皇帝・皇族
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「銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国」の記事における「皇帝・皇族」の解説
ゴールデンバウム王朝の歴代皇帝の詳細は「銀河英雄伝説の歴史上の人物#ゴールデンバウム王朝歴代皇帝」を参照 フリードリヒ4世 (Friedrich IV) 声 - 阪脩(旧) / 稲葉実(D) 第36代銀河帝国皇帝。先帝オトフリート5世の次男。63歳。 次期帝位を有望視されていた兄と弟が帝位を争って共倒れしたため即位した凡庸な人物。国政はリヒテンラーデに委ね、自らは放蕩と漁色の果てにバラの栽培に専念する、老成したというより老けて立ち枯れた生活を送る。何一つ業績らしいものは残していないが、特に悪政をしたわけでもない、いかにもゴールデンバウム王朝の末期ぶりを象徴する君主。敬愛する姉を奪ったことで、ラインハルトが憎悪する最大の対象であったが、アムリッツァ星域会戦終了直後に心臓発作で急死し、ラインハルトが自らの手を下すことはできなかった。 帝位に即く前は、無能な上に放蕩者、先帝から勘当寸前であったことから、誰からも皇帝になることはまずないと思われ、何も期待されていなかった。帝位に即いても国政には興味を示さず、結果として、宰相代理リヒテンラーデ侯や後ろ盾となったブラウンシュヴァイク公の跳梁を許すこととなった。また、皇太子時代から漁色の癖があり、皇帝になると当初は円熟した豊麗な女性を好んだが、40代半ばから一転して10代の少女を対象にし始め、アンネローゼの前は、特にベーネミュンデを寵愛していた。 暗君とされるが作中では思慮深い一面を見せることがあり、特にラインハルトを厚遇したのは、単に寵愛するアンネローゼの弟だったからではなく、的確にその能力や野心を評価していたことが示唆され、時系列上ごく初期にあたるヴァンフリート星域の会戦の時点(姉の七光りとしか見られていなった時期)で、その素質を見抜いている発言をしている。さらにはリヒテンラーデに、ラインハルトに帝国を簒奪されても構わないと断言し、不滅の国家はなく、自分の代で滅亡しても問題ないとまで言い、自分がラインハルトに殺される結末まで見据えていたような台詞を残す。また、道原版では死の間際「決めていた、何一つ決めてやるものかと」と言い残し、あえて暗愚を装っていたと示唆するシーンがある(原作とOVA版では臨終シーン自体がない)。 藤崎版では実際年齢以上に老耄とした外見の人物として描かれてる。また、生前に数度に渡り極秘裏にベーネミュンデと共に市中視察を行っていたエピソードが紹介され、また、この際に利用していた秘密通路が幼帝誘拐のエピソードで用いられる。 ルードヴィヒ フリードリヒ4世の皇太子。故人。 フリードリヒ4世の嫡子で唯一成人した男子。非門閥貴族出身の女性との間に一子エルウィン・ヨーゼフをもうけるが間もなく病没する。 没年について外伝1巻では彼の死が引き金となり、アンネローゼが召し出されたことになっているが(つまり帝国暦477年以前に死去)、エルウィン・ヨーゼフはフリードリヒ4世が亡くなった時(帝国暦487年)に5歳になったばかりとあり(つまり帝国暦482年前後の生まれ)、矛盾が生じている。 エルウィン・ヨーゼフ2世 (Erwin Josef II) 声 - 江森浩子(旧) / 美波わかな(D) 第37代皇帝。皇太子ルードヴィヒの遺児でフリードリヒ4世の孫にあたる。後に銀河帝国正統政府皇帝。 フリードリヒ4世の急死後、利害が一致したラインハルトとリヒテンラーデによって擁立された僅か5歳の幼帝。ブラウンシュヴァイク公ら門閥貴族の跳梁を防止するための擁立であり、何ら実権がない。唯一の直系男子として甘やかされて育てられたために非常に我儘で年齢を考慮しても自制心がまったくない。 リップシュタット戦役で門閥貴族及びリヒテンラーデが失脚し、実質的にラインハルトが最高権力者となった中でも形式的な君主として君臨していた。しかし、フェザーンの思惑(と、事前に計画を察したラインハルトの策謀)によって、ランズベルク伯らに誘拐される形で同盟に亡命する形となり、銀河帝国正統政府の皇帝となる。これが対同盟宣戦布告の大義名分に使われ、またエルウィン・ヨーゼフ自身も廃位される。 同盟敗北による銀河帝国正統政府崩壊の際、ランズベルク伯に連れられて行方不明となる。2年後にランズベルクが逮捕された際に、彼がエルウィン・ヨーゼフのものと思われる幼児のミイラ化遺体を所持し、彼がそれを皇帝として敬っていたことから死亡したと判断され、公共墓地に埋葬される。ところが、後に逮捕されたシューマッハが真相を明かし、ランズベルクの元を逃げ出して行方不明となり、精神の安定を失ったランズベルクが幼児の遺体を盗んでエルウィン・ヨーゼフの遺体と思い込み始めたのだという。実際のエルウィン・ヨーゼフの足跡は行方不明のままとなる。 カザリン・ケートヘン1世 (Kasarin Katchen I) 第38代皇帝。ゴールデンバウム朝の最後の皇帝。 エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐事件後にラインハルトが擁立したわずか生後8カ月の幼帝であり、初の女帝。ラインハルトの明白な傀儡かつ建前上の君主であり、乳児ゆえに皇帝の職務を果たすことはできず、父親のペクニッツ公爵が親権者として職務を代行する。