STS-85
名称:STS-85
オービター名称:ディスカバリー
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1997年8月7日
着陸年月日:1997年8月19日
宇宙飛行士:カーティス・L・ブラウン/ケント・V・ロミンガー/N・ジャン・デイビス/ロバート・L・カービアム/スチーブン・K・ロビンソン/ブジャーニ・トリグバソン
飛行時間:284時間28分
STS-85のディスカバリーは、1994年打上げのSTS-66ミッションに続いて2回目となる、観測衛星CRISTA-SPASの放出と回収を行ないました。CRISTA-SPASは、地球の中間大気層を研究するための観測衛星で、3つの望遠鏡と4つの分光計が備えられていました。
STS-85のディスカバリーでは、また、新設計のロボットアームのテストが行なわれています。国際宇宙ステーションの日本の実験モジュールに取りつける予定のロボットアームのため、日本の宇宙開発事業団(現 宇宙航空研究開発機構(JAXA))がスポンサーとなって行なわれたテストでした。
そのほかにも、さまざまな科学実験を行ない、約13日間の飛行を終えてディスカバリーは地球に帰還しました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・ディスカバリーは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(ディスカバリー)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37メートル、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打ち上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
STS-85の着陸
3.宇宙飛行の目的は?
観測衛星CRISTA-SPASの放出と回収や新しく設計されたロボットアームのテストです。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
観測衛星CRISTA-SPASによって地球の中間大気層の調査を行ないました。また、国際宇宙ステーションで日本の実験モジュールに取り付けられる予定のロボットアームのテストも行ないました。
※参考文献:「Newton CollectionII 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-85
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/02 18:54 UTC 版)
この記事には参考文献や外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注によって参照されておらず、情報源が不明瞭です。
|
![]()
ケネディ宇宙センターから打ち上げられるディスカバリー
|
|
任務種別 | 研究 |
---|---|
運用者 | NASA |
COSPAR ID | 1997-039A |
SATCAT № | 24889 |
任務期間 | 11日20時間28分7秒 |
飛行距離 | 7,600,000 km |
周回数 | 185 |
特性 | |
宇宙機 | ディスカバリー |
ペイロード重量 | 9,191 kg |
乗員 | |
乗員数 | 6 |
乗員 | カーティス・ブラウン ケント・ロミンガー ジャン・デイビス スティーブン・ロビンソン ロバート・カービーム ビオニ・トリグベイソン |
任務開始 | |
打ち上げ日 | 1997年8月7日 14:41(UTC) |
打上げ場所 | ケネディ宇宙センター第39発射施設A |
任務終了 | |
着陸日 | 1997年8月19日 11:08(UTC) |
着陸地点 | ケネディ宇宙センター第33滑走路 |
軌道特性 | |
参照座標 | 地球周回軌道 |
体制 | 低軌道 |
近点高度 | 249 km |
遠点高度 | 261 km |
傾斜角 | 57.0° |
軌道周期 | 89.6分 |
![]() ![]() 左から右へ - 前列: ロミンガー、ブラウン 後列: カービーム、ロビンソン、デイビス、トリグベイソン |
STS-85は、複数の科学実験を行ったディスカバリーのミッションである。1997年8月7日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。
乗組員
- 船長 - カーティス・ブラウン (4)
- 操縦手 - ケント・ロミンガー (3)
- ミッションスペシャリスト1 - ジャン・デイビス (3)
- ミッションスペシャリスト2 - スティーブン・ロビンソン (1)
- ミッションスペシャリスト3 - ロバート・カービーム (1)
- ペイロードスペシャリスト1 - ビオニ・トリグベイソン (1)
当初、ジェフリー・アシュビーがこのミッションの操縦手を務める予定であったが、癌が末期であった妻の看病のために外れた。彼はケント・ロミンガーと交代し、STS-93で操縦手を務めた。
ハイライト


このミッションでは、地球の中層大気を観測する衛星が展開、回収され、また将来の国際宇宙ステーション(ISS)で用いられる可能性のあるハードウェアの試験が行われた。 この飛行の主要ペイロードはCryogenic Infrared Spectrometers and Telescopes for the Atmosphere-Shuttle Pallet Satellite-2 (CRISTA-SPAS-2)で、1994年のSTS-66に続き、スペースシャトルでの2度目の飛行となった。また、アメリカ航空宇宙局とドイツ航空宇宙センターの4度目の合同ミッションとなった。
飛行中、デイビスはディスカバリーのロボットアームを用いてCRISTA-SPASを展開し、約9日間自由飛行させた。CRISTA-SPASは、3つの望遠鏡と4つの分光計から構成され、地球の大気中層の痕跡ガスとダイナミクスを測定した。デイビスは、CRISTA-SPASの回収にもロボットアームを利用した。科学機器が搭載されたShuttle Pallet Satellite (SPAS)は自己充足型のプラットフォームで、自由飛行中、ディスカバリーに電力、コマンド、制御、通信を供給した。
乗組員は、日本の宇宙開発事業団のManipulator Flight Demonstration (MFD)実験の手助けも行った。MFDは、ペイロードベイの支持トラスでの3つの実験から構成される。主目的は、新しく設計された巧妙なロボットアームを、ISSのきぼうに実装される前に、宇宙環境で実証することであった。
ペイロードベイに収められたその他のペイロードには、Technology Applications and Science Payload (TAS-01)、International Extreme Ultraviolet Hitchhiker (IEH-02)、Ultraviolet Spectrograph Telescope for Astronomical Research (UVSTAR)があり、乗組員によってそれぞれ独立に運用された。
Microgravity Vibration Isolation Mount (MIM)実験は、カナダ宇宙庁の宇宙飛行士ビオニ・トリグベイソンによって行われた。MIM実験は、ロッカー2つ分のサイズの小さな装置で、スラスタの点火や乗組員の活動による擾乱を観測した。MIMは30時間の観測を行い、地上に向けてリアルタイムのデータを伝送した。
STS-85で行われたその他の実験には、サウスウェスト研究所とジェット推進研究所、APL、メリーランド大学が共同で行ったSouthwest Ultraviolet Imaging System (SWUIS-01)があった。広域紫外線撮影機SWUISは、ヘール・ボップ彗星の観測に用いられた。これは口径18cmのマクストフ望遠鏡とビデオレートのフレーム(30 Hz)を持つ紫外線XybionイメージCCDが基礎となっている。それぞれのSWUISの観測期間は約3時間で、最大7つのフィルター帯域で、約10万枚の画像を蓄積した。SWUISは、シャトルのミッドデッキの中で運用され、石英の窓を通してシャトルを観測した。SWUISは、彗星の中心線の周り4.5°の円錐内の方向を向くことができた。ミッションスペシャリストがこの機器の設定、運営を行った。
ミッション8日目、乗組員は、カナダの歌手Moxy Fruvousの歌う"You Will Go to the Moon"の曲で起床した。これは、カナダ人初の宇宙飛行士マーク・ガルノーが選んだものである。
着陸地点のケネディ宇宙センター周辺の霧のため、着陸は予定よりも1日遅れた。
外部リンク
- STS-85のページへのリンク