クランク・ケースとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 工学 > 大車林 > クランク・ケースの意味・解説 

クランクケース

※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

クランクケース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/17 07:16 UTC 版)

クランクケース(: crankcase)とはレシプロエンジンを構成する構造の一つで、クランクシャフトが納められる箱状の部位である。

概要

クランクケースの主な機能はクランクシャフト軸受構造を保持し、異物などによりエンジンの動作が妨げられることを防ぐことである。エンジンの用途や設計によっては、このほかに騒音を抑える機能などといった付加的な機能が与えられている場合もある。オートバイ用エンジンなどではクランクケースがシリンダーから分離できる部品で構成されている場合が多いが、今日の自動車用エンジンでは一般的に、シリンダーブロックの一部にクランクケースの構成部位が一体化されている。

2ストローク機関

2ストローク機関

2ストロークガソリンエンジンの行程では、ピストンの上昇に伴って混合気がクランクケースに吸い込まれ、ピストンが下降する際に混合気は圧縮されてシリンダーへ送られる[1]。このため、クランクケースは気密性が保たれ、吸入口には逆流を防ぐリードバルブが設けられている。クランクケースによる圧縮は一次圧縮と呼ばれ、掃気を行うために必要な圧力を生んでいる[1][2]。混合気の吸入と一次圧縮を行うことから、オイルをクランクケースに溜めることができず、混合気に混ぜて供給される。クランクケースを潤滑したオイルは混合気とともに燃焼室へ送られて燃焼される。

4ストローク機関

4ストローク機関

4ストロークエンジンのクランクケースには一次圧縮を行う機能は必要なく、クランクシャフトの軸受けを潤滑するエンジンオイルが飛散するのを防ぐ機能が与えられている。また、シリンダーとピストンの隙間からクランクケースに吹き抜けるブローバイガスによって圧力がかかるため、圧力を調整するクランクケースブリーザーと呼ばれる構造が設けられている。

ウェットサンプと呼ばれる潤滑方式ではクランクケースの下部に設けられたオイルパンにオイルが溜められる。オイルパンのオイルは、クランクやコンロッドに設けられた油かき板でシリンダーに飛沫を散布する飛沫潤滑や、オイルポンプで吸い上げてエンジンの各部へ送る圧送潤滑、あるいはそれらの方式の組み合わせによってエンジンの潤滑に用いられる。一方、ドライサンプと呼ばれる潤滑方式では、エンジン外部の独立したタンクにオイルが溜められ、クランクケースはエンジン各部を潤滑したオイルを集めてスカベンジングポンプへ流す機能を持つ。

オープンクランクエンジン

循環型の潤滑方式が普及する以前の石油発動機グローエンジンなどに、クランクシャフトが外部に露出したオープンクランクと呼ばれる構造を採るものもあった。特に石油発動機は回転速度が遅く、稼働時間もそれほど長期に渡ることがない用途で用いられることが多かったためこのような構造が採られていた。オープンクランクエンジンの場合には、始動前と作動中に随時オイルを注油する必要がある。このような構造は整備性が良い反面、クランクに注油したオイルが周囲に飛び散りやすく、異物によりベアリングの摩耗が早いために頻繁な分解整備が必要である。

脚注

  1. ^ a b The Compression Stroke in Two-stroke Engines at en:HowStuffWorks
  2. ^ “鉄馬メカニズム講座 The History of Harley-Davidson”, CLUB HARLEY (2014年9月): 99, (2014) 

関連項目


クランクケース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 02:27 UTC 版)

誉 (エンジン)」の記事における「クランクケース」の解説

エンジン中央部を覆うクランクケースは軽量化剛性向上・薄肉化による内部スペース増大狙って従来ジュラルミン鍛造ではなくクロームモリブデン鋼鍛造採用した。これは日本エンジンでは初めての試みである。そのために試作請け負え企業がなかなか見つからず中島本拠地東京から離れた大阪住友金属工業依頼している。出来上がったケース厚は3 mm程度となり、初期想定されたよりも少々分厚くなったものの、特別な問題引き起こすことはなかったと言われる。なお、試作後のケース量産自体中島工場行われた

※この「クランクケース」の解説は、「誉 (エンジン)」の解説の一部です。
「クランクケース」を含む「誉 (エンジン)」の記事については、「誉 (エンジン)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「クランク・ケース」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「クランクケース」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「クランク・ケース」の関連用語

クランク・ケースのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クランク・ケースのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
三栄書房三栄書房
Copyright c San-eishobo Publishing Co.,Ltd.All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクランクケース (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの誉 (エンジン) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS