列車 愛称付き列車

列車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/08 03:21 UTC 版)

愛称付き列車

ロンドン・ヴィクトリア駅を出発する「黄金の矢」号。蒸気機関車の前頭部にヘッドマークを掲げている。
貨物列車に愛称を付けた例。日本国有鉄道のコンテナ特急「たから」。先頭車ではなく、最後尾の車掌車に「たから」と表示されていた。

旅客にアピールする目的で、列車に「黄金の矢」(イギリスフランス)や「20世紀特急」(アメリカ合衆国)など、列車愛称を付けることがある[59]。そうした愛称付きの列車(ネームド・トレイン named train)には、シンボルマークを描いたヘッドマーク・テールマークを取り付けることがある[60]

世界で最初に愛称を付けた列車は、1848年にイギリスで運行開始した「アイリッシュ・メール」である。鉄道の普及以前には、駅馬車(ステージコーチ)の中でもっとも速いものに郵便物を載せて運んでおり、そうしたステージコーチを特にメールコーチと呼ぶ慣習があった。そのためにメールが付く名前には速いという印象があったことから、アイルランド行き最速列車をアピールしてアイリッシュ・メールと名付けられた(ただしアイルランドへ直通しているわけではなく、アイルランド行きの船が出る港への列車である)。以降、行き先の地名にメールを付けた愛称がつけられていった[61]。また、競走馬ザフライングダッチマンの名前にちなんでグレート・ウェスタン鉄道が名付けた「フライング・ダッチマン」も人気を博し、「フライング・スコッツマン」など同様にフライングを付けた列車名がイギリス国外を含めて広がっていった[62]

日本では長らく列車番号のみで列車を識別していたが、昭和初期の不況で輸送力が余剰気味であったことから、列車に愛称を付けて親しんでもらおうという意図で、東京 - 下関間の特急列車2往復に愛称を付けることになり、列車名を一般公募して「富士」「」と名付けて1929年(昭和4年)9月15日のダイヤ改正から時刻表にも掲載されて運行されるようになった。第二次世界大戦中一時的に列車愛称は途絶えるが、戦後復活し、列車の増発とともに愛称は増加していった。同じような運行系統・運行目的の列車を「〇〇1号・2号」あるいは「第1・第2〇〇」のように番号付きで区別することも始まり、ヨンサントオ(昭和43年10月1日ダイヤ改正)で同一区間の列車名はできるだけ愛称を統一することや、末尾に1号・2号と付番することで出発順序を区別することなどが決められた[59]

なお、「とびうお」「たから」など、貨物列車に愛称がつけられた事例もある[63]


  1. ^ 平凡社『世界大百科事典』「列車」、土田廣 執筆。
  2. ^ Railways Act 1993”. legislation.gov.uk. 2018年2月12日閲覧。
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  4. ^ Atchison, Topeka and Santa Fe Railway (1948). Rules: Operating Department. pp. 7 
  5. ^ 鉄道に関する技術上の基準を定める省令”. e-gov. 2018年2月12日閲覧。
  6. ^ 『鉄道のひみつ』pp.96 - 97
  7. ^ 電車”. コトバンク. 2018年2月11日閲覧。
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  11. ^ 『国鉄/JR列車編成の謎を解く』pp.3 - 5
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  43. ^ Unit train”. Encyclopædia Britannica. 2018年2月17日閲覧。
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  45. ^ a b c 『鉄道工学ハンドブック』p.211
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  47. ^ a b c d e f 『ダイヤグラムで広がる鉄の世界』p.53
  48. ^ 『新版 鉄道用語事典』p.234
  49. ^ 『新版 鉄道用語事典』p.31
  50. ^ 『鉄道工学ハンドブック』p.210
  51. ^ 『新版 鉄道用語事典』p.291
  52. ^ 『新版 鉄道用語事典』p.388
  53. ^ 『新版 鉄道用語事典』p.314
  54. ^ 『現代国語例解辞典』第二版、 1993年、小学館、279頁。ISBN 4-09-501032-0
  55. ^ a b 『日本国有鉄道論』pp.149 - 151
  56. ^ 幻の「寝台新幹線」構想 食堂車は高速化で姿消す 東海道新幹線、開業50年(上)”. NIKKEI STYLE (2014年9月8日). 2018年2月16日閲覧。
  57. ^ 『電気鉄道ハンドブック』p.428
  58. ^ 『電気鉄道ハンドブック』p.429
  59. ^ a b 『国鉄・JR列車名大事典』pp.14 - 35
  60. ^ 「ネームド・トレイン50年」
  61. ^ 『小池滋のヨーロッパ鉄道 歴史と文化II』pp.85 - 86
  62. ^ 『小池滋のヨーロッパ鉄道 歴史と文化II』pp.86 - 87
  63. ^ 『貨物鉄道百三十年史 中巻』pp.261 - 263





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