STS-90
名称:STS-90
オービター名称:コロンビア
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1998年4月17日
着陸年月日:1998年5月3日
宇宙飛行士:リチャード・A・シーアフォス/スコット・D・アルトマン/リチャード・M・リンネハン/デフィッド・リス・ウィリアムズ/キャサリン・P・ヒレ/ジェイ・C・バッキー/ジェームス・A・パウエルクズック
飛行時間:399時間8分
STS-90のコロンビアでは、スペースラブ(宇宙実験室)において、宇宙の微小重力が生物の神経組織にあたえる影響について調べるための、さまざまな科学実験が行なわれました。
このミッションは、日本、カナダ、フランス、ドイツなど9カ国の研究チームや企業などによる共同事業でした。
コロンビア号の宇宙飛行士たちは予定された実験を順調にこなし、約17日間の飛行を終えて、無事に地球へ帰還しました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・コロンビアは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(コロンビア)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37m、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打ち上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
STS-90の着陸
3.宇宙飛行の目的は?
スペースラブ(宇宙実験室)での科学実験です。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
宇宙の微小重力が生物の神経組織にどんな影響をあたえるかを、実験によって調べました。
※参考文献:「Newton CollectionII 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-90
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/25 02:46 UTC 版)
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コロンビアのペイロードベイから見たスペースラブ
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任務種別 | 生命科学研究 |
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運用者 | アメリカ航空宇宙局 |
COSPAR ID | 1998-022A |
SATCAT № | 25297 |
任務期間 | 15日21時間50分58秒 |
飛行距離 | 10,000,000 km |
特性 | |
宇宙機 | スペースシャトル・コロンビア |
着陸時重量 | 105,462 kg |
ペイロード重量 | 10,788 kg |
乗員 | |
乗員数 | 7 |
乗員 | リチャード・シーアフォス スコット・アルトマン ダフィッド・ウィリアムズ キャサリン・P・ハイヤー リチャード・リネハン ジェイ・バッキー ジェームズ・パウェルチェイク |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 1998年4月17日 18:19(UTC) |
打上げ場所 | ケネディ宇宙センター第39発射施設B |
任務終了 | |
着陸日 | 1998年5月3日 16:09(UTC) |
着陸地点 | NASAシャトル着陸施設33番滑走路 |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
近点高度 | 247 km |
遠点高度 | 274 km |
傾斜角 | 39.0° |
軌道周期 | 89.7分 |
![]() ![]() 左から - 前列:アルトマン、シーアフォス、後列:パウェルチェイク、ハイヤー、ウィリアムズ、バッキー |
STS-90は、スペースシャトル・コロンビアによって行われた、1998年のスペースシャトル計画のミッションである。16日間のミッションで、1983年のSTS-9により初飛行した欧州宇宙機関のスペースラブの最後の飛行となった。また、コロンビアが昼間に着陸した最後のミッションとなった。
乗組員
- 船長 - リチャード・シーアフォス(3度目)
- 操縦手 - スコット・アルトマン(初)
- ミッションスペシャリスト1 - ダフィッド・ウィリアムズ(CSA、初)
- ミッションスペシャリスト2 - キャサリン・P・ハイヤー(初)
- ミッションスペシャリスト3 - リチャード・リネハン(2度目)
- ペイロードスペシャリスト1 - ジェイ・バッキー(唯一)
- ペイロードスペシャリスト2 - ジェームズ・パウェルチェイク(唯一)
バックアップ
ミッションハイライト
Neurolabは、微小重力が神経系に及ぼす影響に焦点を当てたスペースラブのミッションである。Neurolabの目標は、宇宙での神経や行動の変化のメカニズムに関する理解を深めることである。特に、前庭系の適応や宇宙酔い、中枢神経系の適応、無重力下で位置を知覚する能力を制御する経路、発達中の神経系に対する微小重力の影響等に関する実験が行われた。アメリカ航空宇宙局の科学者マリー・アン・フレイが率いた。
このミッションは、6つの宇宙機関と7つのアメリカ合衆国内の研究機関の共同事業として行われ、9か国から参加した研究者のチームが31の微小重力実験を行った。ミッションに参加した他の機関には、アメリカ国立衛生研究所の6つの研究所、アメリカ国立科学財団、アメリカ海軍研究局のほか、カナダ、フランス、ドイツ、日本の宇宙機関、また欧州宇宙機関が参加した。
Neurolabの26の実験は、人体で最も複雑で最も理解が進んでいない部分である神経系をターゲットとしたものである。主な目的は、神経系が宇宙でどのように発達し、機能するかの理解を促進することで、ラット、マウス、コオロギ、ナメクジ、2種類の魚、そして乗組員自身を被検体として試験が行われた。カナダ宇宙庁、フランス国立宇宙研究センター、ドイツ航空宇宙センター、日本の宇宙開発事業団がNASAに協力した。大部分の実験は、ペイロードベイ内のスペースラブで行われた。これは、スペースラブの16回目で最後の宇宙飛行となったが、パレットは国際宇宙ステーションでも使われ続けた。
生まれたばかりのラットの予想外に高い死亡率のため、実験の優先順位変更せざるを得なかったMammalian Development Teamを除き、研究は予定通りに行われた。
他のペイロードには、Shuttle Vibration Forces experiment、 Bioreactor Demonstration System-04、そして3つのGet-Away Special (GAS) canister investigationがあった。
STS-90は、上昇中にスペースシャトル軌道制御システムが用いられた初めてのミッションとなった。
7人の乗組員のうち3人(ウィリアムズ、パウェルチェイク、バッキー)は、カナダのテレビ番組Popular Mechanics for Kidsに出演した。飛行中の1週間に、軌道上の乗組員は地上のエンジニアと協力して、ミッション短縮の脅威となっていた再生式二酸化炭素除去システムのバルブをアルミニウムテープを使ってバイパスした。
ミッションマネージメントチームは、1日間のミッション延長を検討したが、科学界が延長は必要ないと示したこと、また着陸を予定していた5月3日以降は気象条件の悪化が予測されたことから、そうしないことを決定した。
ミッションスペシャリストのキャサリン・P・ハイヤーは、ケネディ宇宙センターの職員として、初めて宇宙飛行士候補に選ばれた
また、STS-90は、固体ロケットブースターにコウモリが張り付いたまま飛行した、知られている限り初めてのスペースシャトルのミッションとなった[1]。STS-119でも、似た運命をたどるコウモリが現れた。
出典
- ^ Steven Siceloff. “Bat Hung onto Shuttle During Liftoff”. NASA. 2009年3月19日閲覧。
外部リンク
- NASA mission summary - ウェイバックマシン(2001年2月2日アーカイブ分)
- STS-90 Video Highlights - ウェイバックマシン(2007年10月13日アーカイブ分)
- STS-90のページへのリンク