STS-91
名称:STS-91
オービター名称:ディスカバリー
打ち上げ国名・機関:アメリカ/アメリカ航空宇宙局(NASA)
打ち上げ年月日:1998年6月2日
着陸年月日:1998年6月12日
宇宙飛行士:チャールズ・J・プレコート/ドミニク・L・パドウィル・ゴーリィ/ウエンディ・B・ローレンス/フランクリン・R・チャン-ディアズ/ジャネット・L・カバンディ/バレリー・ビクトロビッチ・リューミン
飛行時間:235時間53分
STS-91の打ち上げでは、超軽量外部タンクが初めて使われました。以前使われていた外部タンクと同じサイズですが、アルミニウムとリチウムの合金製で、以前のよりも強度が増したうえ、ずっと軽くなったタンクでした。
宇宙に出たあと、STS-91は、ロシアの宇宙ステーション「ミール」とのドッキングを行ないました。これはSTS-71アトランティスから始まった「ミール」とのドッキング計画の8回目で、最後のドッキングです。
STS-89エンデバーのときから「ミール」に乗り移り、約6カ月のあいだ宇宙に滞在していたアンドリュー・S・W・トーマス宇宙飛行士が、ディスカバリーを待っていました。
約5日間のドッキング飛行を含む約11日間の宇宙飛行を無事に終え、ディスカバリーはトーマス宇宙飛行士を連れて地球に帰還しました。
1.どんな形をして、どのような性能を持っているの
スペースシャトル・ディスカバリーは、オービター(軌道船)と呼ばれる有人宇宙船(ディスカバリー)と、それを打ち上げるための固体燃料ブースターロケット2基、液体燃料を入れてある外部タンクからなっています。全体の長さは56m、高さ23m、重さ2,000tで、オービターだけの長さは37メートル、高さ17m、重さ85tです。外部タンクは使い捨てですが、オービターとブースターロケットはくりかえし使われます。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
ブースターロケットの噴射と、外部タンクの液体燃料を使うオービターの噴射で打ち上げます。2分後に、燃料の燃えつきたブースターロケットが切り離され、パラシュートで落下します。8分後、高度250kmから400kmに達したとき外部タンクが切り離され、オービターは軌道修正用エンジンで地球周回軌道に乗ります。オービターが地球に戻るときは、グライダーのように滑空しながら着陸します。
STS-91の着陸
3.宇宙飛行の目的は?
ロシアの宇宙ステーション「ミール」とのドッキングです。
4.宇宙でどんな活動をし、どのような成果をおさめたの?
宇宙ステーション「ミール」とドッキングし、ロシアの宇宙飛行士たちとさまざまな共同作業を行ないました。
※参考文献:「Newton CollectionII 宇宙開発」竹内 均・監修(教育社)1992年発行「SPACE ATLAS 宇宙のすべてがわかる本」河島信樹・監修/三品隆司・著(PHP研究所)1995年発行
STS-91
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/03 02:20 UTC 版)
STS-91 | |||||
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徽章
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ミッションの情報 | |||||
ミッション名 | STS-91 | ||||
シャトル | ディスカバリー | ||||
発射台 | 39-A | ||||
打上げ日時 | 1998年6月2日 18:06:24 EDT | ||||
着陸または着水日時 | 1998年6月12日 14:00:17 EDT ケネディ宇宙センター |
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ミッション期間 | 9日19時間55分1秒 | ||||
高度 | 296 km | ||||
軌道傾斜角 | 51.60° | ||||
ドッキング | |||||
ドッキング日 | 1998年6月4日 16:58 UTC | ||||
分離日 | 1998年6月8日 16:01 UTC | ||||
ドッキング時間 | 3日23時間3分 | ||||
乗員写真 | |||||
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年表 | |||||
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STS-91は、スペースシャトルがミールを訪れた最後のミッションである。ディスカバリーが使われ、1998年6月2日にケネディ宇宙センターから打ち上げられた。
乗組員
- 船長 - チャールズ・プリコート (4)
- 操縦手 - ドミニク・パドウィル・ゴーリー (1)
- ミッションスペシャリスト - ウェンディ・ローレンス (3)
- ミッションスペシャリスト - フランクリン・チャン=ディアス (6)
- ミッションスペシャリスト - ジャネット・L・カヴァンディ (1)
- ミッションスペシャリスト - ワレリー・リューミン (4)
- ミッションスペシャリスト(帰還時) - アンディ・トーマス (2)
ミッションパラメータ
- 質量:117,861 kg
- ペイロード:16,537 kg
- 近点:350 km
- 遠点:373 km
- 軌道傾斜角:51.7°
- 軌道周期:91.8分
ミッションハイライト

STS-91は、スペースシャトルとミールの最後のドッキングミッションとなり、このフェーズ1の計画は、国際宇宙ステーションにつながった。
このミッションでは初めて超軽量スペースシャトル外部燃料タンクが用いられた。これは、長さ47m、幅8.2mとそれまでの打上げで使われた外部燃料タンクと同じサイズだが、3,400kg軽い。このタンクはアルミニウム-リチウム合金でできており、その構造は5%小さい密度で30%の強度の増加を達成している。水素タンクの壁には、直角のワッフルのようなデザインが取られ、以前のものよりも強度や安定性を向上させている。これらの改良により、後に国際宇宙ステーションでは多くのペイロードを載せられるようになった。
ディスカバリーは、1998年6月4日16時1分UTCに高度208マイルで同機としては初めてミールとドッキングし、午後2時34分にハッチが開いた。ハッチが開いた時点で、アンディ・トーマスは公式にディスカバリーの乗組員となり、130日間のミール滞在が終了した。この時、7人のアメリカ人宇宙飛行士により合計907日間に及ぶミールへの長期滞在が終了した。その後4日間で、ミールの第25次長期滞在とSTS-91の乗組員は、500kg以上の水、約2,130kgの実験用品と供給品を運び込んだ。この時、ミール上のアメリカ側の実験機器は、ディスカバリーのミッドデッキに移された。6月8日午前9時7分に、ドッキング解除のためにハッチが閉まり、12時1分に宇宙船が分離すると、スペースシャトルとミールとの最後のドッキングミッションが終了した。
STS-91は、アルファ磁気分光計の試作品も宇宙に運んだ。暗黒物質を探すために設計されたアルファ磁気分光計は、飛行1日目に起動された。当初、ディスカバリーのKU帯通信システムを用いて地球に送信される予定であったデータは、KU帯通信システムの不調によって宇宙船に設置されたレコーダに記録された。1998年6月3日、乗組員は、地上局の真上に来た時に通信が可能なS帯とFMの通信システムのバイパスの設定に成功した。地上に送信されなかったデータは、ミッションの間ずっと宇宙船上のレコーダで記録された。
KU帯の通信システムの故障は、乗組員からは届かない箇所にあることが同定された。この故障のせいで、テレビ映像の送信はできなかった。ミールからのテレビ放送は、ロシアの地上局とモスクワ郊外の地上管制局との間の問題によってできなかった。
外部リンク
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