物議を醸した出来事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 23:39 UTC 版)
2014年 3月、市長選を控えた今村の政治団体「レコンキスタ西宮」は政策チラシ「レコンキスタ12号」を発行。同号に掲載されている人物写真に添えられたコメントの大半がその写真の人物の発言ではなかった。また、表紙で「私はまだ十代だから投票には行けません。ハタチ以上のオトナのひとたちは、どうか、ちゃんと投票に行ってください」というコメントを写真付きで添えた女性は未成年者ではなく、今村の事務所のスタッフであり、かつ西宮市民ではなかった。 6月23日、上記チラシの問題につき、市議会定例会で大石伸雄市議から「過剰な演出ではないか」と指摘を受ける。このとき今村は「メッセージのイメージに合う人物をモデルに使ったにすぎず、記事は写真本人のメッセージではない」と認めた上で、「(掲載)人物の年齢や住所を掲載していないのに、なぜその情報を知っているのか」と反論した。 2015年 1月15日、阪神・淡路大震災の被災者に対して市が提供した借り上げ復興住宅に関する報道が、在京テレビ局の番組で放送される。この報道に対し、市は「住み替えに対する市の支援策を紹介せず、追い出していると受け止められる内容で、公正さに欠ける偏向報道だ」として抗議し、テレビ局側が謝罪。これを受ける形で今村は1月23日の定例会見で、「重要政策の報道に関し、市が『偏向報道』と判断した場合、メディア名と抗議文を広報誌とホームページ上に掲載する。改善されない場合、今後その報道機関の取材には一切応じない」と発表した。 1月26日、今村は記者会見を開き、3日前に行った自身の発言につき、「市に批判的な報道」を対象とするものと誤解される恐れがあるとして、「重大な誤解を与える報道をした場合には抗議し、改善を求める」との表現に改めた。 1月28日、表現は改めたものの、ブログで「取材拒否の方針は撤回していない」ことを強調。また、26日の記者会見を取り上げた新聞6紙の記事を比較し、「毎日・神戸・朝日は、ほぼ正確に記者会見の内容を報道してくれているようです。他の事業者の商品では、さっそく完全な事実歪曲もあって笑えました」と、残り3紙を挑発した。 2月4日、同志社大学名誉教授の渡辺武達は新聞の取材に対し、「(今村の態度は)報道の萎縮につながる危険性があり、憲法21条に違反する」と述べた。 10月21日、宝塚市長の中川智子は、記者会見よりもホームページでの文書掲載を優先する西宮市の方針に対し「ご自身中心の情報発信で、同じ首長として怒りに震える」と述べた。これに対し今村は「そんな方がいるのかと驚きに震えた」と返答した。 11月16日、市長選で唯一応援を受けていた自身の出身会派「蒼士会」が「市長との信頼関係で疑義を持たざるを得ない問題が生じた」として解散。これにより市議会の6会派すべてが反市長派に回った。 11月27日、市議会12月定例会に、市は、借り上げ復興住宅の住民7世帯を相手取り、住宅の明け渡しを求め提訴する議案を提出。 12月15日、今村は自身のブログに「継続入居を認めるという方針変更は絶対にありません」「報道で西宮市当局の方針がぶれるようなことは絶対にないので、ご安心ください」と書き記した。 12月25日、大川原成彦市議会議長はこれを受けて「議会の判断を全く理解していない。市民の声に耳を傾けながらかじを取るべきだ」と批判する声明を出した。 2016年 5月28日、議会からの強い反発があったにもかかわらず、市は、市内青木町の借り上げ復興住宅の住民に対し明け渡しと損害賠償を求める訴訟を起こした。自治体による同種の訴訟は神戸市に次いで2例目。 6月25日、西宮市が参議院選挙への投票を呼び掛ける目的で配布した広報誌「西宮市政ニュース」6月25日発行分に、「政治家は『国民の代表』ではなく『投票した人』の代表に過ぎない」との内容が記載された。記載内容が憲法43条違反であるとして市議会から追及を受ける。県選挙管理委員会からも「誤解を与える表現で不適切だ」と指摘されるが、今村は「投票に行くことの意義・責任・正当性を訴える内容であり、不適切な表現ではない」と反論した。 7月2日、上記問題につき、神戸市長の久元喜造は自身のブログで「明確な憲法違反であり、早急にこのようなふざけた見解を撤回すべき」と述べた。これに対し今村は「近隣市長として、よその市長にあれこれ言うのはいかがなものか」と不快感を示した。 7月8日、市議会の八木米太朗議長が「広報を私物化している」と批判し、「市長は『裸の王様』のようになっている」とコメントした。 10月4日、前述の八木米太朗議長は記者会見を開き、9月7日の市議会における今村の様子を明らかにした。