ワクチンの開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/19 14:01 UTC 版)
詳細は「ポリオワクチン」を参照 1935年にニューヨーク大学の研究助手であったモーリス・ブロディ(英語版)は、すり潰したサルの脊髄からウイルスを調製し、ホルムアルデヒドで不活化した。ブロディは最初に自身と彼の助手数人でワクチンを試した。その後、彼はワクチンを3000人の小児に投与した。アレルギー反応は多く起こったが、ポリオへの免疫を獲得した者はなかった。1940年代の後半から1950年前半にかけて、ボストン小児病院のジョン・フランクリン・エンダースに率いられた研究グループはヒトの組織でポリオウイルスを培養することに成功した。この大きなブレイクスルーが最終的にポリオワクチンの開発を可能にした。エンダースと彼の同僚のトーマス・ハックル・ウェーラー、フレデリック・チャップマン・ロビンスは、業績が認められて1954年にノーベル賞を受賞した。 ポリオを撲滅するために世界中で2種類のワクチンが使用されている。1つはジョナス・ソークによって開発されたもので、1952年に最初の試験が行われ、1955年4月12日にソークによって世界的な宣伝がなされた。ソークのワクチンは不活化ワクチンで、不活化されたポリオウイルスが含まれている。1954年にワクチンのポリオを予防する能力についての試験が行われた。ソークのワクチンの実地試験は史上最大の医学実験となるものと思われる。認可を受けてすぐに予防接種キャンペーンが開始された。マーチ・オブ・ダイムズ(英語版)の後援を受けた集団予防接種の後、アメリカ合衆国でのポリオの年間症例件数は、ピーク時の5万8000件近くから1957年には5600件にまで減少した。 ソークの成功から8年後、アルバート・サビンは、弱毒化ウイルスを用いた生ワクチンである経口ポリオワクチンを開発した。サビンのワクチンの臨床試験は1957年に開始され、1962年に認可された。経口ポリオワクチンの開発の後、集団予防接種の第二波が症例件数をさらに減少させた。1961年にはアメリカ合衆国では161件の症例が記録されているだけである。アメリカ合衆国でポリオワクチンの伝染によって引き起こされた麻痺性ポリオの最後の症例は1979年のもので、中西部のいくつかの州のアーミッシュの間でのアウトブレイクによるものである。
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