郡里廃寺跡とは? わかりやすく解説

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郡里廃寺跡

名称: 郡里廃寺跡
ふりがな こおざとはいじあと
種別 史跡
種別2:
都道府県 徳島県
市区町村 美馬市
管理団体
指定年月日 1976.03.22(昭和51.03.22)
指定基準 史3
特別指定年月日
追加指定年月日 平成18.07.28
解説文: S50-12-042[[郡里廃寺]こうざとはいじ]跡.txt: 吉野川北岸扇状地上に営まれ白鳳時代創立寺院跡である。早くから立光寺跡として知られいたものであり、調査結果法起寺伽藍配置をとるものであることが判明した塔跡基壇は各辺12メートルをはかり、塔軸部初重の1辺は中の間が2.3メートル両脇間はそれぞれ2.08メートル復原することができる。塔心礎旧地表下に据えたものであり、中央に径13センチ深さ6.5センチ舎利孔が穿たれている。心礎上に据えた心柱は、南北径1.06メートル東西径1.08メートルをはかる不整八角形呈し心柱四周根巻板で囲むことが知られた。金堂跡は東西18メートル南北15メートル前後復原される。塔、金堂間の心を東西47メートルへだてた位置石敷列が走り、その下方土塁発見しており、また塔、金堂心より南北60メートルへだてた位置同様な遺構発見し寺域をほぼ知ることができる。
 現段階では徳島県最古寺院一つとしてまた、遺構をよくとどめている寺院跡として、きわめて重要な寺院といえるであろう
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郡里廃寺跡

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/30 23:52 UTC 版)

郡里廃寺跡 伽藍遠景
中央の樹叢に金堂跡・塔跡・推定講堂跡が所在。
郡里廃寺跡
郡里廃寺跡の位置

郡里廃寺跡(こおさとはいじあと)は、徳島県美馬市美馬町銀杏木・願勝寺にある古代寺院跡。国の史跡に指定されている。

概要

徳島県西部、吉野川中流域北岸の扇状地に位置する。古くから「立光寺(りゅうこうじ)」という寺院の跡地として伝承されたが、国史跡指定時に「郡里廃寺」に改称された[1]1967-1968年度(昭和42-43年度)および2005年度(平成17年度)以降に発掘調査が実施されている。

伽藍は法起寺式伽藍配置で、金堂を西、塔を東に配する。徳島県内では最古級の寺院跡になるとして注目されるとともに、旧美馬郡域に限定的に分布する段の塚穴型石室の古墳の存在を考え合わせて、段の塚穴型石室の古墳を築造した有力豪族が美馬郡の郡司氏族になるとともに、その氏寺として郡里廃寺を営んだと考察可能である点で、重要視される遺跡である[1][2]

寺域跡は1976年(昭和51年)に国の史跡に指定されている[3]

遺跡歴

  • 嘉永4年(1851年)の「郡里村検地帳」で「立光寺」の地字の記載[1]
  • 1967-1968年度(昭和42-43年度)、「立光寺跡」として発掘調査(徳島県教育委員会、19681969年に報告)[1]
  • 1976年(昭和51年)3月22日、「郡里廃寺跡」として国の史跡に指定[3]
  • 1997年平成9年)3月6日、史跡範囲の追加指定[3]
  • 2005年度(平成17年度)以降、発掘調査(美馬市教育委員会)[4]
  • 2006年(平成18年)7月28日、史跡範囲の追加指定[3]

遺構

塔跡
中山路のイチョウ
(美馬市指定天然記念物)
推定講堂跡に生育。

寺域は東西約94メートル・南北約120メートルで、塀で区画する[4]。創建時には土塁で囲まれ、石敷きを巡らしたと推定される[1]。金堂を西、塔を東に配する法起寺式伽藍配置で、主要伽藍として金堂跡・塔跡の遺構が認められる[4]。遺構の詳細は次の通り。