間もなく禅譲という形でラインハルトが帝位を継ぎ、ローエングラム王朝が誕生する。また禅譲にあたって、父のペクニッツと共に身の安全や生活は保証されている。 皇族としての血筋は原作では「先々帝ルードヴィヒ3世の第3皇女の孫」となっているが、ルードヴィヒ3世なる皇帝は存在せず、OVA版では「先々帝オトフリート5世の第3皇女の孫」に修正されている。 シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ (Susanna von Benemünde) 声 - 藤田淑子(旧) / 鶴ひろみ(黄) 通称ベーネミュンデ侯爵夫人。フリードリヒ4世の愛妾。子爵家令嬢。外伝の主要人物で本伝では故人。ただし、各版で時系列上の登場時期が異なる。 かつて漁色家で知られたフリードリヒ4世の寵愛を独占し、やがて皇后になるとみなされていた30歳過ぎたばかりの妙齢の女性。しかし、3度の流産の後に、新たに後宮に入ったアンネローゼ、後のグリューネワルト伯爵夫人にその地位をとって代わられて皇帝から距離を置かれ、現在では幻の皇后と称される。そのために嫉妬に狂い、再び皇帝の寵愛を受けるべくアンネローゼやその弟・ラインハルトを害そうと数々の陰謀を企てる。そのしつこさから当初ラインハルトにヘビ夫人と仇名され、後にラインハルトの苦手な食べ物に引っ掛けてチシャ夫人と呼称される。作中の現在時間軸上ではヒステリックな一面が強調されるが、共犯者のグレーザーによれば宮廷に上がった頃は、「蕾を開いたばかりの桜草にたとえられる可憐な深窓の姫君」だったという。また、3度の流産も自分の血筋を皇位につけたいブラウンシュヴァイク公やリッテンハイム侯が医師を買収して殺したという噂が流れており、彼女自身も死の間際に参加者のブラウンシュヴァイク公に毒を盛られたと主張しているが真偽は不明。 外伝におけるラインハルトの主要な敵役の一人であり、本来の標的であるアンネローゼに安易に手を出せないため、その弟を狙う策謀を企てる(「星を砕く者」「白銀の谷」「黄金の翼」)。しかし、いずれも失敗した上、正式に皇帝愛人の地位を失ったことでいよいよ暴走し、帝国暦486年5月にグリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件を引き起こす。結局、暗殺計画が露見し、最期は皇帝の慈悲として毒による自裁を命じられ、当時の典礼尚書であるアイゼンフート伯爵の館で毒死する(拒絶しようとしたが無理やり飲まされる)。その死後もラインハルトの怒りは収まらなかったが、アンネローゼはベーネミュンデ侯爵夫人の哀しみを理解して許すよう諭す。 OVA版では暗殺未遂事件の時系列が変更され、本伝中のカストロプ動乱と同盟による帝国侵攻作戦の間(帝国暦486年5月末-8月頭)のエピソードになっているため本伝中に登場する(OVA第11話)。フレーゲルに操られる形でグリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件を引き起こし、誘拐したアンネローゼに自ら毒を飲ませて殺そうとする。しかし、キルヒアイスらに現場に踏み込まれて失敗し、その場では脱出は果たすものの、後日、原作通り毒による自裁を皇帝より命じられる。衆人環視の中でラインハルトの顔にツバを吐いて悪態をつくなどしたが、最期は無理やり飲まされ毒死する。それ以外の本伝開始以前のエピソードもOVAの外伝で扱われており、OVAオリジナルの『決闘者』にも黒幕として登場する。 藤崎版では短編「白銀の谷」よりヘルダー大佐を使ったラインハルトの暗殺計画エピソードはあるもののグリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件自体がなく、第6次イゼルローン攻防戦の論功行賞の後、突然アンネローゼの館を訪問してラインハルト、アンネローゼの両名と対面する。フリードリヒ4世崩御の時点でも存命しており、弔問の順序をアンネローゼに越され「あの女」と恨み節を言う。その後は矜持を失わず一般人に紛れて市井で細々と暮らしていたところを旧知のボルテックの訪問を受け、フェザーンに唆される形で皇帝誘拐計画に加担する。フリードリヒ4世が秘密の市中視察に使っていたという新無憂宮の極秘通路を案内し、さらに暴力的なエルウィンに自らの怪我も厭わず優しく接して心を開かせるなど、誘拐に大きく貢献する。 リヒャルト オトフリート5世の嫡男で、フリードリヒ4世の兄。故人。 開明的ではないが、勤勉で教養に富み思慮深く有能な人物。次の皇帝として有望視されていたが、父である皇帝の弑逆を図ったとして処刑される。後に末弟クレメンツの策謀による冤罪だと発覚する。 クレメンツ オトフリート5世の三男で、フリードリヒ4世の弟。故人。 行動力に恵まれ明朗快活、クロプシュトック侯爵ら有力貴族からの支持も厚い人物。次期皇帝の有力候補だった長兄リヒャルトの反逆罪が発覚して刑死したため、皇帝位を有力視される。ところが、それがクレメンツ自身の策謀だったと発覚したため、自由惑星同盟へ亡命しようとするが、その道中で「偶然による宇宙船の事故」によって死亡する。これによってフリードリヒ4世が皇位を継ぐことがほぼ確定した。
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