。

完全に組み立てあがったミールとシャトルの初めてのドッキングであり、シャトルとミールの4回目のドッキングであった[1]

クルー

地位 打ち上げ機飛行士 着陸機飛行士
船長 ウィリアム・リディ英語版
3回目の宇宙飛行
パイロット テレンス・ウィルコット英語版
2回目の宇宙飛行
ミッションスペシャリスト 1 ジェローム・アプト英語版
4回目の宇宙飛行
ミッションスペシャリスト 2 トーマス・D・エーカーズ
4回目の宇宙飛行
ミッションスペシャリスト 3 カール・E・ウォルツ
3回目の宇宙飛行
ミッションスペシャリスト 4 ジョン・ブラハ
EO-22
5回目の宇宙飛行
シャノン・ルシッド
EO-22
5回目の宇宙飛行

ハイライト

打ち上げ前の移動式打ち上げプラットフォーム英語版に乗ったアトランティスの上方からの図
ドッキングを解除したアトランティスから見たミール

STS-79はプリローダの到着で宇宙ステーションミールが完成してから最初のドッキングであった。アトランティスは1821kgのアンドロジナスドッキング機構を搭載していた。この飛行はロシアのミールに滞在後、アメリカ人と交代した初のアメリカ人クルーのシャノン・ルシッドの地球への帰還とミールとの4度目のドッキングがハイライトとなっている[1]。彼女は3月22日にSTS-76でミールに到着し、その後の宇宙での滞在期間の188日間は当時のアメリカの新記録であり、女性宇宙飛行士の宇宙滞在記録でも世界一となった[2]。ミールに到着した後任はジョン・ブラハであり、彼は1997年1月にジェリー・リネンジャーと交代でSTS-81のクルーとして、地球に帰還した[3]

STS-79はシャトルとミールのドッキングを支援するスペースハブモジュールの2度目の飛行で、ダブルモジュール構成のスペースハブの初飛行であった[1]。ダブルモジュールの内、前方はシャトルの宇宙滞在中全期間でクルーによって実験が行われていた。ダブルモジュールの後方はミール向けの輸送装置で、食料、衣類、実験具、消耗品、予備機器などが含まれていた[1]。モジュールの重量は4774kgであった。

シャトルとミールの通信接続はRバー近接のあとの9月18日の15時13分に行われた。ハッチは9月19日5時40分に開けられ、ブラハとルシッドは11時に交代した。ミールでブラハを迎えたのはミール第22期長期滞在の司令であるワレリー・コルズンとフライトエンジニアのアレクサンドル・カレリであった[4]。5日間のドッキング中、ブラハとルシッドの二人は物資、食料、アトランティスの燃料電池から発生した水など1814kgを超える補給品をミールに運んだ。軟骨の開発研究のためのバイオテクノロジーシステム、高温超伝導材料の電気的特性を測定するMaterial in Devices as Superconductors、商用バイオプロセッシング装置など3つの大規模な実験や自己完結型水システムを含む幾つかの小実験も移動された[5]

おおよそ907kgの実験試料と装置がミールからアトランティスに運び込まれ、ステーションに出し入れした合計の重量は最も多く記載されているもので2722kgを超えている[5]。ルシッドは6ヶ月間の滞在中に、先進技術、地球科学、基礎生物学、人類生命科学、微小重力研究、宇宙科学などさまざまな分野の研究を行っていた。具体的にはミールでの電離放射線レベルを把握する環境放射線測定、特に小麦など植物への微小重力の影響を研究するためのグリーンハウス統合の植物実験、長期宇宙飛行が人間の免疫系やあたえる影響のデータや血液・唾液などの試料を集める体液性免疫機構の調査などの実験が含まれた。これらの研究のうち幾つかはルシッドのミール滞在中に到着したプリローダで行われていた[5]

宇宙で最大871度までの加工が可能な新設計炉のExtreme Temperature Translation Furnace (ETTF)、12の異なるたんぱく質を含む128の個別試料を補うCommercial Protein Crystal Growth (CPCG)、地球の表層土砂の地震や地滑りでの挙動に関連する非凝集性の粒状材料の挙動の更なる理解のために設計されたMechanics of Granular Materialsの三つの実験はアトランティスでも継続された。

他のシャトル・ミールでの飛行と同じく、国際宇宙ステーションの開発リスクを減らすのを助けるためのリスク緩和実験が行われており、ペイロードに対する振動やその他の衝撃を緩和するように設計された実験用棚Active Rack Isolation System(ARIS)が初めて利用された[5]。STS-97の終わり近くには、アトランティスの軌道を下げるための小型バーニアジェットの利用試験が行われた。なお類似のマニューバは第2回ハッブルサービスミッションのSTS-82の際の終わりにも、ハッブルをシャトルのペイロードベイに搭載した状態で、リブーストして軌道を上昇させるために利用されている

関連項目

  1. ^ a b c d STS-79 (79)”. National Aeronautics and Space Administration. 2011年12月20日閲覧。
  2. ^ Astronaut Bio: Shannon Lucid (10/2009)”. Johnson Spaceflight Center, National Aeronautics and Space Administration. 2011年12月20日閲覧。
  3. ^ STS-81 (81)”. National Aeronautics and Space Administration. 2011年12月20日閲覧。
  4. ^ NASA - STS-81”. National Aeronautics and Space Administration. 2011年12月20日閲覧。
  5. ^ a b c d NASA - STS-79”. National Aeronautics and Space Administration. 2011年12月20日閲覧。

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