宝蔵院流槍術
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宝蔵院流槍術(ほうぞういんりゅうそうじゅつ)とは、奈良の興福寺宝蔵院主胤栄が創始した[1]十文字槍を使った槍術である。薙刀術も伝承していた。初代胤栄[1]のあと、2代目胤舜、3代目胤清、4代目胤風とつづいた。
初代胤栄は、柳生とも親交があったと云われる。また、福島正則の家臣で勇猛な武将として知られる笹の才蔵こと可児吉長が初代胤栄に教えを請うた、とも云われる。
現在はほとんどの形などが失伝しており、宝蔵院流高田派の江戸に伝えられた系統のみが現存している。だが、この系統も全伝は現存せず、辛うじて残っていた「槍合わせの形」のみが伝えられ、薙刀術の形などは失伝している。
2017年から女性にも入門が許可され、2018年には初級の審査に合格者が出ている[2]。
宝蔵院流槍術の分派
胤栄┬宝蔵院流中村派─宝蔵院流高田派 ├宝蔵院流松崎派─加来流 ├姉川流 ├法蔵院流(宝蔵院流長谷川派) └胤舜─宝蔵院流礒野派─宝蔵院流下石派─宝蔵院流旅川派
宝蔵院流槍術の登場する作品
宮本武蔵を主役とする作品において、武蔵の決闘の相手として胤舜や高田吉次が登場することが多い。小説では『魔界転生』、漫画では『バガボンド』『ゴクウ』がある。『シグルイ』では徳川家の槍術指南として宝蔵院流槍術を習得した人物が登場する。「忠臣蔵」(赤穂事件)にからんだ架空の人物である俵星玄蕃は、宝蔵院流の天下無双の槍の名人であるとされる。このことは、三波春夫の名曲「元禄名槍譜 俵星玄蕃」の前口上でも紹介されている。
司馬遼太郎の短編集『新選組血風録』の「槍は宝蔵院流」では、新選組七番組組長の谷三十郎が宝蔵院流槍術の使い手として登場している。
『赤胴鈴之助』には宝蔵院流槍術の使い手、岳林坊が登場する。
脚注
出典
関連項目
外部リンク
- 宝蔵院流槍術
- 寳藏院胤栄法師大格之傳 - ウェイバックマシン(2008年3月22日アーカイブ分)
宝蔵院流槍術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 16:53 UTC 版)
槍の達人、宝蔵院胤栄が創始者となる流派。槍の聖地と言われる奈良の興福寺子院の宝蔵院(寶藏院)に、大勢の修行僧が集まっている。現在は胤栄は既に引退し、胤舜が宝蔵院・二代目を襲名したが、胤舜に反感を持つものも少なくはない。 宝蔵院 胤栄(ほうぞういん いんえい) 宝蔵院流槍術の創始者。 法号「覚禅房胤栄」。通称「大胤栄」。豪放磊落な性格で、門弟から尊敬されて止まない。「にゃむにゃむ…」「カカッ」が口癖。武蔵の心の師の一人。 胤舜に宝蔵院の座を譲った後も槍術の腕に衰えはなく、武蔵を圧倒した。自身が作る「宝蔵院漬」は好評で、日中畑仕事に精を出している。柳生石舟斎と共に、上泉伊勢守秀綱に弟子入りした過去もある。 坊主で老体だが酒を好む。盟友である石舟斎の死後、後を追うようにその生涯を閉じた。 宝蔵院 胤舜(ほうぞういん いんしゅん) 宝蔵院流槍術二代目。 本名満田 慎之介(みつだ しんのすけ)。 胤栄の元で槍術を学ぶため寺に来た武士の息子であったが、両親は浪人に目の前で惨殺され、そのまま胤栄に引き取られる。その時点で残酷な記憶は封じられ、槍術に没頭していた。すばらしい槍の天分にも恵まれ(本人曰く吉岡清十郎と互角)、15の時にはすでに院内に敵は無く宝蔵院の二代目まで上り詰めた。しかし天才故に周りに相応の敵がおらず、戦いに対する姿勢はどこか慢心的であり精神的な未熟さが残る。自身もその欠点に気づき命のやり取りを渇望するが、相手の命のやり取りにしかならない。そのため、周りからは強さの探究の他何もないのかと恐怖の念で見られるようになり孤立していく。師である胤栄も技を伝えることはできても、心を磨くことを伝えることが出来なかった点を憂慮し、宝蔵院に挑戦してきた武蔵を鍛え、胤舜にぶつける。 武蔵と交戦、一度は圧倒的な強さで勝利するも、再戦では胤栄に鍛えられ一回り成長した武蔵に圧倒され、一瞬の隙を見て突きを繰り出すが、紙一重でかわされる。同時に、過去のトラウマがフラッシュバックした際の隙を突かれ、頭に強烈な一撃を浴びて昏倒する。武蔵も出血のために戦い続けることが出来なくなり、立会人であった胤栄により、都合2回の対戦内容から引き分けとなった。決闘後、奇跡的に生還。武蔵とは和解し、「今度は命を奪い合うことなく」再会することを約束する。その後、宝蔵院二代目を正式に襲名。 阿厳(あごん) 宝蔵院の修行僧の一人。 無骨な風貌と厳格な性格を持つ。武蔵や胤舜には及ばないが、並みの剣客なら軽く屠り去るほどの手練であり、その槍の腕は胤栄にも認められている。 初めのうちは胤舜に憧れて近づこうとしたが、胤舜の性質をいつしか恐れるようになる。しかし、それでも友達だと思っており、胤舜に反感を持つ者の多い宝蔵院の中にあって、彼を親身に心配する数少ない人間である。 明栄(みょうえい) 宝蔵院の修行僧の一人。 胤舜が二代目ということが気にくわずに派閥をつくり、胤栄に気に入ってもらおうと胡麻を擂って、自分が二代目になろうと目論む。しかし、実力の差は明らかで、胤栄からもその魂胆は見透かされている。
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