金堂
本尊を祀る建物。寺域中央西寄りに位置する。基壇は東西約18メートル・南北約15メートルを測るが、現在までに大きく削平を受けている[2][4]
釈迦の遺骨(舎利)を納めた塔。寺域中央東寄りに位置する。基壇は一辺11.5メートルを測り、現在は一部が遺存する。基壇上面には四天柱礎石のうち北側2石が遺存する(原位置は東側の石のみ)。塔心礎は地下式で、直径約1メートルの断面八角形の心柱跡および心柱周りの根巻板が認められるほか、心礎中央には舎利孔が認められる[2][4]

金堂・塔の中間北寄り(イチョウ付近)には講堂跡の存在が推定されるが、これまでの調査では確認されていない[2]

寺域からの出土品としては、瓦のほか、青銅小片(水煙片か)・土師器須恵器・獣脚付盤などがある[1][5]。瓦の供給窯は坊僧窯跡群(美馬市)と推定される[6]

なお、寺域中心部のイチョウは「中山路のイチョウ」として美馬市指定天然記念物に指定されている[7]

文化財

国の史跡

  • 郡里廃寺跡
    1976年(昭和51年)3月22日指定[3]
    1997年(平成9年)3月6日・2006年(平成18年)7月28日に史跡範囲の追加指定[3]

美馬市指定文化財

  • 天然記念物
    • 中山路のイチョウ - 2001年(平成13年)12月7日指定[7]

関連施設

脚注

  1. ^ a b c d e f 徳島県の地名 2000.
  2. ^ a b c d 木本誠二 2009.
  3. ^ a b c d e f 郡里廃寺跡 - 国指定文化財等データベース(文化庁
  4. ^ a b c d e 史跡説明板。
  5. ^ a b c 国指定史跡ガイド.
  6. ^ 郡里廃寺跡(徳島県立埋蔵文化財総合センター(レキシルとくしま)「とくしま遺跡ナビ」)。
  7. ^ a b 中山路のイチョウ(美馬市ホームページ)。

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 発掘調査報告書
    • 「立光寺跡の発掘調査」『徳島県文化財調査報告書 第11集』徳島県教育委員会、1968年。 
    • 「阿波・立光寺跡調査概報」『徳島県文化財調査報告書 第12集』徳島県教育委員会、1969年。 
    • 『郡里廃寺跡第3次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第1集〉、2006年。 
    • 『郡里廃寺跡第4次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第2集〉、2007年。 
    • 『郡里廃寺跡第5次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第3集〉、2008年。 
    • 『郡里廃寺跡第6次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第4集〉、2009年。 
    • 『郡里廃寺跡第7・8次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第5集〉、2011年。 
    • 『郡里廃寺跡第9次発掘調査概要報告』美馬市教育委員会〈美馬市文化財調査報告第6集〉、2014年。 
  • その他
    • 木本誠二「遺跡の現場から 史跡郡里廃寺跡の指定と整備」『遺跡学研究』第3号、日本遺跡学会、2006年、134-137頁。 
    • 『お帰り故郷へ -奈良国立博物館所蔵の郡里廃寺跡出土品たち-』美馬市教育委員会〈平成二十七年度特別展図録〉、2016年。 

関連項目

外部リンク

座標: 北緯34度3分14.70秒 東経134度3分34.35秒


郡里廃寺跡

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寺町 (美馬市)」の記事における「郡里廃寺跡」の解説

奈良時代初期建てられ県内最古寺院跡。奈良斑鳩法隆寺左右逆の法起寺伽藍配置で、約100m四方広大な寺域有する。この地方支配した豪族氏寺として建立されたもので、古代美馬繁栄を今に伝えている。塔基壇上には当時礎石見られ寺域中心に樹齢700年ともいわれる銀杏巨樹がある。

※この「郡里廃寺跡」の解説は、「寺町 (美馬市)」の解説の一部です。
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