ワクチンの接種状況(初期)
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「日本におけるCOVID-19ワクチンの接種」の記事における「ワクチンの接種状況(初期)」の解説
2021年1月末時点では、既に先進各国でワクチン接種が本格化する中、日本の接種開始の遅れが際立っていた。主要先進国の中で、ワクチンの承認に至ってないのは日本だけだった。 同年2月14日には日本でもファイザー製mRNAワクチンについて厚生労働省の特例承認があり、国内で2月17日に接種開始された。公的な1人目の接種者は、東京都目黒区の国立病院機構東京医療センターの院長であった。医療従事者への接種から優先的に開始された。「今後、順次、各都道府県の病院で、医療従事者向けの接種が進められる」などと説明された。 2021年3月下旬時点で、日本の100人あたりのワクチン接種回数は0.4回であり、OECDの37ヶ国中で最下位であった。同年4月27日時点で、1回以上接種したのは人口の1%あまりであり、アジア全体の4%と比べても低い値であった。その後、期間を経て急速に接種率が上昇し、9月13日、ワクチンの2回目接種済人数は全人口の50.9%となり、うち65歳以上の高齢者では88%であった。同年10月4日時点では、ワクチンの2回目接種済人数は全人口の60.9%、1回目完了だと71.3%であった。 日本では当初、16歳(モデルナ製は18歳)→12歳以上(アストラゼネカ製は原則40歳以上、特に必要がある場合18歳以上)を対象に、ワクチン接種の優先順位ガイドラインを以下の順序で定めた。(ただし、16歳未満の接種には保護者の同意が必要とされる) 医療従事者等(病院や診療所の職員、薬剤師、救急隊員、保健所の職員など) 昭和32年(1957年)4月1日以前に生まれた人(65歳以上の高齢者) 高齢者以外で基礎疾患(心臓病、糖尿病、BMI30以上など)を有する人や高齢者施設等の従事者 上記 1. - 3. 以外の人 同年3月、まず医療従事者などへのワクチンの優先接種が本格的に開始。同年4月15日時点で、優先接種対象の医療従事者等480万人のうち2回目の接種を完了したのは約68万人(14%)、1回目完了が117万人(24%)であった。優先接種対象の医療従事者等にはには新型コロナウイルスの感染者に接する機会が多い検疫所や保健所などの職員も含まれていたが、この時点ではワクチン供給量が不足しており、NHK取材では検疫所の職員が接種を受けられていない状況であった。 4月27日時点では、医療従事者等のうち1回目の接種が完了したのは3分の1程度であった。 第2順位の65歳以上の高齢者に対しては4月12日に一部の自治体で接種が開始され、4月26日以降本格的に接種が開始された。第1順位の接種を受ける医療従事者の数が当初の想定より100万人多い470万人に増えたことや接種対象となる高齢者が約3600万人に上ること、日本で広く使われる注射器では1瓶から6回分を採取できないこと、ファイザーのワクチン増産が5月以降となることなどから、スケジュールの遅延が予想された。前述のように医療従事者等へのワクチン接種が遅延したことから、自治体によっては配布された高齢者向けワクチンを地域の医療従事者用に転用するところもあった。 また、キャンセルなどでワクチンの余りが出ることに対しての有効利用について、一部自治体首長や職員が接種するケースが相次いで出ており、特に高齢者へのワクチンの接種予約が取りにくく混乱を生じている中で、公平性の観点から問題視する意見が一部で出ているが、ワクチン接種推進を担当する河野太郎行政改革担当大臣は「貴重なワクチンが廃棄されているのは極めて許しがたい状況だ。町長が先に打ったとか、いろんなことで批判され、批判を恐れて廃棄するようなことがないように、自治体の裁量で有効活用してほしい。批判があれば、私が責任をとる」と、ワクチンの有効利用の観点から接種を容認する見解を述べた。 注射器に起因する1瓶あたりの接種回数の問題に関し、京都府の宇治徳洲会病院は、条件が合えばインスリン用注射器でファイザー製ワクチンを1瓶から7回接種可能であるとした。また、テルモは1瓶から7回接種可能な注射器を開発し同年3月末から生産を開始。 同年4月26日、政府が東京都と大阪府に1日1万人規模の接種会場の設置を明らかにし、27日に菅義偉首相が自衛隊による接種会場(自衛隊大規模接種センター)を東京都に設置するよう指示した。期間は5月24日から3カ月の方針。場所は東京都は大手町合同庁舎、大阪府は大阪府立国際会議場(大阪市中之島)に決まり、東京・大阪とも5月24日から開設された。ワクチンは管理の混乱防止のため、既に自治体に配布されているファイザー製ではなく、承認審査中のモデルナ製が(承認を前提に)使用されると報道された。また、東京都町田市ではサッカーJリーグ・FC町田ゼルビアのホームスタジアムである町田市立陸上競技場(施設命名権名称・町田GIONスタジアム)を集団接種会場として使用するなど、各自治体が、国技館、競技場、競馬場など大規模施設を利用した接種会場の設置を実施あるいは検討している。 5月21日、モデルナ製ワクチンおよびアストラゼネカ製ワクチンが、厚生労働大臣により特例承認された。これにより、日本で3種類の新型コロナウイルスワクチンが承認されたが、このうちアストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンに関しては、まれに血栓症を発症する副反応例が海外で報告されていることから、当面の間は日本国内での公的な接種を見送ることとなった(後述のように、以後に公的接種は再開されている)。同月23日、自衛隊が運営する大規模接種会場となる大阪府立国際会議場でモデルナ製ワクチンの接種が自衛隊員や民間看護師らに行われた。