STS-72
名称:STS-72
オービター名称:エンデバー
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1996年1月11日
着陸年月日:1996年1月20日
宇宙飛行士:ブライアン・ダフィー/ブレント・ジェット/リロイ・チャオ/ダニエル・バリー/ウィンストン・E・スコット/若田光一
飛行時間:214時間1分
STS-72のエンデバーには、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが乗っていました。搭乗運用技術者(ミッション・スペシャリスト=MS)と呼ばれる本格的な宇宙飛行士としては日本人初でした。
若田光一さんはロボットアーム(リモートコントロール・アーム)の操縦をまかされていました。H2ロケットで打ち上げられていた日本の無人宇宙実験室SFUを、ロボットアームでつかんでシャトルの荷物室に回収するのに成功しています。また、国際宇宙ステーション建設のための予行演習でリロイ・チャオとダニエル・バリーの2人の飛行士が船外活動を行ったときにも、若田さんはブレント・ジェット飛行士と一緒にロボットアームを操作して、船外活動の手助けをしました。
若田さんの活躍は、これからの日本の有人宇宙開発にとって大いに役立つものでした。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・エンデバーは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(エンデバー)と、それを打上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56メートル、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
3.宇宙飛行の目的は?
日本とアメリカの宇宙実験室の回収や放出、そして国際宇宙ステーション建設のための予行演習です。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
搭乗運用技術者(ミッション・スペシャリスト)と呼ばれる本格的な宇宙飛行士として若田光一さんが乗りこみ、ロボットアームの操作を行ないました。
※参考文献:「Newton Collection II 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)、「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)、朝日新聞縮刷版 平成8年1月
STS-72
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/29 02:51 UTC 版)
STS-72 | |||||
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徽章
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ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | STS-72 | ||||
シャトル | エンデバー | ||||
発射台 | 39-B | ||||
打上げ日時 | 1996年1月11日 04:41:00 EST | ||||
着陸または着水日時 | 1996年1月20日 02:41:41 EST KSC 15番滑走路 |
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ミッション期間 | 8日22時間01分47秒 | ||||
高度 | 250海里 (463km) | ||||
軌道傾斜角 | 28.45度 | ||||
航行距離 | 370万海里 (600万km) | ||||
乗員写真 | |||||
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年表 | |||||
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STS-72 は、1996年1月に行われたスペースシャトル・エンデバーによる飛行ミッションである。
乗員
- ブライアン・ダフィー (3), 船長
- ブレント・ジェット (1), 操縦手
- リロイ・チャオ (2), ミッション・スペシャリスト
- ダニエル・バリー (1), ミッション・スペシャリスト
- ウィンストン・E・スコット (1), ミッション・スペシャリスト
- 若田光一 (1), ミッション・スペシャリスト - 日本
ミッション・パラメータ
船外活動
ミッションのハイライト
STS-72 ミッションの主たる目的は、日本の微小重力実験衛星である宇宙実験・観測フリーフライヤ (SFU) を回収して地球に持ち帰ることであった。SFU は質量が 3,577kg (7,885ポンド)で、1995年3月18日 08:01 UT に宇宙開発事業団 (NASDA) により種子島宇宙センターからH-IIロケット3号機で打ち上げられた。
また、NASA の衛星である OAST-Flyer (Office of Aeronautics and Space Technology Flyer) を放出して約50時間後に回収した。OAST-Flyer は、SPARTAN 衛星を利用した再利用可能な7機目のフリーフライヤである。OAST-Flyer に搭載されていた実験機器は、Return Flux Experiment (REFLEX)、GPS Attitude Determination and Control Experiment (GADACS)、Solar Exposure to Laser Ordnance Device (SELODE)、メリーランド大学の Spartan Packet Radio Experiment (SPRE) の4つである。
その他 STS-72 に搭載された実験機器は、Shuttle Solar Backscatter Ultraviolet Experiment (SSBUV-8) (これ以前のSTS-34、STS-41、STS-43、STS-45、STS-56、STS-62、STS-66にも搭載)、EDFT-03、Shuttle Laser Altimeter Payload (SLA-01/GAS(5))、VDA-2、国立衛生研究所 NIH-R3 Experiment、Space Tissue Loss Experiment (STL/NIH-C)、Pool Boiling Experiment (PBE) (これ以前のSTS-47、STS-57、STS-60にも搭載)、Thermal Energy Storage (TES-2) (これ以前のSTS-69にも搭載)などである。

ゲッタウェイ・スペシャル (GAS) ペイロードには、米国空軍士官学校の G-342 Flexible Beam Experiment (FLEXBEAM-2)、日本航空宇宙工業会の G-459 - Protein Crystal Growth Experiment、ジェット推進研究所の GAS Ballast Can とサンプルリターン実験があった。
エンデバーでの10回目の飛行となるこのミッションでは、3人の宇宙飛行士が6時間半の船外活動 (EVA) を2回行い、1997年の後半に始まる国際宇宙ステーションの組み立てで使うことになる機器や工具をテストした。飛行5日目の EVA-1 ではリロイ・チャオ (EV1) とダニエル・バリー (EV2) が、飛行7日目の EVA-2 ではリロイ・チャオ (EV1) とウィンストン・スコット (EV2) が船外活動を行った。
関連項目
外部リンク
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