市議の一人がマニフェストの進捗状況について今村に質問したところ、今村は登壇した議員をずっとにらみつけていたという。八木は「いかがなものかと言わざるを得ない」と今村を批判した。 11月27日、中高生を対象にした催し「中高生3万人の夢プロジェクト」が西宮市立子育て総合センターで開催。中高生18人が市職員と議論するさなか、今村は突然「中高生のころ、教室の鍵を盗み、授業を抜け出してたばこを吸っていた」「教室の合鍵を作り、面白くない授業を抜け出して、たばこを吸い、マージャンをした」「見回りのガードマンにはエロ本やお酒を渡して味方に付けた」と過去の犯罪行為を肯定する発言を行った。 12月8日、上記イベントを傍聴した一色風子市議は市議会12月定例会において次のように述べた。「話の内容は私の耳を疑うようなものだった」「市長には、教育大綱をつくった方々の思いを裏切ることのないように振る舞っていただきたい」 同日、今村は自身のブログで「ピンクのダサいスーツに黒縁眼鏡で『お下品ザマス!』って言っている女教師みたい」「キレイゴトは中高生を子ども扱いし、敬意を欠いている」と一色に反論した。 12月19日、市議会最大会派は「議員を揶揄し、愚弄している」「中高生に模範を示すべき立場なのに問題」とし、市議会はブログの削除と発言の撤回と謝罪を求める決議案を全会一致で可決した。今村は発言の撤回は拒否したが、ブログについては「コースが悪すぎて、当てちゃったという感じ。反省している」と述べた。 2017年 3月、前年12月幹部会議での今村の発言を聞きつけた市議が3月定例会で問題視。同月に行われた幹部会議で今村は、情報漏えいについて幹部らにくぎを刺した後、数人の議員を名指しして批判を行った。 2018年 1月4日午前、市幹部約260人が参加した西宮市の仕事始め式で、期満了に伴う市長選に立候補しない考えと5月に退任する意向を表明した。式終了後、退任の意向について確認しようとした読売新聞の男性記者に対し「殺すぞ」と発言。さらに振った手が男性記者の頬に触れた。エレベーターホールに向かう今村を記者が追いかけ、問いかけると「しゃべんな」と恫喝。エレベーターを待つ間も「このくそがき」「支局長に落とし前つけさすからな」と続けた。職員はエレベーターに乗り込もうとする記者を制止。今村はその横で「乗るな、ぼけ」と言った。 1月12日、今村の上記発言について「恥ずべき言動で、市の名誉と品位を著しく傷つけた」として、西宮市議会議長の田中正剛及び副議長の渋谷祐介が揃って今村に対し5月の任期満了を待たずに辞職する考えはないかを問う声明文を提出した。今村は「今後、選挙に関わることは2万%ない」と明言しつつ、早期辞職については「毛頭ない」と述べ、議長らの要求を拒んだ。 1月19日、定例記者会見で神戸市北区の自宅取材を試みた読売記者について言及。「私有地に数十分間もとどまっているのは、性的関心があるか物取りのような、一般的には変質者だ」と話した。 2月6日、市議会は、市長の退職金を減額する議案を2月20日開会の定例会に議員提案する方針で一致した。 2月13日、市議会は、議会運営委員会を開き、同定例会で今村の施政方針演説や市議の代表質問を行わないことを決めた。また、田中正剛議長は今村の退職金を3割減額する条例案を提示した。市によると、条例案が市議会で成立した場合、市長が5月まで働いた時の退職金は約1980万円、2月中に辞職すると退職金は約2710万円となる。 2月19日、午前10時半ごろ、松永博副市長と掛田紀夫副市長に対し、5月の任期満了を待たず辞職する意向を伝え、同日、代理の市職員を通じて田中議長に「退任願」を提出した。退任願は午後2時半ごろに受理された。今村は退職の理由について公に説明することなく、正午ごろ退庁。これに対し井戸敏三知事は同日の定例会見で「市政を投げ出したような感じを市民に与えることになり、残念だ」と述べた。 2月20日、市議会は今村の辞職に全会一致で同意した。今村は「体調不良」を理由に登庁せず、市議会本会議を欠席した。夕方に自身のブログを更新。「どうせ三月は議会、四月は新年度当初で現場での引き継ぎや走り出しが中心」だから辞職したとつづった。そして「blogの更新もこれが最後です。Facebookのアカウントもしばらくしたら閉じます」「政治や新聞と永遠に関係のない人生を送ります」と述べた。松永副市長と掛田副市長はこうした今村の姿勢について、「子どものよう。情けない」とコメントした。 4月15日、今村の辞職に伴う市長選挙が行われ、市長退職金の廃止を公約とした石井登志郎が当選した。
※この「物議を醸した出来事」の解説は、「今村岳司」の解説の一部です。
「物議を醸した出来事」を含む「今村岳司」の記事については、「今村岳司」の概要を参照ください。
- 物議を醸した出来事のページへのリンク