翌24日から東京・大阪の大規模接種会場で65歳以上の高齢者を対象にモデルナ製ワクチンの接種を開始している。 全国の自治体に総務省・厚生労働省が調査を実施した結果、5月21日発表では92.8%の自治体が「7月末までに高齢者の接種を完了予定」と回答した。 6月1日、政府が地域の負担軽減と接種の加速化を図る目的で、企業や大学などでの職域接種を同月21日から始めると発表した。東京・大阪の自衛隊による大規模会場と同じモデルナ製ワクチンを使用する。実際には同月13日から全日本空輸(ANAホールディングス)、14日から日本航空や読売新聞社といった一部の企業が前倒しで職域接種を開始。その後、職域接種の申請が想定を上回るペースで行われたことで、使用するモデルナ製ワクチンの供給が不足する可能性が出てきたことから、6月25日17時をもって申請の一時休止を政府が発表。職域接種用のモデルナ製ワクチンの1日の配送可能量が上限に達し、それがボトルネックとなりワクチンが不足する可能性が出てきた事が主な原因である。また、企業などが従業員らの数より過大な量を申請したケースもあるとみて精査したが、結論として同月30日に菅首相はワクチン接種などの進捗に関する関係閣僚会議で職域接種申請の新規申し込みを事実上一時休止すると表明。この時期には、自治体が実施する大規模接種についてモデルナ製のほかファイザー製でも対応することを検討しているが、ワクチン供給の見通しが立たず、予約の受け付けを中止する自治体も出始めていた。 また、厚生労働省は血栓症発症の副反応リスクがあることから公的接種での使用を見送っていたアストラゼネカ製ワクチンについて、60歳以上を対象に公費接種を認める方向で調整を進めていたが、同年7月30日に原則40歳以上を対象に公費接種の対象に追加することを決め、8月3日より正式に追加された。
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ワクチンの接種状況(中後期)
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前述のように諸々の混乱がありつつも日本国内のワクチン接種率は順調に推移し同年10月4日時点で、ワクチンの2回目接種済人数は全人口の60.9%、1回目完了だと71.3%であった。NHK報道によるイギリスの統計任意団体「Our World in Data(英語版)」の調べによれば、各国の保健当局が予定した接種回数(通常2回、国により3回)までの接種率(接種済人数の人口比統計)では、日本は同年10月17時点統計で66.47%と、イギリスの65.7%、ドイツの65.15%、米国の56.17%を抜いており世界的にも遜色のないレベルとなっている。 また、接種の優先順位の問題も、あくまでも対応は自治体の裁量に委ねられているため自治体によって対応に差異があるが、概ね夏季後半頃までに概ね解決し、多くの自治体で希望者は比較的速やかにワクチン接種ができるような予約状況になっている。 その一方で、自治体によりワクチン供給確保の状況に大きな差が出始めている。10月13日報道によれば、人口二百数十万人(同年)を抱える名古屋市で、大規模会場などで予約枠が100%埋まらず、一部時間帯では予約なし接種対応が可能になっている一方で、三重県桑名市では、三重県から供給されるファイザー製ワクチンの供給が先細り、10月17日以降、接種の対応ができず予約不能の状況に陥っているとのことで、自治体間の接種対応の格差が表面化しつつある。また、福島県郡山市や広島県広島市でも、同年10月にかけてファイザー製ワクチンの供給枠確保が国・県から示されないため、同社製ワクチンの予約受付を一時停止し、モデルナ製を推奨する状況になっている。 接種率の上昇の一方で、若年層の接種率の低迷が問題となっている。大阪府では10月15日報道時点で、20代と30代の若年層の1回目接種率がようやく50%台に到達した状況となっている。 接種率の上昇とニーズの低下を背景に、自衛隊による東京と大阪の大規模接種センターについて、11月一杯での終了が報道された。5月24日の開設以降、約196万回(国内の全接種回数の約1%)の実績を残した。
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ワクチンの接種状況(追加接種)
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国は、2回目接種を完了した日から、原則8か月以上経過した18歳以上の人を対象に、3回目の接種を行うことを発表した。ファイザーあるいはモデルナを使用。11月中より、最初に接種を受けた医療従事者を対象にした接種券の発送が一部の自治体で行われ、12月1日から3回目の接種が実施されている。 ただ、オミクロン株の流行が進み、当初の8か月から7か月、6か月と2度にわたる変更やワクチン供給の問題があり、2022年1月25日時点での全人口に対する接種率は2.1%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位である。加えて、1・2回目の接種者の多いファイザー製ワクチンに人気が偏り、モデルナ製ワクチンが不人気のため、接種が進まない問題もある。 2022年2月、東京と大阪に自衛隊による大規模接種会場が再開設された。東京は2021年同様、大手町合同庁舎3号館で、大阪は中央区の堺筋八木ビルで実施される。初回の東京会場の予約は9分で満員になった。大阪会場は2月7日から開始予定、2月4日から予約受付予定。
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